2006年07月08日

緑の傘編(06)

<緑の傘34>
洋子の傘は緑色。
それが、恋が上手くいく彼女だけのジンクス。
きっかけは単純。ありがちだけど、小学生の頃、少し好きだった男の子と一緒に学校から帰っていると、雨が降ってきた。で、道端に在った大きな葉っぱで相合傘で、歌いながらスキップで帰ったという話。

洋子の今の傘は大きなカエルの顔の傘。
これまで恋は上手くいったことも、いかなかったこともあった。
でも洋子はこのジンクスを大切にしている。
緑色の傘を差すと、あの日の雨と共にキラキラした気持ちを思い出す。
今の恋は、上手くいっている。

B:だーかーらー、なーにー?
A:洋子のジンクスの説明でしょ。そんなことされても面白くもなんとも無い
B:もう少し落ちにキレがあればよかったね。
A:ジンクスがなにかこの先を予想させるような要素になってるとかね。
<緑の傘35>
 靴下のことも忘れて、夜更かしをしたからなんだろうね。
 冷たい雨が降ってくる。
 まぶしい駅前から逃げるようにして、改札を抜け出た僕は走りだした。
 小さな街灯のかげに、君はいた。雨があんまり冷たいので、魔法はもうほとんど残っていなかった。
 セロハンテープで貼り付けられた、折り紙、しわくちゃのアルミホイル。とけて流れて消えていく。
 残ったものはただ、君と僕と緑の傘だけ。
「だから早くって言ったのに」
 君は下唇をかんでしまう。
 そうだねごめんね、僕はいつも少し遅いね。
 でも雪が降らなくたって、君の手をとるよ。そんなにびっくりしないで。
「だってプレゼントなんでしょう」
 ツリーの下にはプレゼント。そんな絵本を昔、読んだよ。
 目じりにキッス、大丈夫、すべて隠してくれるから。

B:うーん、どういうこと?
A:また分かりにくいというか難しいね。
B:うーん、駄目。分からない、パス。
A:クリスマスが過ぎてるみたいだね。魔法で飾り付けされていた、というか、そんな感じ? 飾りの無くなったツリーが緑の傘、だと思うけれど。
B:過ぎてる、のかな? ツリーはもみの木でいいんだよね?
A:もみの木だと思う。
B:ふむふむ。となれば、案外、ストレートな話なのかな?
A:過ぎてないのか。靴下飾るのってイヴだっけ?
B:イヴの夜に飾ると、クリスマスの朝にプレゼントが入っているはず。
A:ああ、そっか。じゃあ当日だ。その夜、かな。「雪が降らなくたって、君の手をとる」というのと「「だってプレゼントなんでしょう」」という台詞がちょっと分からないけれど。あと「すべて隠してくれるから」も。
B:ちょっとガジェット飛ばしすぎな気がする。
A:飛ばしすぎ、とは?
B:いや、用意しすぎているがゆえに、本質が見えづらい
A:かな。
<緑の傘36>
金属反応の正体は固定軌道式交通機関の跡―線路だった。横断すると蘇鉄の群落の向こうに海岸が見えた。ウミネコが群れるふたつの陸繋島に区切られた小規模な白砂の浜。
イレギュラーな色彩を検出。汀線限界から3イルギィの位置に傘が落ちている。人間は雨に濡れることを忌避し、これを上肢に把持して降雨を遮った。
接近する。
拾い上げながら操作法を検索し(状態は良好。通常因果を逸脱してここに置かれたものかもしれない)後退しながら開いた。付着した砂が散る。紫外線を浴びて褪色し、緑の濃淡による縞模様になっている。表面に黄色い塗料で文字が書かれている。未解読の文字だが、因果履歴を追尾してみると、遠隔的な願い―祈りがエンチャントされている。貴重な情調遺物。感染効果で好奇心が励起される。好奇心に対する好奇心が喚起される。
腹腔を開いて格納するべきだったが陽光を遮るように掲げくるくると回した。光学認知系を人間設定まで低下させると、文字が黄色い輪になって視えた。情調検索して「わくわく」を拾い出した。反芻してみる。わくわく。わくわく。
「緑の傘を拾う」を「わくわく」を表わす慣用語法として申請する。
この語法は22万7千年にわたって断続的に存続した。

B:いいねいいねいいね
A:うん、いいね。ちょっと地理学っぽい用語が最初に頻出して読みにくいけどね。
B:陸繋島や汀線は、本当にある言葉なのかな? 意味がよく分からないけれど。
A:あると思うけれど。調べてみるよ。とりあえず陸繁島に関してはここ。汀線は、こことか。
B:へええ、またひとつためになったよ。「因果履歴を追尾」の下りは最高にいいね。溶けそうになる
A:「因果履歴」とか、いいよね。文字を未解読のままにしておくのも、想像力を刺激されて嬉しい
<緑の傘37>
『地球には緑が足りない』と声高に叫ぶ環境団体が、ここのところ躍起になって人口雨を振らせ続けている。
 クロレラをたっぷり含んだ緑がかった雨。
 その雨粒はねっとりと粘ついていて、ワタシの透明なビニール傘はすぐにその緑で重たくなる。
 家についたら、へばりついたスライムのような塊を水道水で洗い流す。
 錆び色の水に流されていく緑色の微生物たちは、地球に寄生している人間たちを嘲笑いながら排水溝へと滑り落ちていった。

B:だから(略
A:同感。いやでも、「嘲笑いながら」のあたりは、少し考えてみた方が良いかな。
B:ふむ、確かに、きれいなだけではない。世界はきれいなものだけで構成されているわけではない、という主張を感じるね。
A:「人口雨」は誤字かな。「人工雨」だよね、きっと。ついでに言えば「振らせ」も「降らせ」だろうけれど。単純なミスだけど、字に気を使っていないような印象
B:うーん、こういう瑕疵を残してしまうのは残念だね。まあ、「だから何?」系である時点で、もう駄目だけど。
<緑の傘38>
 ぼくの父はアマガエル。雨が降るとけろけろ鳴く。ぼくの母はウシガエル。雨が降るともうもう鳴く。ぼくが都会へと旅だった日、ふたりは緑色の傘を餞別にくれた。それはとても古くて重たい傘で、ぼくはとにかく気に入らなかったけど、荷物の底に詰め込んだ。
 都会の暮らしは楽しかった。そこには土も茂みもない。ぼくはアスファルトのうえで踊るようにして暮らした。田舎のことも緑の傘のことも、ちっとも思い出さなかった。
 ある日、田舎から訃報が届いた。父は車にひかれて、母はハンターに捕らえられて、死んだという。でも辛いはずのぼくは泣き方を思い出すことができなかった。みじめな気持ちで緑の傘を部屋の奥から掘り出した。ぎちぎちとかたまっていた傘をゆっくり開き、その緑色のかげのなかに身を横たえる。そして思い出す。この深い緑をぼくは知っている。草むらを水田を走り回った雨の匂い。広げた傘からしとりしとりと雨が落ちてくる。父の鳴き声が、母の鳴き声が聞こえる。ぼくの喉がゆっくりと震えだした。それは小さな小さな、やっと取り戻したぼくの鳴き声だった。ぼくは鳴いた。父を思い母を思い、鳴いた。
 緑色の傘をさし、ぼくは明日田舎へ帰る。

B:これは説明不足。主人公がどうして都会に行くのか、どうして都会での暮らしの方が田舎よりいいのか。両親が亡くなった後、田舎に帰ってどうするのか。両親の死を知ったときの主人公の感情が、感傷にしか見えない
A:そうだね。緑の傘がいまいち活きていないような気もする。
B:それもある。「だから何?」一歩手前と称して差し支えない。
A:まったく。
<緑の傘39>
 この街もまたなす術もなく暑くなり、一週間も続けてスコールが降るようになった。ずっと冷房をつけっぱなしなので電気は自然と不足し、最近のビルは今更エコマーク入りのソーラーパネルを大きく広げ、陽射しも雨もさえぎっている。でも、それで地面に恵みが届かないわけでなく、パネルのあい間から滝のように結局流れ落ちてくるのだ。光が水に乱反射し、街の景色も瞬くごとに移り変わる。
「うひゃあ、たまんないね!」
 参ってるのか悦んでるのか、おこぼれを浴びたヤシの木は声をあげて騒いだ。大柄な肩をふるわせ、頭のなかを洗うように伸びをする。リサが上目づかいに押し黙っていると、ヤシの木は「もうそんなこわい顔すんなよ」と腕をとり、湿ったからだに引き寄せた。
 やっぱり会うんじゃなかった。リサは前髪で瞳を隠し、甘える心を一言ずつ噛みつぶす。でも、枝葉のあい間から棒のように流れ落ちてくるのだ。
 髪もシャツもビリジアンのスカートも濡れてしまう。今日のために買ったのに。鼻をすするリサの足元に小さなヨシガモがひと休みに寄ってきた。スリットのあい間からも糸のようにみんな流れ落ちていく。そして羽のあい間からも、道に芽ぶく双葉へ向かって。

B:たまんないね!
A:いいね! 熱気と瑞々しさと、リサの感情とヤシの言葉遣いとか
B:いや、正直、参った。読みづらい。よく分からない。
A:ええー。
B:何がいいの?
A:炎天下の水浴びのような感じ
B:「この街もまたなす術もなく暑くなり」の「またなす」って何?
A:「この街もまた」、「なす術もなく」じゃない?
B:ああ、なるほど。じゃあ、「それで地面に恵みが届かないわけでなく」とかは。悪文じゃない? 爽快感を前面に押し出したいのなら、一行目をカットして、「うひゃあ、たまんないね!」を最初に持ってくればいんじゃないかな。
A:いや、確かに炎天下の水浴びのような爽快感はあるけれど、それと同時に爽快感というか、してやったり感みたいなのが、いくら覆っても雨が地面に届く、という点じゃないかな。
B:うーん、よく分からない……。
A:生命力を感じるよ
B:まあ、元気は溢れていると思うけれど趣味の違いかなあ
A:かなあ。
B:ちょっと残念だなあ。Aが味わえて、私が味わえないというのは。残念だ。
A:ふっふっふ。独り占めだー
<緑の傘40>
 点け放しのラジオから、オオアメコウズイケイホウという声が聞こえる。また雨だねと驟子は言う。寮の窓では長方形に切り取られた欅の葉並が少しずつ、それぞれ雨滴に打たれて微かな震えを見せている。そう、我々がこの部屋で迎える朝は雨。
 高校の同級生、今は月一の呑み友達、それから夏至の夜以来の交情。これで我々の関係の全て。
 ドア際まで送って、使えばと差し出す。いつも持って行きっぱなしで持ってこないから、これで最後だよ。サークル仲間の忘れ物の折りたたみ。
 (「恋愛」という言葉の隣に「友愛」という言葉があることを憶えている?)
 いいよ。要らないという意味。その色、嫌だから。
 ドアが開く。水と風と欅の匂い。それだけを残して、じゃあね。

B:欅。ああ、やはり欅は、けやきと読むのか。驟子は、しゅうこ?
A:難読だね。けやきを思い出すのに時間がかかった。驟子は、たぶん、しゅうこ、かな。
B:驟雨の驟だね、多分。
A:ね。
B:と言うわけで、漢字の難しさの方に意識が傾いてしまった
A:読むのに懸命になってしまって、物語が入ってこないね
B:朝まで飲んで、朝を迎えて、雨が降っていたから傘をあげて送り出すところ?
A:だね。何色か知らないけれど傘は色が嫌いだからと断られてるね。
B:中盤の括弧は主人公と驟子、どちらの科白だろう。
A:驟子だと思って読んだけど。
B:主人公は男なのかなあ。異性の飲み友達と宅飲みするかなあ。「我々がこの部屋で迎える朝」というフレーズからは、ふたりがエッチしたように見えるけれど、驟子はなんとなく冷たそうなイメージ。驟子は主人公に対して友愛の感情を抱いているけれど、主人公は恋愛したいってことなのかな。
A:そうか。異性とは限らないか。
B:よく考えたら、異性にせよ同性にせよ、恋愛感情は抱けるから、主人公が男かどうかは問題じゃないね。
A:だよね。
B:まあ、よく分からないけれど、多様な読みができるという点において、そう悪くない作品だと思う
A:私は、恋愛のあとに友愛という言葉が来ていることと、最後の「じゃあね」から、別れの話かと思ったんだよね
B:そう指摘されると「これで最後だよ」あたりも意味深だね。
A:夏至の夜から一緒に朝を迎える仲になったけれど、もうまた呑み友達に戻りましょう、みたいな
B:おお、なるほどねいいね
A:うん、まあまあだね。緑の傘がないけども。
<緑の傘41>
 新世紀というフレーズが腐るほど古臭くなる頃、軒先に緑の傘が逆さに並ぶ。緑の傘はバイオテクノの粋を集めたパラポラである。日没と同時に眠り、日出と共に目覚めてCo2を貪る。暫くもしゃもしゃ咀嚼を繰り返し、気が済んでは管からぺぺっとO2を吐き、またCo2を戴く。
 嗚呼。今時、街路樹は全て緑の傘。見てみよ、緑地帯に溢れ咲く人造生物の群れを。「便利で良い世の中になったね」と若者は誰も彼も同じ顔で笑いあうのだ。

 見てみよ。
 新世紀だ。
 キヅケヨ。
 新世紀だ。

B:今ひとつ。最後の四行は余分じゃない?
A:うん。最後の四行はいらない気がするけれど「キヅケヨ。新世紀だ」はどっかにあってもいいかもね
B:「キヅケヨ」はちょっといいよね
A:奇怪な世界に合ってると思う「キヅケヨ」は。
B:「嗚呼」あたりもそうだけど、ちょっと歌詞っぽい
<緑の傘42>
 きみの緑いろした傘が、雨のなか、鮮明にうかびあがっていた。
 目を、閉じる。
 雨の下校時刻、教室からみている。
 淡く、うすい緑いろ。控えめで、あまりクラスでも目立たないひとだったけど、あの緑の傘が、ふしぎときみの存在を示していたように思う。
 雨のなかで輝く。
 どこにもない緑いろだった。他のどの緑いろとも違って見えた。しずかな雨のなか、ぼくのこころにやさしく燈った灯りだった。
 雨の季節が終わって、汗をたらしながら忙しい夏期講習にあけくれ、二学期からぼくは進学コースにゆき、きみとはなれた。それから、ぼくに、あの灯りのみえることはなかった。
 都会の大学にきたぼくの目に映ったのは、けばけばしいネオンライトで。つめたいだけの雨を避けて閉じこもったぼくのこころで、あらゆるものは色あせてしまい。すべて消えてまっくらになりそうな、そのとき、ひとつの灯りがぼくを導いたのだった。ここはぼくのいる場所じゃないんだ。
 故郷に戻って、少しずついろをとりもどす景色の果てに、緑の傘が遠ざかっていく。
 追いかけて。声をかけてみても、ふりかえったのは知らない少女で、声をかけたのも、知らない少年だった。
 目を開ける。
 雨がやんで、もう、緑の傘は、みえなかった。

B:なんとも言いがたいなあ。これも一歩間違うと「だから何?」に堕してしまうけれど、最後まで読むと不思議な哀愁がある
A:これは、いいと思う。
B:え、そんなに?
A:そんなにってことでもないけど。
B:そこそこ?
A:そこそこ。
B:文体でちょっと損してるよね。スマートでない。
A:多少、読みにくいかな。漢字にしといて欲しかったところがいくつか。
B:夏期講習より塾や予備校の方が良かったかな。漢字を減らすことで味が出ているだけに。「輝く」もひらがなでよかったでしょう。
A:「目を、閉じる」から「目を開ける」までが回想というか幻想なんだろうけれど、その中でも「知らない少女」で「知らない少年」だってのが、いいよね
B:知らない少年は、かなりいい。素晴らしい。
<緑の傘43>
 眩しくて見てられなかったので、泥水に浸けてがしがしと踏んづけたのだ。土色に溶け込んだのを確かめてようやく息がつけた。これでもうただの骨格化石。時間軸の交わることもない遠い歴史だ。
 なのに、がらんどうの部屋でその夜夢を見た。あの傘と同じ目映い色の蕗が大きく背を伸ばしている。雨露を葉の上ではじいている。その葉陰を覗くと、茎を楽しそうに回しながら持っているのは君だ。手を少し高く掲げると茎の先をチュッと吸って笑った。甘露、なのだろう、思わず僕も微笑む。しかしその瞬間君はくるくると回り出し、スピードを上げたかと思うと二人になる。二人は少し立つ角度を違え、少しだけ違うスピードで回り続ける。そして二人は四人に、四人は八人になり、ときどき茎の露に口づけては笑みをこぼし、ますます楽しそうに回り続ける。笑うことも忘れて僕は猛烈な勢いで増えてゆく君と蕗を茫然と眺めている。そして蕗の葉が見渡す限りの地面を覆い尽くしたかと思うと、いきなりすべてが消えた。蕗も君も掻き消え、僕の手には握り締めて萎れた小さな茎が一本だけ残される。
 目が覚めた。…きっと僕は同じことを繰り返すのだろう。カーテンを引くと、雨露の残る新緑が目に飛び込んできた。

B:よく分からないけど、雰囲気はいいね。「君」がかわいらしい。
A:かな。だから何、と思わなくもないけれど。
B:いや、これは雰囲気を楽しむものでしょう。
A:あ、彼女、殺しちゃったのか?
B:――え
A:そうか、骨格化石ってなんだろうなー、と思って。少しずつ回るスピードが違うのは、別の彼女だから、だったりするんじゃない? あと、蕗まで増えてるとは最初思わなかったので「増えてゆく君と蕗」を読んだときちょっとびっくりした。
B:そう念頭に置いて読むと、っぽいね。
A:ね。
B:恐くなってきた
A:彼女が可愛いだけに、さらにね。


B:じゃあ、集計結果でも。<緑の傘34>と<緑の傘35>はいいか。<緑の傘36>はいいね。なんか、ようやく評価基準で同意を得られた気分
A:うん。適切な評価だと思う適切というか、納得の
B:そうだね、ほっとした
A:だね。
B:<緑の傘37><緑の傘38>も飛ばして、<緑の傘39>はどう?
A:うーん。これはなぁ、ちょっとスルーされすぎてる気もする。そんなにやたらと良いってことでもないから、あまり強くは出ないけれど。
B:私はこんなもんだろうと思うけどね。
A:かなあ。
B:<緑の傘40>飛ばして、<緑の傘41>はちょっと見てみたい。悪くないと思うけど◎××かなあ?
A:次点くらいな気がするけれど。
B:そうそう。○△みたいなね。
A:うん。逆選ていう感じはしないけれど。
B:<緑の傘42>がスルーされているのは残念。まあ、仕方ないという気もするけれど。
A:仕方ないのか。残念だな
B:だって、瑕疵が多いでしょう
A:ああ、まあ、そうだね。確かに。
B:<緑の傘43>はー、まあ、こんなものか。
A:まあ、そうかな。
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2006年07月07日

緑の傘編(05)

<緑の傘22>
 追いかけっこに疲れたのであっくんと一緒に木蔭で休む。ぬしさまと呼んでいるその木は、あっくんと二人、向こうとこちらで手を繋ぎ合ってわっかをつくろうにも抱えきれないほど太くて大きい。葉っぱは緑色が濃くて奇麗だ。幹は特別ひいやりとしている。
 ぬしさまの下は静かで涼しい。
 追いかけっこの途中で、あっくんとキスをした。瞼を閉じたら陽射しに射られた。上瞼と下瞼が合わさった瞬間、じゅッと熱がはじけた。重ねた唇にも電流が走ったみたいになって、吃驚した私たちは慌てて体を離した。極まり悪さをごまかすように力いっぱい追いかけ合った。
 並べた膝が触れ合ったから、ぬしさまの下でもう一度、キスをした。最初はおずおずと、それからひしひしと。
 ぬしさまの下は静かで涼しい、閉じた瞼に熱ははじけない。唇の温度は嘘みたいに心地よかった。うっすりと目を開けると、触れ合った膝にぬしさまの影。

B:完成度が高いと思ったけれど、二点だけ気になった「瞼を閉じたら陽射しに射られた」と「極まり悪さ」。前者はかなり大きい木のようだけど、陽射しが葉の隙間から突き抜けてきたってことかな? 後者は「極まり悪い」っていうの? ……辞書を引いてみた。言うみたいだね、極まり悪い。
A:言うだろうけど、この字面からだと「極悪」を想起してしまうから、なんだか不似合いな気がした。というか、そんなに完成度高い?
B:え、感じないかな。なんだか読んでいて心がほんわりあたたかくなったよ。いい話じゃない。
A:いい話だし、綻びって点ではできているけれど、表現とかは特に普通じゃない?
B:「ひいやり」や「おずおずと、それからひしひし」あたりは、なかなか書けないでしょう。良作だと思うよ。
A:「ひしひし」は、まあ、そうかな。
<緑の傘23>
雨の日の朝、玄関を開けると河童が立っていた。
大きな葉っぱを傘代わりに差している。
何用かと聞けば、旅の途中で腹が空いたので胡瓜を分けて欲しいという。
私は快く家に上げると、胡瓜を三本と酒を用意した。
一升空く頃には河童も饒舌になり、これまでの旅の話をとめどなく語りだした。私はその興味深い話に耳を傾けて、時には笑みを浮かべた。
私と河童はまるで十年来の友人のように、すっかり気の置けない間柄になっていた。
夜が明けると、河童は礼を言って旅立っていった。
河童を見送った後、いつも誰彼かまわず吠える飼い犬が静かなことに気づいて、犬小屋を見に行った。
犬が、犬小屋の傍で横たわっている。
私は、しまったと呟いた。
犬は、尻子玉を抜かれていた。
私は呆然として空を見上げた。いつの間にか、雨はあがっていた。

B:失礼な河童だなあ……
A:なんでまた尻子玉を抜いていったのやら不明だね。河童だからというだけなのかな? あ、「誰彼かまわず吠える」からか。
B:よく相撲で勝負して、負けると尻子玉を獲られるとか言うよね。色々な説があるとして、キュウリと酒をただで貰っておきながら、そういうことをするのは、いかがなものかと思う。
A:それ以前に、吠えられてうるさかったんだろうね、きっと。
B:飼い犬の尻子玉をゲットしてから、物乞いに来るってどーよ?
A:失礼だね。でもまあ種族間の違い、か?
B:気に食わんなあ。
A:河童を使ったのが特徴というくらいの話かな。他には別に良くも悪くも感じないけれど
<緑の傘24>
 ああそう言えばあの色に銅色の骨が不自然だと思ったかもしれません。ぱらぱら水玉が透けて見えていました。傘の内側を眺めたのでしょうか、私は。
 変な話です。傘から流れた水滴がざあと、背の後で立てた音、そればかりが残っております。今その音ばかり聞こえます。ざあと。
 変な話です。日陰者などと自分を貶めた言葉を使うくせに目立つ色が好きでした。
 あの日、あの時、判っていただこうとは思いませんが、異界であったのです。
 Jの向こうに蛙の口が見えました。そこではじめて、私はあれが絡め取るものだと知ったのです。
 口が横ににいと開いた時に逃げ出せばよかった。遠い西の空の光輪にただ一時、目を奪われた隙に身体は絡め取られておりました。私は怖かったのです。
 腐った匂いのする菊でした。菊は緑の中で足を踏み鳴らしました。足元で水が緑を映しながらはねました。Jでしたか、菊でした。腐った色の汁を飛ばしました。あの色はなぜ、地面に落ちると赤く見えたのでしょう。ああ、傘ですか。では赤だったのですか、腐った汁が、赤い。変な話です。
 それで、私はいつ帰れるのでしょう。J? はい、存じています。何かあったのですか?

B:いいんじゃないかな。
A:どうでもいいんじゃないかな。
B:え、そうかな。まあ、それほど入れ込んでいる訳じゃないけど、少しは肩を持とう。最後の一行はよく分からないけれど、それまでの会話文で世界観を見せるという技法は面白いよ。Jと人物名が頭文字になっているところから、なんとなく作品がインタビューの記事風で、なんか変な雑誌に載ってそう
A:個々のガジェットを妙な書き方で魅せるという点では、良くできていると思うけれど、総合してみても、別に世界観は見えないと思う。
B:うん、そうだね。もう少し光るところがあれば、戦ったかもしれない。
<緑の傘25>
撃墜。そして仕事終了、空から落ちてくるのは緑のパラシュート部隊。次々に落ちてゆく。
落下点は公園だ。公園には多くの人々が居る。皆それぞれの理由があって来ているのだが、空からパラシュートが落ちてくると、あ、放射能がやってくる、気をつけろ、と言いながら一旦離れ、やいやいとか何か言いながら屋台で買った卵をパラシュート部隊へ投げつける。中には大層グロテスクな代物もあるのだが、パラシュート部隊はもう慣れてしまっているので気にしない。
それよりも彼らはサボタージュする気で満々だ。
そのまま彼らはバラバラに解散し、ある部隊員はマックへ、ある部隊員はモスバーガー、ある部隊員はサイゼリヤへ行こうとする。
一番目的地まで遠いマックへ行く部隊員はパラシュートを引きずりつつ、タクシーを呼ぶ。防護服を着たタクシー運転手に駅前のマック、と言うと運転手はへい、と言ったがなかなか車を発進させない。ドアが開きっぱなしなのだ。
お客さん、ドアを閉めてください、と運転手は言うが部隊員はなかなかドアを閉めない。
部隊員は空に広がる茸雲を見ていた。どうやら次の部隊は失敗したらしい。
公園の、観光客と思しき防護服を着た二人連れが代わる代わる茸雲をバックに写真を撮る。
お客さんそろそろ怒りますよ、と運転手が言ったので部隊員は相済みませんと言い車はマックへ。
もうじき雨は降るだろうがこの街は美しい。

B:いいじゃんいいじゃん。茸雲以降はちょっと現実味が出てきてしまってそうでもないけれど、それまではどこか浮世離れしている感じがいい味出してるんじゃない?
A:そうだね。「サイゼリヤ」は「ロッテリア」とかのが統一感があると思うけど。
B:確かに、この三つの中ではサイゼが浮いているね。ロッテにするんだったら、マック→ロッテ→モスの順がいいね。ファーストキッチンでもいいかな。……なんとなく妄想代理人のオープニングを連想するね。
A:そうかな。茸雲つながり?
B:うん、後は雨とか、にこやかに笑っているところとか。
A:この部隊員からは、どっちかというと表情が無いような印象を受けるけれど。
B:え、そうかな。部隊員も見ている人も運転手も、この得体の知れないいびつな世界観に沿うようにへらへら笑っているような気がするけれど。
A:見ている人は、へらへらしてそうだけど、運転手はせいぜい営業スマイルくらいだと思うな。まあ感じ方の個人差だろうけれど。
B:まあ、そうかもね。
A:逆に言えば、そこまで読者に踏み込む力は、この話にはないよね
B:ないけど、その代わりに軽さが生まれていて、その軽さがいいと思う。
A:だね。諦観めいた感じは良いと思う
<緑の傘26>
 もう何日も雨など降っていないのに、玄関に濡れた傘が置いてある。傘の色をあいまいに映した小さな水たまりもできている。「誰か傘を使ったの?」なんて、家族には訊けない。訊いたら、誰かが姿を消している気がする。

B:とくになし。
A:ないね。
B:少しを見せることで、多くを読者が想像してくれるのを期待している作品なのではないかと思うけれど、想像を許すだけの力に欠けている
A:雨が降ってないのに濡れている傘、と、訊いたら誰かが消えている気がする、というのが、少し見せていることなんだろうけれど、ここから想像するのは、せいぜい、何か水をよけるのに傘を使ったのか、ということと、気のせいじゃない、ということくらいで、これらを繋げて考えるような方向には想像が進まない
<緑の傘27>
 雨の日がいちばん好きな娘は、赤い傘を差して蓮の花咲く池のふちでカエルの合唱を聴いているときに、池の主である大フナ様に見初められて水の世界にやってきました。
 池の底で、娘と大フナ様はしあわせに、おだやかにすごしておりました。娘は大フナ様を愛していました。しかし、緑色の水面を見上げては、ときどき溜め息をつくのです。蓮の葉のすきまに、いくつもの小さな円が生まれては消えていきます。娘の好きな雨は水面で波紋を広げるばかりで、一粒も底までは届かないのでした。
 やわらかな泥の中で、娘は雨のにおいを、傘の上を転がる軽やかなリズムを、カエルたちの歓びの歌を思います。池の主の妻になった娘には、地上で雨を感じることはもうできません。雨の降る日は娘の溜め息が泡になって、いくつも水面にあがりました。
 ある日、娘が水面を見上げていると、丸い影がゆっくりと降りてきました。一枚の大きな蓮の葉の茎をつかんだカエルたちが泳いでくるのです。
「これは、大フナ様からの贈り物です。ゲコ」
 娘は驚いた顔で蓮の葉を受け取りました。大きな蓮の葉は、彼女の頭の上で広がります。まるで、大好きな傘のように。娘の顔に笑顔がひろがりました。
「あなた、ありがとう」
 照れた大フナ様は、尾ひれを揺らして答えました。

B:変わった世界観だけど「だから何?」系だよね、これは
A:「ある日」以降で一気にパワーダウンしたね。前半は、なかなか魅力的だと思う。わざわざ蓮の葉の傘を出さなくても、テーマは十分に書けているし、どうせなら、この世界らしい結末をもってきてほしいと思った。
B:そうかなあ。一行目は一文が長すぎだし、二行目で、いきなり「娘は大フナ様を愛していました」だなんて。わっけ、わかんねー
A:お伽噺的な構成ではあるから、特にそこは気にはならなかったけれど。
<緑の傘28>
むきになってあんなに日差しの強いジャングルを歩き通したりするからだ。
行く手を遮る下草や蔦をものともせずに猛然と進む彼女が、それでもなお頑なに差し続けていた白い日傘は、生命力に溢れた木々の色を捉えて離さなくなってしまった。

今も薄暗いアパートの玄関に、あのときの木漏れ日を乱反射し続けている。

B:これはちょっと面白いちょっと好き
A:うん。悪くないと思う
B:もう少し長くてもいいね。
A:かな。猛然と進む様子とかのあたり?
B:ショートショートっぽくしても、最後の一行があれば問題ないでしょう。
A:この最後の一行はいい感じだね。
B:ツンデレお嬢様と執事みたいな感じの話なんてどうよ?
A:なに、とつぜん?
B:いや、この話をもっと膨らませるとしたら
A:いやぁ、そのへんのディテールはいらないよ。彼女、ってだけで十分だと思うけど
<緑の傘29>
 傘の日続きでうんざりだ。けど雨を降らせず出歩くわけにはいかない。地球漂白化の影きょうあっ。路地から飛び出た少女に僕は吹っ飛ばされ雨を降らすのがおろそかになってしまったそのとき傘が閉じたままぶすり、腹を刺した。
「ごめんなさい。大丈夫?」と少女は言った。
「うーん」
 僕から傘を抜き、おんぶして、少女は来た道を引き返す。素敵なワンピースだなあ。汚れないかなあ。雨を降らせていないのに傘は僕たちのはるか上空でひらく。古い一軒家へ入ると少女は自分だけ靴を脱ぎ僕を玄関に寝かせた。
「目をつむってて」
 衣擦れの音。脱いだワンピースを僕の胴に巻きつけているようだ。遠ざかる足音。漂白化のせいなのか僕の目が霞んでいるだけなのか、下着と区別がつかないほど白い肌。
 目覚めたとき、少女は何も身につけていなかった。
「目をつむっててって言ったでしょ」
 僕からワンピースを取りあげる。傷はすっかり癒えていた。ワンピースにも少女にも染みひとつない。
「もしかしてそれは緑の傘で?」僕は尋ねた。
「これが最後の一枚」
 時間を確かめるまでもなく、少女も僕も、約束にはもう間に合わないだろう。まあいいさ。どうせ外は白い傘なのだ。

B:よく分からないけど、えろいから良し
A:まあ、他に取り柄が見つけられないし、そういうことでいいんじゃない。
B:書かれてある内容は、とにかく分からない。雨を降らせるとか、漂白化とか意味不明。でも、例えば一行目の「地球漂白化の影きょうあっ」は、語り手が独白している最中に少女と激突して「あっ」ってことでしょう? なかなか、上手いんじゃないかな。全体的にリーダビリティ高いし、好き。
A:最初は「地球漂白化の影」と読んで、なんのことか分からなかったよ。そんなにリーダビリティが高いとは思わないよ。
<緑の傘30>
 老人はあざやかな緑の傘を差して歩く。雨の日も、晴れの日も。
「どうして傘を差してるのさ?こんなにいい天気なのに」
と若者に問われて、老人は皺をさらに深くして笑った。
 次の春、老人はすでにこの世にはいない。だが、老人の歩いた道には色とりどりの花が咲いている。老人の歩みそのままに、小さな花がぽつりぽつり。
 花が途切れたところに、老人が差していた緑の傘はあった。柄には札が付いている。
「あなたの最期の花道、作ります」

B:もし、この作品が深読みを要するものではなく、そのままだとしたら、嫌い。
A:今のところ、深読みする要素が見当たらないし、私も好みで言えば嫌い。
B:キッチュに過ぎるでしょう。身震いする。
A:うん。やっぱり深読みする余地が見当たらない。それどころか、傘が緑である必然性すら、見えてこない
<緑の傘31>
傘がいっぱい並んでる。
赤い傘が欲しいのに
緑の傘しか置いてない。
かさはどいつも裏返し
雨水たまれば重たいし
ほねは骨なしこらえなし
雨水ちゃぽんと全部落ち。
丸々肥えた子供らは
首をはねてはお供えだ。
八月十五夜お月さん。
緑の傘は捨てられた。

B:縦読み?
A:え、縦読み?
B:いや。どこを縦読みすれば、意味ある文章になるの? とボケてみました。
A:ああ、びっくりした。私の知らない日本語がこんなにたくさんあるのかと思った、とボケ返してみよう。
B:もー! 人にギャグを説明させるなよう。思わず敬語になっちゃったジャマイカ!
A:とまあ、どうでもいいことを言うしかないくらい、どうとも思わない作品なんだと思うけれど。
B:ね。毒にも薬にもならん。
<緑の傘32>
 今日はわたしのためにお集まりいただき、ありがとうございます。
 17年間全力で戦ってきましたが、本日をもちまして、現役を引退することを決意いたしました。
 プロ生活2年目で初めて立った神宮球場のバッタボックス。痺れました。スタンド全体がわたしのために東京音頭を唄い、わたしのために傘を振り・・・もう一度ここに立ちたい。何度でもここに立ちたい。この景色を独り占めしたい。その一念が、今日まで現役を続けさせたと思います。
 できることなら、死ぬまでずっと神宮球場のバッタボックスに立ちたいのですが、それは叶いません。想いだけではプロであり続けることはできませんでした。
 ファンの皆さんには心から感謝をしています。この想い出があるから、これからの人生も生きていけます。願わくば、今度はわたしも一緒にスタンドで傘を振らせてください。
 今日は本当にありがとうございました。

B:意味がよく分からない。どういうこと?
A:引退の挨拶かな。緑かどうかは、野球チームを知らないと分からないような気がする。私には不明。
B:なんか深い意味がありそうな気配はあるんだよね。
A:どうだろうね。挨拶文としては、わりあいありがちな気がするし。
B:促音ー、じゃなくて。拗音ー、でもなくて。「ー」って、なんだっけ?
A:音引き?
B:まあ、コンピュータとかプリンタとか、「ー」をよく省略するじゃない。この作品ではバッターボックスの「ー」が省略されて、バッタボックスになっているように読めるけれど、実は虫のバッタなのかも。
A:ぬぅ、そうくるか。
B:調べた。長音というらしいね。「ー」は長音符号。
A:ここによると「東京音頭で振る傘は、緑(または青)のビニール傘もしくは球団が発売している傘が一般的であるが、特に決まっているわけではない。」だそうな。東京ヤクルトスワローズというチームの本拠地が明治神宮野球場らしい。
B:呆れた。今、一生懸命、語り手が虫なら神宮球場・東京音頭・傘は何かの比喩かもしれんと頭を捻っていたのに。まさか、緑の傘というテーマから、東京音頭を連想して書いただけの作品ってこと?
A:うーん。比喩だとしたら、明治神宮とか、東京音頭の歌詞とかにヒントがあるかな? そこまでフォローするのは面倒だな。
B:今、すっごいテンション下がった。
<緑の傘33>
 まっとうのにいっちょんこん。
 傘みたいな形やろと良雄さんがいっとった。やけん雨ん降ったらここに来ようち。
 ばってんひどか雨やと、葉っぱの間から、ぼたぼた水滴が落ちてくる。あんまり役にたたんばい良雄さん。しっとった?
 雨はざわざわふっとうのに、良雄さんはいっちょんこん。
 暗いけん眠くなってきた。
 
 シロ、シロ、起きんね。

 お母さんの声と匂いと手のひら。
 いつのまにか明るくなっとる。
 お母さんの頭の上に、葉っぱの傘が、ざわざわまあるく広がっとる。
 飛び上がってお母さんの顔を舐める。濡れとるけんやか、なんかしょっぱい。
 お母さんの手が背中を撫でる。
 あの子はこんとよ。
 ばってんおかさん、すぐくるけんていよったよ。かさばもってくるけんて。
 お母さんに抱かれて空を仰ぐ。
 雲の切れ間から光がこぼれた。雨やんどる。
 どこからかつん、と煙の匂い。
 お母さんは振り返るらんで、ずんずん歩く。
 すぐくるっちいよったとよ。
 お母さんの肩越しに、緑の傘を見る。
 遠ざかったその木の下で、良雄さんらしき影が手ばふりよる。
 ほら。やっぱきたばいおかあさん。
 ワンと一声。
 お母さんは立ち止まって泣きださした。

B:よく分からないんだけど、いい話?
A:いい話、かな。方言の使い方が巧みだよね。一行目で、いきなり読めなくて困ったけれど、その謎解きも作中で自然にされているし。この言葉遣いだからこその温度感みたいなのもあって、さらに良いと思う
B:正直なところ、こういう方言は慣れていないので読みづらい。そのせいで誤読していないか、心配。
A:逆に、一行目が無かったら、そのあと慣れるまでずっと辛かったと思う。これがあるから、あ、方言なんだとすぐに分かったと思う。
B:「いっちょんこん」は「行ってしまった」?
A:一向に来ない、だと思う。
B:ああっ、「待ってるのに来ない」!?
A:そうそう。
B:おおおお。理解できると快感だなあ
A:音読したりすると、わりあい分かりやすいかもよ。
B:え、ええええ! もしかして、これって悲しい話!?
A:悲しくもあるね。
B:いかん。泣きそうになってきた。涙腺、弱いのだから、もう、マジ勘弁してほしい。
A:おそらく犬かと思われる「シロ」の一途さというか健気さを思うと、いい話、かな。まあどっちにしても悲しいけれど。でも方言を使ったことも含めて、良くできていると思う。B、泣き止んだ?
B:泣き止んだ。これ、傑作だね。素晴らしい


B:じゃあ、集計結果でも見るかな。これで<緑の傘33>の評価低かったら、違う意味で泣くな
A:確かに(笑)
B:<緑の傘22>は意外。もう少し、点数、入ってそうなのに。
A:まあもうひとつ次点に、とかくらいかな。
B:<緑の傘23><緑の傘24>は飛ばして、<緑の傘25>はやや逆選的だと思うけどなあ。
A:というか、これでもたくさん票が入っているような気がする。まあ<緑の傘26>ほどじゃないけれど。
B:それ、今、驚愕中。<緑の傘26>の何がそんなにすごいの?
A:ね、どこを見たら、これに票を入れる気になるんだろう。不思議。
B:いやいや、不思議とか言っている場合ではないよ、A。真剣に考えよう。彼らはこの作品に何を見出したのだろう
A:そっか。頑張ってみるか。知らない人の思考を追うのは難しいけども。
B:…………ううん、分からん。解釈は何通りか可能だと思うけれど、どれも正選を与えるほどじゃない。もし、多様な読み方ができるが故に評価されているのだとしたら、他にもいっぱいあったし。謎だ。
A:何度読んでも、音読しても、文が空回りしてるだけで、なんとも面白味すら感じなくなってきた
B:同じく。もういいや、次、見よう、次。<緑の傘27>は、まあ、スルーされるよね。<緑の傘28>も妥当なところかな。
A:うーん<緑の傘27>は次点にいくつか入っても良かったと思うけどな。
B:まあ、次点ならね。
A:<緑の傘29>と<緑の傘30>もこんなもんかな。
B:<緑の傘31>もいいでしょ。
A:そうだね。
B:問題は<緑の傘32>なにこれ?
A:うわあ、また、信じられない結果だなぁ。
B:ってゆーか、さー。悪いけど言うね。これ、フルヤマメグミさんが◎出してるじゃない。この作品って作品として評価されてるんじゃなくて、野球をネタにしているから評価されているんじゃない?
A:野球に思い入れがある人なら引退の挨拶は感動ものなのかな、そういうだけのこと? 作品としての評価じゃないよね
B:多分、逆選として投票している人も同じなのだと思う。野球ネタを上手く使ったなあという理由で。
A:なんかアンフェアというか、そんな感じがするなあ
B:まあ、逆選はいいけどさ、正選として推すにはどうよと声を大にして言いたい。舐めてるんじゃないの?
A:あんまりだね。他の良作に申し訳ないと思う。
B:もうね、この結果にどうしてこんなにも怒りを感じているかと言うと、すぐ、真下に見えている<緑の傘33>の評価の方が低いからだよ!
A:そうそう。この分をもっと<緑の傘33>にまわせばいいのに
B:正選2点て、いくらなんでも、あんまりでしょう! まっとうのにいっちょんこんだぜ、まっとうのにいっちょんこん!
A:ねえ。本当に、どういうわけなんだか。真面目に読む気はないのか投票者諸氏は。
(中略)
B:じゃあ、まあ、また明日。
A:また明日。
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2006年07月06日

緑の傘編(04)

<緑の傘17>
 まったく世界は気の抜けた様。ぼくが退屈していると、色泥棒があらわれた。信号も機能しない、渋滞のひどいスクランブルで、カップルは皆手を離し、めいめいアサッテの方を向いている。犯人を退屈しのぎに追ってみる。実は一瞬、その後姿を認めたので。逃すまい、と眼鏡をくいっと上げ。
 コーヒー香る、オープンカフェを過ぎる。
 デパートを上から下まで。なめらかなリズムが店内に響いてる。
 たどり着いたのは遊園地。歴史も古く、小さな小さな。客足はまばら。平日だからよけいに閑散として、ああ、祝日はもうないんだった。けれども、それでも何か。
 ああそうか。花泥棒。
 園内のそこかしこにあるうちの一輪を、摘みとり、そっと吹く。綿毛がふわふわ。
 いけない、雨か。のっぺらな空から、見えないが、気に入りのミリタリーシャツに染みて。冷たい。傘泥棒はとっくの事だから、屋根の下に逃れた。止むまでこうしてるしかない。
「良かったら、入る?」
 立っていたのは華やかな少女。傘をからりと振るその下で、いつの間に、ぼくの眼鏡を掛けてくすりと微笑む。
「おんなじ色ね」
 盗まれたのは言うまでもない。

B:惜しいかな
A:かな。
B:てっきり色を奪われたから、花が個性をなくし、だから花泥棒かと思ったのだけど。傘泥棒に同じ解釈を当てはめることはできないし。
A:最後の文が書きたいことだろうけれど、それまでが完全に別物になっているような気がする。
B:筆致は好きだけどね
A:筆致はいいよね
B:色泥棒から花泥棒までの前半が、とてもいいと思う。
A:そう。むしろそっちが良い。テーマとは関係ないけれど。無理して傘につなげようとしているみたいだね。
B:そうだね。テーマが色に関係していたら、良かったね。……違うか。グリーンの傘ではなく、緑さんの傘、ということなのかな?
A:色泥棒=花泥棒=傘泥棒=華やかな少女、だよね?
B:分からない。
<緑の傘18>
 割の悪い仕事だ。
 予感に捕われた彼は、目の前の建物を見上げる。
『M耳鼻科医院』、と書かれた看板がまだあったが、廃業して三年はたっているはずだ。
 依頼人はここにいるはずなのに、人の気配はない。
 悪い予感は最初からあった。依頼人は彼の昔馴染みで、余計なことを知りすぎているのだ。
 空は曇っていたが、そこからは何もわからない。晴れた日がいいと言う人もいれば、雨を望む人もいるのだということを、彼はそのキャリアのなかで学んでいた。けれど、二人が同級生だった昔、彼は依頼人自身からその答を聞いたはずだった。
 鍵がかかっていたら帰ろうと決めたのに、ガラス戸はすんなりと奥へ開いてしまう。
 玄関は薬の匂いがした。
 壁の張り紙の指示に従いスリッパに履き替えた彼は奥へ進み、薄暗い部屋で探していたものを見つける。そして彼は、二倍になった仕事を見事な手際で片付ける。

 再び玄関に戻り、屈んで靴を履いたとき彼は、忌まわしい心持ちに捕われ、ふと顔を上げた。緑の傘。そこに克服すべき恐怖があるかのように、おもむろにそれを手に取った彼は、ガラス戸を抜けて表に立つと、ボタンを押し込み、スプリングを開放した。
 傘はあっけなく開き、そうしてからむしろはじめて、雨が降りだしていたことに気付く。
 やっと思い出す。あいつは雨を望んでいた。
 傘の力は色褪せ、まだしばらくは、彼のキャリアは安泰だろう。

B:話は置いておいて、文章が下手。「目の前の建物を見上げる」や「看板がまだあったが、廃業して三年はたっているはずだ」など。
A:脚本的?
B:例えば、「予感に捕われた彼は、目の前の建物を見上げる」を見てみよう。一行目の心情は論理的な思考から出された答えだろうから予感とは異なる。また、『M耳鼻科医院』という看板を見上げる彼が、予感に捕らわれている必然性がない。「目の前の建物を」と「見上げる」も連動していない。
A:なるほど。
B:「看板がまだあったが」とあるけれど、ここは「看板はまだあったが」とした方がスムーズだし、そもそも「廃業して三年はたっているはずだ」と過去形なら「まだ」は不要。とにかく全編に渡りこんな感じで、文章が鼻について読みづらい。錬度が足りない。たかだか五百文字なんだから、もっと書き込めと思う。
A:そうだね。そういうところは、他にもあって、廃業して三年もたっているのに薬の匂いがするのかとか、そういう場所にわざわざスリッパに履き替えて入るのか、とか、作者に状況が想定できていなくて、さらに読者にそれを伝え切れていないと思う。
B:空への言及も唐突で物語に絡んでこないように見えるし、結末も突然。
A:あと、唐突にボタンとかスプリングとかあるけれど、傘が必ずしもそういう仕組みのものだけではないことを考えると、唐突だと思う。
B:話の筋に関してはどう?
A:まあ以上のような文だから、良く分からない。ハードボイルドっぽいことやりたいんだろうけれど。
B:よく分からないよね。
A:作者にとっては書きたいシーンというか、想像できているのかもしれないけれど、書けてなければ、何の意味も持たないよね。
<緑の傘19>
 お散歩には生憎の、俄な雨でありました。
「ごらん、ちょうど良い物がある」
 お父様は筋の浮いた太い腕を伸ばし、波紋の広がる水面から、ぶっつり私共を手折られました。
「ぞうのみみぃ」
 柔らかな縁をひらひら揺らし、嬢ちゃんの小さな足が泥をはねてゆきます。坊ちゃんは茎から滴る雨を舌に受け「苦いや」と顔をしかめます。お二人の艶やかな髪に光る雨粒を手拭いで払いながら「象鼻酒なら頂くが」と、お父様はお笑いになりました。
 なにせ急拵えの雨除けです、私共は幾度もおつむりから逸れてしまいました。お玄関へ着く頃には、お三人はすっかり濡れ鼠の有様で、お母様は目を丸くされました。
「あら大変、葉っぱのお化けが雨に祟られた」
「これでも、蓮に随分助けられたのだよ」
 白い割烹着のお母様は、三和土に投げ捨てられた私共を、前栽の蹲にそっと挿してくださいました。小さな熱い手にきつく握られ傷んだ茎に、澄んだ水が染渡ります。ほっと身を寄せ合った私共の陰へ鮮やかな若緑の小蛙が、心細げに這い寄りました。空はなお暗く、雨足も激しくなってまいります。
「あと、もう一働き」
 私共は互いを励まし、小さな雨の落とし子へ萎れた葉を深く差し掛けたのでありました。

A:情緒があって、良いね
B:緑の傘と聞いて最初にイメージしたのが、トトロが持っていた葉っぱの傘。きっとそのイメージに通じる作品があるだろうと思っていたけれど、テーマ直結で平凡なところに落ち着いてしまうだろうなと思っていた。が、これはいいね。テーマ直球でありながら、投げられているボールが野球とかじゃなく、蹴鞠
A:蹴鞠ね。まあ言いたいことはなんとなく分かるよ。そうだね。多少、文体が読みにくいかな。演出としては効いているんだけど。
B:完成度が高いから、かえって言うことないね。
A:そうだね。良くできているね。
B:読みづらさは愛嬌でしょでしょ。
A:それも魅力のひとつか、すごいね。
<緑の傘20>
僕は緑いろに染められた傘が好きだ。雨の日はもちろん、晴れの日や曇りでさえも差していたいと思う。
夜空の星をながいこと見上げていると空間の感覚があやふやになり、まるで自分が逆さまにぶら下がったまま星を見おろしているような気持ちになることがあるが、頭上に掲げた緑いろの傘を見あげる僕も、それと異なるところはなかった。
天体の社交性まで見抜く慧眼と、ならんだ靴を乱すことのない良識を備え持つ早熟な物理法則は、僕が緑の海へ呑みこまれるのを止めたりはしない。
人々は落涙を恐れる。しかし重力は涙をこらえる者ほどよろこんで裏切るのだ。時計の正確さが、自然の偶然が光速を乗りこえて作った平行時間軸に否定されるように。
僕はりんごの虚ろ言の皮を剥いだ。反された手のひらから離れ、奇跡的な飛行能力など手にすることもなく(なにせ僕はスカートをはいていないから)、しっとりと湿った草原の土に、頭頂部から落下する。
僕の首が折れるひときわ大きい雨の音が寝ぼけ眼のふきのとうを目覚めさせるだろう。

B:いや、これは駄目でしょ。つい認めたくなってしまうけれど。
A:非常に読みにくい
B:漢字が多いわりに句読点が少ないよね。そのわりに変なところはひらがなになっていて、リズムが掴めない。
A:行ごとに別のイメージを要求されるようで、なんだかまとまりが感じられない。
B:そうそう。「人々は落涙を恐れる」の下りなどは光っているのだけれど、すぐに別の話になってしまうから広がりがない。勿体ない。
A:それでもって、結局は「だから何?」で終わっているように思う。いや、そうでもないか。
B:これは「だから何?」じゃないでしょう。そもそもにして世界観という舞台がないから、そこから物語が始まりようがない。したがって、言うなればむしろ「何で?」系。まあ、でも、この作品の場合「何で?」に対する答えは、明確だと思う。意味なんてないでしょう雰囲気や語感を楽しむだけだと思う。そのわりに読みづらいけど。
A:うーん。はじめは、傘と僕との上下関係の反転の話で、それが、傘をはさんで反対側に僕の役割が反転している、ということかな。僕→雨、ということで。
B:そうかもしれないね。
<緑の傘21>
 足もとに犬がいるのが見えていて、だんだん近付くと、緑の傘が時々くるっ、くるっと回っているのがわかった。追い越し際に犬をちらっと確認する。よし。犬はいい。いつか飼いたい。いつか、と時々思いながらそのまま終わるのではないかと思うようにもなった私は傘を持っていず、小雨のぱらつく土手を急ぐ。左右に雑草が強く生い茂っている。本当によく茂っている。花まで咲いて、暗めの空をうつしている。既にペダルをこぐ足がだるくなっていたが、土手を下りる前になだらかな上り坂があった。坂を上ったらそのまま土手を進みたいような気になり、気になっただけで私は土手を下りている。下りながら今度の日曜はどこかへ、例えば隣県まで出かけようかと考える。ぱらぱらと雨は止みそうで止まない。週末も雨だろう。週間予報では雨だった。「イラッシャイマセ、コンニチハア」と迎えられたのか追い出されたのかわからない、多分どちらでもないコンビニに入ると、透明なビニール傘が売られていて、私は緑の傘が欲しいんだという気がして、それは嘘だと思った。日曜は出かけようと決めて、それをひっくり返すべきかと悩みながら、百三十八円の甘そうなミルクティを手にとった。

B:よし、オッケー
A:不明確な感じを演出しているのだけは、分かったけれど、オッケーか?
B:よし、説明しよう。
A:聞こう。
B:まずは、この作品をいくつかの要素に分けるところから始めよう。ひとつは見えるようで見えない場景。ペダルという言葉が出てくるまで主人公が自転車に乗っていることを読者は知らされていないし、コンビニに入るときに自転車を降りるという記述はない。この点から、かなり文字が削られていることが分かる。ひとつは改行がないこと。ひとつは句読点の位置も変なところにあるということ。ひとつは描写がころころ変わること。以上から類推されるのは、すべてが一続きの物語で、そしてここで描かれているのは主人公の思考だということ。下手な言い方をすると思考垂れ流しなのだけれど、この作品がどうしていいかと言うと、リアリティがあるから。確かに我々はときに、犬を見て「飼いたい」と思うし、直後に「でも結局は飼わないよなあ」と思ったり。自転車に乗っている最中は、あまりそのことを意識せず、コンビニに入るため自転車を降りるという動作も無意識のうちに行っている。とても忠実だと思う。人間の思考に。そこが素晴らしい
A:一続きの主観だというのは分かったけれど、曖昧さがリアリティかどうかには少し悩むなあ
A:「イラッシャイマセ、コンニチハア」なんかは、むしろ意識しないでしょうし、意識するなら温度とか空気とか、そういうものが欠けているんじゃない?
B:いやいや、きっと店員の声が刺々しかったんだって。だから一瞬だけ意識して、すぐに思考が次に移ってしまっている。
A:そうなのかな。「それをひっくり返すべきか」というのは、何だろう。
B:まあ、でも温度はあるかもしれない。店員の声より「涼しい声が私を包む」とかの方がいいね。
A:かな。まあそうか、オッケーか。
B:「それ(=日曜は出かけようと決めて)をひっくり返すべきかと悩みながら」じゃないのかな。出かけようかどうしようか迷ってるんだって。
A:「べき」は変じゃない?
B:いやいや、だってそれまでずっと直前の思考を否定するのを繰り返していたじゃない。だから、主人公のスタンスに則るなら「べき」ということだと思うよ。
A:むしろここで、ここまでの曖昧さをわざとやっていたような印象が出るように思うんだけど。
B:え、曖昧かなあ……
A:曖昧というか、すぐに否定するから、そういう印象になる、というか。無意識じゃなくって、わざとそうしていたような気がする
B:ああ「結局、お前はどうしたいんだよ」ってこと?
A:いやいや、曖昧なのは、それでもいいんだけど。
B:うーん、Aの言っていることは、よく分からないけれど、優柔不断な人はこれぐらい曖昧でやることに矛盾があると思うよ。
A:決められない、ってことでは、そうだよね。でも「ひっくり返すべき」で突然、能動的になっているように思うんだけど。
B:傘を持ってないから急ごうとしているのに寄り道しちゃうし、コンビニに入って傘を見てるのに飲み物を買ってしまうし。「それをひっくり返すべきかと悩みながら」だから、結局は悩んでない?
A:そう。だから、優柔不断にするようにわざとしていて、それを自覚しながら悩んでいるような
B:そんなもんだって。優柔不断気取りの自意識過剰なんだって。いーちゃん的じゃない。
A:悩むためにわざと直前の否定をしている感じ。まあ、いーちゃんが何か知らないけど、優柔不断気取りの自意識過剰か。そうだね。


B:それじゃあ、集計結果でも……<緑の傘17>は正直、意外。
A:そう?
B:500文字の心臓では、こういう作品にこそ正選をあげちゃいそうなところがある。
A:そうなんだ。謎の団体だね、500文字の心臓。
B:<緑の傘18>は、まあ、いいとして、<緑の傘19>は、ちょっと少ないんだけど! どういうこと、これ!!
A:ほんとだ。酷すぎる。あまりにも見る目がないというか、なんというか。
B:酷い!
A:ね、酷いよねぇ。
B:酷い酷い。いい作品を評価せずに、何を評価するというのだ。ぷんすか。
A:<緑の傘20>と<緑の傘21>はまあ、順当、かな。
B:<緑の傘20>はいいとしても、<緑の傘21>は少ないよ!
A:いや、こんなもんでしょう
B:くぅっ、正選に二点入っただけで妥協しないと駄目なのか……。
A:むしろ正選減らして、次点を増やせばいいくらいじゃない?
B:いやいやいやいやいや、そんなことはない。正選、四点ぐらいあっていいよ。
A:そうかな。リアリティのある主観、てだけで、そこまで評価されるものかな。
B:これは、だって文学だよ? 町田康に迫るものがあるよ。
A:いろいろ知らなくて悪いけど、町田康も読んだことないや。でもまあ、Bがそこまで言うなら、そうかもね。
B:じゃあ、今日はこんなところで。四日目にして、ようやく半分か。
A:じゃあ、また明日。
posted by A&B at 17:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 対談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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