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<title>500文字の対談</title>
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<description>500文字以内で対談しようとしているわけではありません。</description>
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<title>MSGP 2006 final</title>
<description>　MSGP 2006 決勝戦 を取り上げ、対談しています。　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-12-16T17:04:04+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
　MSGP 2006 決勝戦 を取り上げ、対談しています。<br />　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。<br /><br /><a name="more"></a><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 決勝戦：『カオスの国』▼▼</div></strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：久しぶり。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ぶり。って、えええ。復活したんだ、対談。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：決勝戦だしね。結局、第一試合しかやらなかったね。第二試合以降、読んでた？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いや、残念ながらフォローアップしきれてなかった。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：私も。そんな二人が決勝戦だけはしっかり対談するなんて……あまりよくないね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：なんか、少し申し訳ないね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：まあ、でも早速、見てみましょう。<br /><blockquote><strong>赤コーナ： 松本楽志</strong><br />　雲海に抱かれたとある島に、ふたつの国が存在していた。<br />　その国には無数の耳がある。しかし、何も聞こえることはない。男たちは音を失い、ただ光を見つめて暮らす。もうひとつの国には無数の眼がある。しかし、何も見えることはない。女たちは光を失い、ただ風を聞いて過ごす。<br />　男も女も互いの知性を知らない。国は綺麗に重なりあい、単為生殖が血脈を刻む。男はものを言わぬ石塊と交わり、女はぬくもりのない闇と交わり、生まれた子は半分の確率で人間ではない。しかし、どちらの国民も、自然と折り合いながらそれぞれの文化をはぐくんでいた。<br />　あるとき、滅多に荒れない空が気まぐれに旅人の乗る難破船を呼びつけた。瀕死の旅人が岸壁に打ち寄せられる。男は旅人の半分を、女もまた旅人の別の半分を助け、交流を持った。その島においては男でもあり女でもあるその旅人は、親切へのお返しとこの国の豊かさへの敬意によって、女たちに光を、男たちに音を、さらに双方が持たぬ臭いや味までを、毎日ひとつずつ与えた。<br />　すると、七日目に両国とも滅亡した。 </blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： はやみかつとし</strong><br />無数の白い風船が放たれ、次々と縺れ合いながら街の上空高く消えて行くのを、男と女は固く手を取り合ったまま見つめている。海図のない午後。</blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：どちらも一長一短なのだけれど、<strong>赤コーナが一歩リードしている</strong>と思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：うーん。久しぶりで勘が戻ってきてない感じがするけれど、<strong>どっちも条件をクリアするのに苦戦しているような感じもする</strong>かな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そうそう、決勝戦ともなると条件が厳しいよね。この試合の場合は三つ？「テーマが『カオスの国』」「『船』『海』『風』という文字を使用すること」「登場人物が『男』と『女』であること 」そして、これは言わずもがな「面白いこと」。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：だね。<strong>私の好みで言えば、青コーナなんだけど、赤コーナの方がカオスしてる</strong>と思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：お、意見が別れたね。まず青コーナから見ていこうか。こちらはね、<strong>指定された漢字をさっくり使っているのがいい</strong>ね、後は<strong>背景に物語が無限に広がっていそう</strong>。ただ、<strong>どこが「カオスの国」なのか今ひとつ分からない</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね。<strong>「風船」と使ったのは、上手い</strong>と思う。やっぱりネックはカオスっぽさだね。<strong>「海図のない午後」で、夜に向けての、どうなるか分からなさが、想像できて、面白い</strong>と思う。だけど、<strong>「海図」は条件クリアのために無理して入れた感じもある</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：どうして「街」なのだろうね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：「風船」にしちゃったからかなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：かもね。これは、テーマが「結婚」とか「旅立ち」とかなら、ぴったりだったろうね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：「結婚」とかより「略奪愛」とかの方が「海図のない午後」っぽいかも。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：略奪愛かなー……？　どこらへんが？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いやなんか、「固く手を取り合った」とかが。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そう、読めないこともない、ぐらいかな。……<strong>もしかしたら、二人はこれから先の見えない未来＝午後が終わった後の夜＝次の瞬間なにが起こるか分からない海＝カオスの国、に向けて出発するのかもね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうかもしれないね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：で、赤コーナはね、全体的に好みだし、いいと思うのだけれど<strong>「風」の使い方が致命的に駄目</strong>だと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：不思議な舞台で、結末までが語られているので、へえそうか、と思うくらいかなあ。<strong>この舞台を考え出した点はすごい</strong>と思うけれど。<strong>「風」は条件クリアのための作者の苦労がうかがえる</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：せっかく、「海」と「船」は無難にクリアしているし、「男」と「女」に関してもこれ以上はないぐらいに素敵に仕上がっているのに、どうして「風」はこんなにも投げやりなのかと頭を抱えたくなる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：どうして、私がここを駄目かと思うと、この描写を活かすには、対比として男たちの「ただ光を見つめて暮らす」が必要になってきて。両方あわせると、けっこうな文字量になってしまうということ。<strong>せっかく、500文字の中で幻想的な世界が作られているのだから、削れるところは削ってほしい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね。「海」や「船」や「風」と「カオスの国」の結びつきが、もうひとつ弱いような気がする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：言われてみれば確かに。なんとなくふたつの「国」というより、「島」というイメージが強いね。カオスの島。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>カオスの島を語っているだけで、「海」や「船」なんかは、作中で重要な要素になりきれていない</strong>ように思う。仮に<strong>大陸の中の、壁で囲まれた場所をカオスの国と呼んでいたと考えても、成り立つ話</strong>のように思う。でも青コーナよりは「カオスの国」をクリアしていると思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、やはり「カオスの国」はかなりクリア出来ていると思う。だって、旅人という秩序がもたらされたせいで滅亡しているわけだよ？　ただ、島っぽい雰囲気が出てしまっているのは、旅人が船でやってくるからだろうね。<strong>もし、「船」がなかったら、壁を越えてやってくるのだろうね</strong>。って、おお、ふたり同時に同じことを考えるなあ（笑）<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：なんとまあ（笑）<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：分かった。恐らく、これは私たちふたりの間に「大陸には国がいくつもあり、その間を旅人を行き来している」という認識があるからではないだろうか。きっと、この作者の世界観は「雲海の中に国がいくつもある」なのだよ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ああ、なるほど。そのつもりで読むべきかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：もし、作者がそう考えていたとすれば、海と船とカオスの国は一気に近づくね。……やはり風か！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：と思ったけど、雲海の中に国じゃなくて、雲海の中の島に国みたいだよ。「雲海に抱かれたとある島」ってあるし。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：思わず考えさせられる難解な表現だね。少し話は逸れるけれど、読んでいる間、分からないことがあった。ふたつの国は空間的に一致しているかどうかということ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：私は一致していると思って読んでいたよ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：しかし「綺麗に重なりあい」というのが引っかかるんだよね。つまり、同じ空間に男と女がいるのではなく、次元が違うと言うか、位相が違うと言うか。ブレがあると言うか。そのカオスを旅人が一致させてしまった、と言うような。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：それはたぶん、「男」の知覚と「女」の知覚が違うっていうところだと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：Aは、男と女が同じ島にいるにも関わらず、お互いの知覚が重なっていないから、国はひとつではなくふたつ。しかし、旅人が男に女を、女に男を知覚させたから国は滅びた。という風に読んでいる？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：けれど滅びたのは「両国とも」なんだよ？　ちょっと違和感を覚える。この違和感は、作品が駄目だから感じるというより、実はこちらが読み方を間違えているのではないかと不安になるから感じる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：うーむ。どっちかが滅びるよりは、「両国とも」の方が納得いくとは思う。それともBは、両国とも滅びないでやっていけばいいじゃないかと思ってる？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、私は次元的、位相的に両国は重なっているけれど、同じ国ではない、と考えているから。だから、旅人も片方が次元のこっち側にて、もう片方が次元のむこう側にいる、みたいなイメージ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：次元的に重なっているのに、旅人は次元のこっち側と向こう側なの？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：……そう。けれど、どうしてかは説明できない。そんなに深く理解できているわけではないから。ごめんね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いやいや。<strong>旅人を「半分」って書いているところは、少し意味がありそうには思う。「半数」とかでも良さそうなところじゃない</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：なるほど。やはり半分と書いているからには、男が見ているのも、女が聞いているのも、同じ旅人ということか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そう読めるよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：また話を逸らすけれど、思うにこの作品の肝は、旅人という秩序が「滅多に荒れない空の気まぐれ」で訪れたことと、旅人は秩序を悪意ではなく「親切へのお返しとこの国の豊かさへの敬意」という好意で与えたところにあると思う。けれど、この偶然と好意が結果として両国を滅ぼしてしまう。というお話だよね？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：だと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：となると、<strong>この作品の肝である「偶然」と「好意」とに「船・海・風」が直接的に絡んできたらいいと思う</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：なるほど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：現状、「雲海⇔カオスの国」の繋がりは悪くなく「難破船⇔旅人⇔秩序」という繋がりも悪くないと思う。で、私がずっと問題にしている<strong>「風」を、「偶然」と絡めさせないか</strong>と思う。と言うか、せっかく舞台が空中で、「滅多に荒れない海」というよくある言い回しを「滅多に荒れない空」とセンスよく使っているのだから、この前後に「風」という漢字を入れればいいじゃんと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだよね。<strong>もったいない</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：「風が瀕死の旅人を岩壁に叩きつける」とかさあ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：痛そう。というか瀕死なのに叩きつけられたら<strong>死んじゃう</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：もし、そんな感じに使われていたら、<strong>すべてのキーワードが密接に、有機的に絡まりあっていて、文句なしの傑作だと言えたのに</strong>……残念。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：確かに確かに。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：では、最後に投票するならどっちかだけど。私は赤コーナ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうか。私は迷うけど、やっぱり青コーナだな。<strong>風船の縺れと男女のつながりと海図のなさが、重なるように思う</strong>し。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：どちらが勝つにせよ、決勝戦まで勝ち残ってきた<strong>松本楽志さん</strong>と、<strong>はやみかつとしさん</strong>には拍手したいと思う。ぱちぱちぱち。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：素晴らしい作者さんたちですね。ぱちぱちぱち。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：では、結果を楽しみにしつつ、今回はここまでということで。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：はい。お疲れ様。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：お疲れ様。

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]]></content:encoded>
</item>
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<title>方針に関して</title>
<description>　当ブログでは「500文字の心臓」掲載作及び選評結果を取り上げ批評しております。　批評に際しては、公平であることを心がけ、ただの誹謗中傷にはならぬよう注意します。　各作者より掲載しないよう要請された場合は、速やかに該当作品および該当作品に関する対談の掲載を中止します。　ご意見ご要望がありましたら各コメント欄、もしくは以下の連絡先で受け付けます。info＠kairou.com（全角の＠を半角に直してから送信してください）</description>
<dc:subject>告知</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-18T05:40:13+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
　当ブログでは「500文字の心臓」掲載作及び選評結果を取り上げ批評しております。<br />　批評に際しては、公平であることを心がけ、ただの誹謗中傷にはならぬよう注意します。<br />　各作者より掲載しないよう要請された場合は、速やかに該当作品および該当作品に関する対談の掲載を中止します。<br /><br />　ご意見ご要望がありましたら各コメント欄、もしくは以下の連絡先で受け付けます。<br />info＠kairou.com<br />（全角の＠を半角に直してから送信してください）<a name="more"></a>

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<title>MSGP 2006 2nd（03）</title>
<description>　MSGP 2006 2nd ROUND を取り上げ、対談しています。　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-17T00:47:03+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
　MSGP 2006 2nd ROUND を取り上げ、対談しています。<br />　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。<a name="more"></a><span style="color:#0000FF">B</span>：じゃあ、ここで投票するならこれというのを発表しましょうか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：投票システムはどんなん？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/msgp/rule2.html">こちら</a>を参照。◇という概念があるので注意。敗者復活してほしい作品に◇という感じかな？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：どれどれ見てみる。……だいたい心得た。<br /><blockquote><br /><div style="text-align:center;"><span style="color:#FF0000">Aの投票</span></div><br /><strong>▼▼ 第１試合：『君の隣には』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 水池亘<br />　青コーナ： 銭屋龍一<br /><strong>▼▼ 第２試合：『絶対解』▼▼</strong><br />○赤コーナ： マンジュ<br />　青コーナ： 影山影司<br /><strong>▼▼ 第３試合：『虹の歩幅』▼▼</strong><br />　赤コーナ： 松本楽志<br />○青コーナ： はやみかつとし<br /><strong>▼▼ 第４試合：『壊れたメトロノーム』▼▼</strong><br />◇赤コーナ： よもぎ<br />○青コーナ： 根多加良<br /><strong>▼▼ 第５試合：『赤い箱』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 脳内亭<br />　青コーナ： キセン<br /><strong>▼▼ 第６試合：『ひからびさん』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 雪雪<br />　青コーナ： 赤井都<br /><strong>▼▼ 第７試合：『あふれる』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 波<br />　青コーナ： 砂場<br /><strong>▼▼ 第８試合：『ナマコ式』▼▼</strong><br />　赤コーナ： まつじ<br />○青コーナ： 青島さかな<br /><strong>▼▼ 第９試合：『文鳥のこころ』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 春名トモコ<br />　青コーナ： 瀬川潮♭<br /><strong>▼▼ 第１０試合：『バニシングモーテル』▼▼</strong><br />　赤コーナ： sleepdog<br />○青コーナ： 黒衣<br /><strong>▼▼ 第１１試合：『泳ぐ空』▼▼</strong><br />☆赤コーナ： 峯岸<br />　青コーナ： 不狼児<br /></blockquote><br /><blockquote><br /><div style="text-align:center;"><span style="color:#0000FF">Bの投票</span></div><br /><strong>▼▼ 第１試合：『君の隣には』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 水池亘<br />　青コーナ： 銭屋龍一<br /><strong>▼▼ 第２試合：『絶対解』▼▼</strong><br />　赤コーナ： マンジュ<br />☆青コーナ： 影山影司<br /><strong>▼▼ 第３試合：『虹の歩幅』▼▼</strong><br />　赤コーナ： 松本楽志<br />○青コーナ： はやみかつとし<br /><strong>▼▼ 第４試合：『壊れたメトロノーム』▼▼</strong><br />○赤コーナ： よもぎ<br />◇青コーナ： 根多加良<br /><strong>▼▼ 第５試合：『赤い箱』▼▼</strong><br />　赤コーナ： 脳内亭<br />○青コーナ： キセン<br /><strong>▼▼ 第６試合：『ひからびさん』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 雪雪<br />　青コーナ： 赤井都<br /><strong>▼▼ 第７試合：『あふれる』▼▼</strong><br />　赤コーナ： 波<br />○青コーナ： 砂場<br /><strong>▼▼ 第８試合：『ナマコ式』▼▼</strong><br />○赤コーナ： まつじ<br />　青コーナ： 青島さかな<br /><strong>▼▼ 第９試合：『文鳥のこころ』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 春名トモコ<br />　青コーナ： 瀬川潮♭<br /><strong>▼▼ 第１０試合：『バニシングモーテル』▼▼</strong><br />　赤コーナ： sleepdog<br />○青コーナ： 黒衣<br /><strong>▼▼ 第１１試合：『泳ぐ空』▼▼</strong><br />○赤コーナ： 峯岸<br />　青コーナ： 不狼児<br /></blockquote><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：第４試合：『壊れたメトロノーム』は名勝負だったってことだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：名勝負だったね。甲乙つけ難し。では、これにて「MSGP 2006 2nd」編は終了ということで。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：おっす。次回の対談は、何を肴に？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：2nd ROUNDの勝敗結果、かな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：あ、そうか。それがあったね。じゃあまたその時に。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：じゃあ、また。<br /><br />

]]><![CDATA[
]]></content:encoded>
</item>
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<title>MSGP 2006 2nd（02）</title>
<description>　MSGP 2006 2nd ROUND を取り上げ、対談しています。　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-16T19:04:02+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
　MSGP 2006 2nd ROUND を取り上げ、対談しています。<br />　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。<a name="more"></a><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第６試合：『ひからびさん』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 雪雪</strong><br />ピンクひからびさんのカップにお湯を注いで三分。自分で蓋を押し上げ「御用ですかー？」あどけなく尋ねるあつあつのひからびさんに、娘への伝言を頼む。真剣に聴き入る表情は、ごく小さいのに遠くはないので、奇妙にあざやか。<br />人肌くらいに冷めるのを待って、どっこいしょとテーブルに片足を乗せて、股ぐらを差し出す。「毛はまとめて掴んでね、痛いから」「あいよっ」ひからびさんは外陰部に取り付き陰唇を掻き分けて高窓から忍び入る忍者みたいにするりと潜り込む。産道を滑らかに遡行して子宮に到達したのがわかる。しばらくもぞもぞして反転。「ぷはー」と言って出てくるところを掌で受け止める。「あなたが最初のお友達よ」「てへへ、羊膜越しでもべっぴんさんでしたよー」ひからびさんは暗視が利くのだ。<br />翌朝、どぶ臭い水の染みがテーブルまで続いていて、ピンクひからびさんの姿がない。脱走ひからびさんの地下組織に誘拐されたにちがいない。<br />救助隊を編成せねばならない。<br />迷彩ひからびさんのカップを三個用意してお湯を注ぐ。注ぎ終わりの時間差そのまま、三分きっかりに迷彩ひからびさんはびしっと蓋を跳ね上げ敬礼する。敬礼する。敬礼する。</blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 赤井都</strong><br />　投薬ミスで大変だったそうよ。そんなふうに呼んじゃ悪いわ。そう２０３号室のオカモリさんは言った。<br />　いいのよ。子どもが生まれたら、親は遺伝的にはもう用無しなんだから、ひどい話でもなんでもないわ。３０１号室のユウヨさんは、いつもながら理屈っぽい。<br />　あはは。私は笑ってごみを置いて、部屋へ戻った。<br />　ベランダで洗濯物を干していると、下の公園にひからびさんが出ていた。あんなにみっともなくなっちゃって、家に隠れてればいいのに。<br />　でもひからびさんは、朝の太陽の下、ベビーカーを押して、砂場の周りをゆっくりゆっくり歩いていた。<br />　ひからびさんの子どもは、すぐに大きくなった。ひからびさんはいっそう痩せしなび、とても私と同い年とは思えない。事情を知らない人が見たら、祖母、いや曾祖母かと思うだろう。<br />　毎日、洗濯物を干しながら、下の公園を見る。なぜか気になって、見てしまう。朝日を浴びて、ひからびさんはいっそう黒ずんで見える。子どもが走り回っている。あ、転んだ。ひからびさんはベンチに座ったまま笑っている。昨日も笑っていた。私はシーツを、ぱんぱん、と引っ張って干す。今日もひからびさん、笑っている。</blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>いっやぁ、赤コーナ、面白いなあ！！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：あれだね、支持するコーナが被ると対談的にどうよ、と思うけれど、<strong>赤コーナいいね。可愛らしい。</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：読み始めた当初は、よく分からなくて、また陰唇かよとか思ったけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：また陰唇かよ（笑）<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：イメージできるようになると、その<strong>バカらしさや真剣さがとても素敵な味</strong>を出しているように思う。いいね。青コーナも悪くないのだけどね。ちょっと、角田光代っぽいかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：私は<strong>青コーナは少し読みにくかった</strong>かな。最初「投薬ミス」ってあったから何号室っていうのが病室かと思ってしまって。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：あ、ああ。そうかもしれないね。そこらへんはあまり考えずに、さらりと読み流してしまった。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：シーツとひからびさんがセットで描かれていて、それがなんか<strong>象徴的な感じのような、対比されてるような、不思議な感じ</strong>で、そこは巧みだなと思った。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：赤井都さんは基本、巧い系の人だからね。<strong>読むたびに同じ書き手として感心させられる。</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：それでも赤コーナの方が面白く思うんだよね。どうしてだろうね。<strong>奇抜だからかな。</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：同じく。今回は純粋に雪雪さんに軍配が上がったってことでしょう。と言うか、雪雪さんも巧い系の人だと思う。<strong>＜緑の傘３６＞の人</strong>だよ。覚えてる？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ええとね、思い出そう。少し待たれい。……「わくわく」の人か！<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そうそう！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうかあ「わくわく」さんかあ。なるほど納得。<strong>さすがだね。</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：勝つのは、まあ、赤コーナでFA。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：赤コーナだと思う。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第７試合：『あふれる』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 波</strong><br />どっくんどっくん、吹き出る沸き出す艶やかな色。幾筋もの流れをつくる。次から次から出るにつれ、床の上の小さな池がゆるゆる広がる。床と液面の境界曲線は、見る間に形を変えていく。<br />あたしも薄々そんな気がしてたのよ。こらえてこらえてこらえたものは、いつかやっぱりこらえきれずに出てきちゃうんだって。<br />知らなかったのは、超えてしまった後のこと。いつ来るか、いつそうなるかと怯えてた時に比べたら、そうなっちゃった後は穏やかなもの。掌に残る感触も、今は一仕事終えた清々しさだけ。うまいこと決まったよね、とか。スマッシュヒットってやつだよね、とか。<br />でもこれ、片付けないといけないよね。ほっておいたらたらきっとすぐ臭いはじめるし。<br />だけど、滅多にないことだし。折角だし。もうちょっとだけ。<br />見慣れた床が見慣れない色に染まる様を、あたしは無心に眺め続ける。</blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 砂場</strong><br />容量を越えて満ち、こぼれること。「風呂はアヒルさんで──れていた」「遊び心に──れていればいいってものでもない」「二十八世紀、人類は次元・時空間移動技術を手に入れたが、同時に未知の敵《──れる》を発掘」「ヒッ」<br />（<br />「ばかっ、変な文字入れるなよ。見つかるだろ」<br />「悪かったけど……何言い出すんだよ、あんた。つか、なんでど真ん中な単語に逃げ込んでるんだよ、俺らは」<br />「灯台下暗し。ついでに前の人たちに警告しとこうかと思ってな」<br />「誰があの用例、本気にするかよ。ただもう怪し過ぎるってだけだって。つか、あんた、歴史に干渉するなよな」<br />「ふふん。誰が本気にするかよ」<br />「後で本部に削除されるのがオチだと思うけど。つか、いつ帰れるんだよ、俺らは。あいつどこまで行ったんだよ……」<br />「もう捕まってて、──れさせられてたりして」<br />「うるさいよ、おっさん」<br />ピィィィィィィィィ！<br />「うわっ、見つかった」<br />「読まれてたらしいな」<br />「つか、あんたのせいだな、あんたの変な用例」<br />「『ヒッ』の方が変だろ」<br />「くそ。──れるなんてごめんだっ。……あ？　おい待て、おっさん、俺を置いてくなよっ。怖いだろ。ううわ、俺こんな訳わかんないのもうい（５００文字）</blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ああああっ、<strong>迷うなあ迷うなあ</strong>。青コーナは申し訳ないけれど、<strong>根多加良さんのデッドコピィ</strong>だよね。<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/msgp/2005/works/02_second.html">ヴァリゾープ</a>を思い出してしまった。だからと言って、<strong>赤コーナが格別、面白いわけでもない</strong>。ううむ、難しい。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：青コーナは500文字からあふれさせたってえことでいいのかな？　どっちを選んだら良いか迷う、ってよりは、<strong>どっちかを選ばなきゃならなくて困る</strong>、ってところだなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：青コーナの方は、正しく理解できているかどうかは分からないけれど、いわゆる多重構造だと思う。辞書を編纂している二人の人物の会話のようでいて、実はその会話自体も辞書の用法の一部であるという。会話自体が辞書の用例というのは、「もう捕まってて、──れさせられてたりして」や「くそ。──れるなんてごめんだっ。」などから類推できる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：三人目がいるよね。「あいつどこまで行ったんだよ」って言ってるし。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え……？　なるほど。三人で編纂していて、三人目は「ど真ん中な単語」には逃げ込まなかったということ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：何かから逃げてきて、「ど真ん中な単語」に三人で来たけれど、うち一人が偵察か何かに行って、帰ってくる前に読まれて見つかって、みたいな状況なんじゃないかなー、と思う。編纂してるかどうかは、かなり疑問。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、そうかなあ。この解釈にはちょっと自信あったんだけどなあ。しかし、確かに「あいつどこまで行ったんだよ」という科白からは、「偵察」を感じさせるね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ね。赤コーナは、なんだろう。おもらし？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：それは考えなかった。ふつうに血液をイメージ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：あ、血でいいのか。床を流れるのと、「こらえてこらえてこらえたもの」つまりあふれたものは、別だって可能性があるね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：もしくは、ただ単に何かが染み出ているのかもしれないけれど、<strong>ぶっちゃけ、何でもいい</strong>。そんな上手くないと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：語り手は殺人者で、目の前には血を流し続ける死体がある状況じゃないかなあ。その出血と語り手の感情が上手いこと混ざっているのは巧みだと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、巧み？　そうかなあ。どちらかと言えば、青コーナが好き。勝ち抜きそうなのは分からない。<strong>僅差で青か</strong>なあ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：逆だな、私は。<strong>僅差で赤コーナじゃないか</strong>と思うけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：僅差って部分では同じだね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：同じだね。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第８試合：『ナマコ式』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： まつじ</strong><br />　博士博士どこに行ったんですか、と探す彼はまもなく腰を抜かすことになるのだった。<br />　一個の生物を数式で完全に表現するのだという博士は自らの研究について、ちょっとした芸術みたいだワハハと笑いながら話した。<br />　それにしたって何故こんなものを、と思うけれど<br />「だって好きなんだもの。」<br />　と言われれば仕方がない。<br />「体のほとんどがね、水とコラーゲンで出来てるんだ。旨いし、肌にもいいよう。」<br />　食べながら語る姿も懐かしく、今となっては全身これコラーゲンと化した博士を水槽の外から眺めるばかり、何か惹かれるのだよなあ、ああいうふうに暮らしたいなあという願い叶って幸せなんだろうか。<br />　世間では研究室を飛び出した数式が町をゆっくりと這いずりニュースを騒がせている。触れたものは即感染、博士同様煮こごり状、軽度の場合でも生活がそれらしくなる等の症状を引き起こすという。<br />　すべての責任が助手である彼に押し付けられ疲れるが、研究自体にはほとんど関わっていなかったのでどうしたものか、なんとなく博士の世話をしていると、先日トゲに触れた指先が寒天のようになっている。<br />　あ。<br />「まいったなあ。」<br />　うるさいテレビの音が遠のく。<br />　博士と、黒い塊がのっぺり動いた。</blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 青島さかな</strong><br />　七夕にナマコは月を目指す。<br />　空に一番近い浅瀬に集合した世界中のナマコたち。黒も青も赤もみんな夕焼け色に染まり、空に昇る準備をする。ひしひしと身を震わせる余白もない海岸で、けれどまだまだナマコたちはあちらこちらから集まってくる。ついにナマコたちはナマコたちを踏み台にし、自らの背を次のナマコたちへ譲りはじめる。そうして次のナマコたちはその次のナマコたちに背を譲り、うずたかく積み重なりながら、ゆっくりとゆっくりと月を目指す。<br />　柔らかいナマコでできた塔は安定からは程遠いところにあって、ゆらゆらと揺れている。大きく揺れるたびにぱらぱらとナマコたちが剥がれ墜ちて、ぱしゃんと音を立てて海に弾かれる。それは空に憧れた罰を受けているように海の上で溶けていくのだけれど、そんな姿になってもなお月を目指そうと塔に近付いていく。けれど溶けたままでは高くは登れない。硬いナマコたちは上を目指し、墜ちて、柔らかくなる。<br />　すべてのナマコがたゆんと溶けた頃には、夜空に天の川が鮮やかに棚引いている。</blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：青コーナも悪くないけれど、<strong>やっぱり赤コーナ</strong>かな。青コーナは、ちょっと<a href="http://hms.muw.jp/soracha/">『空の上のおもちゃ』</a>っぽいね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：えええ、<strong>青のが面白い</strong>と思うけどなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、だんだん分かってきた。読みながら、Aは青を推すだろうと思ったもの。でもね、ここは譲れないね。赤コーナだね。まず「全身これコラーゲン」というのが素晴らしい。<strong>脱力系奇想</strong>。全編から、助手の主人公の「もう、マジ勘弁してくれよ」という主張が見えている。素晴らしい。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いや、テーマからナマコと式を使っただけで、安直だよ。そこいくと青コーナは<strong>感動系</strong>だね。ナマコなのに。ナマコのくせに。しかも幻想で締めていて、<strong>すごく綺麗な読後感</strong>。ナマコなのに！<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：くそう。反論したいけど、その通りだ。確かに<strong>安直だ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ふっふっふ。<strong>奇想としては評価する</strong>けれどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：しかし「世間では研究室を飛び出した数式が町をゆっくりと這いずりニュースを騒がせている」なんて描写はどうよ？　これは<strong>紛うことなき天才の文章</strong>でしょう。まつじさんに<strong>言葉選択の天才</strong>という称号を与えてもいいと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：式を活躍させないとナマコ式のテーマに沿わないからそう書いたんじゃないかと思うけれど、どのあたりが言葉選択の天才？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：「数式が町をゆっくりと這いずり」って部分。<strong>数式が町を這いずり回るわけがないのに、こんなのを書けてしまうのが熱い</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いやでも、<strong>ナマコなら這いずり回る</strong>でしょう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：くっ。もういい！<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：赤コーナの素晴らしさは、<strong>抱き締めて離さない</strong>からAには教えてやらない！　でも勝ち抜くのは青コーナだと思う……（弱気<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：弱気だなあ。まあそれだけ<strong>青コーナが素晴らしい</strong>ってことだよ！<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：うん、そうなんだよね。<strong>ナマコナマコ連呼しすぎではあるのだけれど、やはり美しい</strong>し、絵になる。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第９試合：『文鳥のこころ』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 春名トモコ</strong><br />　五歳上の従兄は、縁側に置かれた籠の中の文鳥ばかり気にしている。何が楽しいのか、その鳥は一日じゅう歌い続けていた。高く転がる声は、姉の、小さいけれど涼やかに響いた笑い声を思い起こさせる。<br />　二週間前。いつも俯いてひっそりと微笑んでいた姉は、突然死んでしまった。「鳥籠の鳥には死者の魂が宿るそうよ」と、亡くなる数日前に言っていた。<br />「惣一にいさん」<br />　強く呼びかけて、ようやく従兄は私が問題を解き終わったことに気づいた。大学に通う為にうちに居候している従兄に時々勉強を見てもらっている。座卓の向かいで採点をしている従兄を見つめた。こちらの視線に少しも気づかない。この前まであんなに私の唇や首筋を意識していたのに。もう少しだったのだ。なのに何もかも台無しになってしまった。<br />　おとなしく、控えめで、誰よりも計算高かった姉が死を選んだ理由。すべて姉の思惑どおりになった。従兄は文鳥に姉を重ねて見ている。魂が宿るなんてそんな作り話、私は信じていない。けれど、従兄の肩で見せつけるように高らかに囀り、私の指には鋭く噛みつくこの鳥には、本当に姉が乗り移っているのではないかと思う時がある。<br />　忌々しいこの鳥を食い殺してやりたい。</blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 瀬川潮♭</strong><br />　彼の脳裏に幸せだった日々が蘇る。<br />　屋根より高い空が見える窓を訪れたこと。赤が好きだった一人暮らしの女に飼われたこと。彼女の両手の中で水を浴び、眼鏡の上に乗ってじゃれたこと。たまに遊びに来る男どもを片っ端からくちばしでつついたこと。文さんと呼ばれ、たくさんの餌と笑顔、何より愛をくれたこと。赤い唇が良く動き、しゃべって、笑って、歌って。自らも精一杯真似して動いて、さえずって、歌って。そして、赤い目で泣いていた彼女を慰めようとした時、自身の体が人間の姿になったこと。<br />　彼女は、彼の涼しい顔が好きでよく撫でた。<br />　それなのに別の男たちを愛し続けた。<br />　もともと小さかった彼は、大きな体の大きな心の隙間を埋めるため自分で自分を慰めた。男が代わるたび、何度も何度も。彼女の視線を感じながら、何人もの自分で。<br />　やがて心に隙間が無くなった。仕方なく、彼は失ったくちばしの代わりに包丁で男をつついた。勢いで彼女もつついた。声にならない声を赤い唇から発していた。<br />　だから、屋根より高い空が見える窓を開けて叫ぶ。<br />　だが声にならない。静かな空に向かって、彼の口から白い文鳥がばさばさと飛び立っていった。<br />　何羽も、何羽も。</blockquote><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>良く分からない</strong>なあ、青コーナ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ええっとねー。青コーナは、男好きする女の子が文鳥を飼っていて、文鳥が人間の男になって、男になった文鳥が女の子とその彼氏を殺したってことじゃないかな。<strong>そのまんま</strong>だけど。深読みを要する箇所はないように思うので、<strong>奇想を描いただけ</strong>だと思う。けれど、<strong>それほど尖がってない</strong>し、漢字が多く<strong>比喩が分かりにくい</strong>ので、<strong>その奇想が分かりにくくなってしまっている</strong>。つまり、<strong>駄目</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そのへんの概略はなんとなく分かるんだけども「もともと小さかった～」の文とか「心に隙間が無くなった。仕方なく、」というのも理由として良く分からない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：「心に隙間が無くなった」は確かに引っかかる。自身の心に生まれた嫉妬を、<strong>自身の中で処理しきれなくなった</strong>という意味だけだと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ああー、なるほどね。処理しきれなくなった、か。そうか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：メモリに余裕がないから、止まっちゃう、みたいな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：なるほどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：で、赤コーナだけど、これは<strong>かなり上手い</strong>よね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね、赤コーナいいね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：「この前まであんなに私の唇や首筋を意識していたのに」のくだりには思わず拍手した。ここらへんから一気に物語が加速するよね。<strong>非常に秀逸</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうそう。しかも書いてあるのは「私」のこころなのに、テーマでもある『文鳥のこころ』が<strong>手に取るように伝わってくる</strong>。素晴らしい。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>文句なし</strong>だね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：これは、<strong>赤コーナの圧勝</strong>でしょう。☆をつける人も多いと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>圧倒的に赤コーナ</strong>を支持するね、私も。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第１０試合：『バニシングモーテル』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： sleepdog</strong><br />　宵闇の二番星に牽かれ、沿道の標識に目もくれず、二人はただカーステレオに身をひたし、長い道のりを駈けていく。今夜のために彼女は新しい夏服をまとい、遥かな淵からやって来た。果てしなく天に横たわる河は、時を得てティアラのように輝いて、照り返す河面の銀が小さな車影を明るく染める。<br />　やがてすべてを置き去ると、河のほとりに黄色いネオンがぽつんと見えた。野暮ったい看板はいつまでも変わらない。車を停め、砂利を踏み、手を取って一室へと迷い込む。彼女のスカートは淡い光の尾を引いて、ぽろぽろとアステロイドの欠片をこぼす。言葉などない。覚悟はもう決まっていた。<br />　後ろ手にドアを閉ざす。<br />　星の子として生まれた二人には、侵してはならない絶対の誓約があった。けれど今、彼らのくちづけは唇から先へと伝い、指先は互いの秘密を赦し合う。これを導き入れたとき、一粒の雫さえも残らないだろう。全部わかっていながら、二人は鼻頭をすりあわせ、ほんの一瞬、あどけない笑みを取り戻す。<br />　周囲の六面はすべて失せ、際限のない紺碧に包まれる。<br />　彼女が二三歩退いて合図する。抱きとめようと手を伸ばせば、終焉の夜風が心地よく胸の奥まで沁みわたった。</blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 黒衣</strong><br />　車もなかったのに、一度そういうところに泊まったことがある。<br />　ゼミ合宿の帰りだった。夕方からの大雨で、共同発表した友人と二人、山奥の小さな駅で足止めとなってしまった。<br />　半泣きの友人を励まし、県道沿いをめちゃくちゃに歩いて、やっと見つけたのがそのピンクとブルーのネオン看板だったというわけだ。フロントも何も分からずに、一室に転がり込んだ。<br />　他に客の気配はなく、部屋の赤絨毯は毛羽立ち、カーテンの白はベージュになっていた。風呂場はむやみに広くて、クレゾールの臭いがした。ほこりっぽくはなかった。<br />　風呂と屋根があるだけ幸いと一泊して、翌朝。雨もやみ、出発しようと玄関に行くと、ドア下の隙間に小さな紙が差し込まれていた。綺麗なカードに見事なペン字が書き付けられていた。<br />　「あなた方が最後のお客様です。ながい間、皆様の愛と欲望を喰べ、夢と憩いの時を差し上げてきた当館も、競争に敗れ、その役目を終える時を迎えました。お代は結構です。ありがとうございました。マヨヒガ・イン支配人」<br />　結婚した後に車でその辺りを通ったが、もうマヨヒガの跡形も無かった。<br />　手元に残ったのは、その時の泣き虫な友人が、今は我が夫だという珍現象だけだ。</blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>うわっはーっ！</strong>　青コーナ<strong>最高！</strong>　こういうの<strong>大好き！</strong>　いいねいいねっ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね、赤コーナはなんだか<strong>少し冗長</strong>な気がしなくもない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：赤コーナは最初、七夕の話かと思いきや、そうでもないみたいだし。<strong>結局「だから何？」</strong>だったと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：あれ、七夕じゃないの？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：やっぱり七夕？　まあ、<strong>どうでもいい</strong>けど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：まあそうだねえ。<strong>描写がなんだか鼻につく</strong>というか、読んでいて<strong>疲れた</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：それに比べて青コーナはどうよ。<strong>見せ方も上手い</strong>し、テーマを<strong>ダブルミーニングで料理</strong>している点もいいでしょう。二回戦の中でも<strong>一押し</strong>レベル。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ダブルミーニングには気付かなかったけれど？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ええっとね、マヨヒガっていうのは迷い家のことで、山の中にあったりなかったりする家のことだったように記憶しています。民間伝承のひとつで、遠野物語とかに出ていて、あったり消えたりする家のことです。つまり、マヨヒガ＝バニシングハウスと言え、かつこの作品ではマヨヒガ・インというモーテルがバニシング（＝消滅）している。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：へえ迷い家というものがあるんだ。なるほどね。むしろマヨヒガ消えて、いまや夫婦、なのかと。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：駄洒落じゃん！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ごめん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：でも、そういうのもありな作品だよね。町田康っぽい。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：面白いよね青コーナ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：これは断然、青コーナ……と思うけど、500文字の心臓的には赤コーナも捨てがたい。<strong>僅差で青</strong>と言ったところか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうかなー。まあ500文字の心臓については私は詳しくないので、<strong>青コーナ絶対優勢</strong>だと思うけどな。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第１１試合：『泳ぐ空』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 峯岸</strong><br />　天女が花を投げる。馥郁たる花散る午後、まだら雲の西へ流れるを見て諍う二人がある。曰く「雲は空を泳いでいるのである」、曰く「空の泳ぎに雲が押されているのである」。二人の体に触れたる花はぴたり吸い付き、いっかな手で振り落とそうとするもままならぬ。<br />　掛かる折り一人の僧が通りすがる。しかるにこの僧に於いて花はただ掠めるばかりにして花粉の一粒さえその体に喰らい付くを避ける。これは霊妙である。二人は道理を訊ねずばおられない。僧は「花を花と思い込むが故に花とした処で離れられぬのである」などと返す。今一つ判らぬまでも二人は甚く有り難がり、次いで件の問答をば僧に聞き糺す。<br />「互いに誤りである。互いの心が泳いでいるのみ」またもや合点がいかぬものの二人は感服しきり、大いに頷いて見せる。しかして花が舞い上がれば三人そっくり花みどろ。いよいよ打ち払おうとしたとて相叶わぬ。<br />　俄に陽が翳り夥しい鰯が降り注ぐ。鰯は地面にて爆ぜ、明にさやぎ耳を聾する。誰しも頭を抱え這々の体で逃げ散る。一頻り降り積もれば四囲は累々たる血肉で漲り、傷み掛けの生臭さに早くも蝿が集り出す。見上げれば一切が空。天女も雲も何処へか消え失せている。</blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 不狼児</strong><br />　こんにちは。おまわりさん。駐車違反はしてないので、僕は悪びれず声をかける。返事がないのは、別に偉ぶっているわけじゃない。婦警さんの心配そうな眼差しを追って空を見上げると。<br />　あ、挽き肉。<br />　と思ったら雲だ。<br />　まだらに赤く隆起して、渦を巻いた雲だ。<br />　真ん中に開いた青空から、巨大な何かが落ちてくる。<br />　ぐんぐんと大きくなる。<br />　巨人だ。太古の戦争の犠牲者だろうか。途方もなくでかい。挽き肉の雲の数百倍はあるだろう。と見るとまた別のものが目に入った。<br />　何かいる。<br />　遠近法が狂ったように、落ちてくる巨人の手前に小さく。<br />　僕の三十メートルほど上空を、一心不乱に泳ぐ人がいる。海水パンツ一丁で、空気をつかみ、脚をバタつかせ、竜巻のように泳いでゆく。<br />　ぶつかる、と思った。<br />　避けられまい。どんなに速く泳いでも。落下物はあまりに大きい。泳ぐ人は物凄い圧力に煽られて雲散霧消。次の瞬間、大地はひび割れ、陥没し、衝撃波は地面を深くえぐって、樹木は倒れ、湖の底が抜け、すべての都市は崩壊するだろう。<br />　僕は蚤になって、婦警さんに跳びついた。布がはためく。衣更えしたばかりの制服は樟脳よりも強く、犯罪者たちの血と肉の匂いがする。<br />　僕は婦警さんの胸の上で巨大な地響きを聞いた。</blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：「見上げれば一切が空」って！！　峯岸さんは<strong>天才</strong>なんじゃないだろうか。青コーナまだ読んでないけど、これはもう赤コーナでしょう。<strong>馥郁たる名作</strong>。……と思ったらなんだなんだ、青コーナも<strong>中々うまい</strong>なあ。でも、これは赤コーナでしょう。だって、<strong>名作</strong>だもの。仕方がない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：赤コーナ<strong>圧倒的！</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：だよね！　もうね、作品から<strong>喚起されるイメージが空前絶後</strong>。作品が作品として、<strong>美しすぎる</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いやあ、いきなり「鰯」ときたときには、めちゃめちゃテンションが上がった、うわお、そうくるか、って。あの<strong>傑作に出会った瞬間の高揚感</strong>があったね！<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：鰯！　だからね。よし、この作品に<strong>極上超短編賞</strong>を与えよう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね。そうだね。極上だね。間違いないね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：青コーナも<strong>悪くない</strong>のだけれどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：まあね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：相手が極上超短編賞受賞作では仕方がない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そう、<strong>霞んでしまう</strong>ね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>相手が悪かった</strong>としか言いようがないね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：と言うわけで、これは<strong>断然、赤コーナ</strong>でしょうっ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>間違いなく赤コーナ</strong>でしょうね。<br /><br />

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<title>MSGP 2006 2nd（01）</title>
<description>　MSGP 2006 2nd ROUND を取り上げ、対談しています。　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-15T12:44:22+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
　MSGP 2006 2nd ROUND を取り上げ、対談しています。<br />　まだ選評を済ませていない方は、閲覧をご遠慮ください。<a name="more"></a><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第１試合：『君の隣には』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 水池亘</strong><br />「この人が私の彼氏だよ」<br />　そう言って彼女が訪れた時、僕は何を言っているのか良くわからなかった。<br /><br />　すべてを悟るのに一時間かかった。<br /><br />　今日も彼女は「彼氏」と一緒に僕の部屋へ現れる。<br />「ほら、あーんして」<br />　彼女はカップからアイスをすくうと木のスプーンを隣の虚空へ差し出す。溶けたアイスが滑り落ちてべちゃりと床を汚す。<br />　わかっている。これは罰だ。<br />　僕には絶対に見ることの出来ない、彼女だけの「彼氏」。僕なんかより遥かに彼女にふさわしいに違いない「彼氏」。その存在を僕は受け入れなければいけない。<br />　それでも。<br />「おいしいねー」<br />　本当に嬉しそうに隣の「彼氏」へ微笑む彼女を見て、僕は呻き声を漏らさずにはいられない。<br /></blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 銭屋龍一</strong><br />　窓を締め切っていても雨の匂いは部屋の中にまで忍び込んでくる。<br /><br />　目を閉じる。僕は霧雨の中に立っている。赤いパラソルが揺れている。<br />　あの坂道でいつも君と待ち合わせをした。君は元気なときには必ず赤いパラソルをさして現れた。だから赤いパラソルはしあわせのメロディーを奏で続けている。<br />　坂から見下ろした海は水平線までの間に外国航路の貨物船を何隻も見ることができた。<br />　僕はまだ行ったこともない国の話をする。君は興味深げにその話を聞いてくれる。<br />　君の笑い声は僕の心の深いところを心地良く揺さぶってくる。<br /><br />　愛を知った分だけ孤独は深くなった。<br />　幾つも幾つもの季節が過ぎ去った。<br />　君は誰よりもなつかしい人になった。<br /><br />　僕を愛したように今君は他の誰かを同じように愛しているのだろう。<br />　そこにいる顔のない人物に僕は嫉妬と深い悲しみを抱いてしまう。<br />　そしてそれはたぶん死ぬまで変わらないだろう。<br /><br />　雨の季節は少しだけあの頃に近い。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：青コーナがよく分からない。もしかして、ただ単に昔の彼女を懐かしんでるだけ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：雨で昔の彼女を思い出した、ってことでしょうけれど。ううーん。<strong>ひっかかるのは「元気なときには」という条件</strong>。「赤いパラソルをさして現れ」るのは、まあいいとして、人間なら、雨のときくらいでしょう。傘を差すのは。この昔の彼女はいったい何者？　そういう疑問は少し残るかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>憂鬱なときは、<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/title/works/059.html" target="_blank">緑の傘</a>を差していたのかもしれないよ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：降っても晴れても？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：日傘ってことじゃない？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：雨で彼女を思い出すことの根拠が薄くなる、それだと。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そうだね、言われてみれば。……赤コーナは水池亘さんだけど、今回はわりと分かりやすいね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：分かりやすいような、そうでもないような。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>「だから何？」系ではあるけれど、床に落ちるアイスのイメージが狂気的でいいと思う</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：罰になっているのは、どうしてだろう、とか、受け入れなければいけないのは、なぜだろう、とか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：どうして彼女が僕の元を訪れて彼氏を紹介しているのか、という点まで含めて<strong>世界観を広げようとしてるんじゃないかな</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>想像の働く余地が大きいよね</strong>。大きすぎない程度に。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そう、浮いた科白も妙にリアリティがある。けれど、その一方で「すべてを悟るのに一時間」だなんて片手落ちもある。一瞬で分かるでしょ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いや、単に片手落ちで片付けてよいものかどうか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：何かありそう？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：本当に罰なんだろうか、本当に受け入れなければならないのだろうか。とかいう作中でハッキリしてない点と、一時間もかかった点を整合性をもって想像できないだろうか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ふうむ。分かるような、分からないような。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：どういう状況なら相応しいだろう、と思うと、少し分かりにくい気もする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：投票するなら赤コーナかな。<strong>勝ち抜きそうなのは、どっちだろう。赤コーナじゃないかなあ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだねえ。青コーナも悪くはないと思うのだけれど、<strong>赤コーナの方が気迫があるっていうのかな、読者に訴えるものが強いよね</strong>。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第２試合：『絶対解』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： マンジュ</strong><br />　娘たちはみな裸で、左右どちらかの小陰唇に焼き鏝で数字を刻まれている。窓のない四角い部屋に何人もいっぺんに押しこめられ、体を堅く閉じ蹲っている。互いの呼吸は近く、触れ合った肌は汗ばむほどなのに震えはやまない。裸電球に飛びこんだ虫が落ちて死ぬ。<br />　その男には揺るぎない地位と財力があり、誰も知らない秘められた館で娘たちを代わる代わるいたぶることを享楽としていた。娘たちは男を満足させられればその日一日を無事にやり過ごし少ない飯にありつくことが出来たし、そうでなければその場で命を落とす。<br />　娘たちはかつてにぎやかな町で愛され、育った。親がありきょうだいがあり恋人があり、鮮やかな日々があった。今や娘たちには死のにおいの色濃い澱んだ日々しかない。<br />　一日の終わり、薄べったい毛布にくるまりながら娘たちは繰り返し同じ夢を見る。いつか、愛した男が自分を救いだしてくれること。顔立ちも年齢もさまざまだろう、故郷も生い立ちもさまざまだろう。ただひとつたしかなのは、どの男も、娘を守り抜くための逞しい腕を持っている。<br /></blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 影山影司</strong><br />　　江戸城の中庭にて忍装束に身を包み、構える者二人あり。闇夜黒装束の中で、眼のみ灼け爛々と光る。<br />　短刀を構える上忍の名を角牛刀の絶と言い、それに対するは両腕に縄を巻いた糸色の解。<br />　両者、五体満足で生き残る算段は無い。最悪互い死、最善で手足の一本も失おうと覚悟を決めていた。<br />　その様子を眼鏡越しに眺める大名達が卑秘と笑う。そして始まる見せ物試合、絶対解。<br /><br />　縮地にて接近。緊迫して構え、牽制、構え退き、牽制。錬磨と経験を繰り返した神経が、数十手後を予見し合う。<br /><br />　実力は拮抗。<br /><br />　否。読み合いを百幾らか繰り返した後、筋骨に一回りの利がある絶が、豪腕を振るうて刀をねじ込んだ。解の忍具「絡糸」が絶の腕、刀をギリリと握る。皮膚が裂け、肉が千切れても構わぬと、絶は力を込めた。刹那、三十六手後の死を感じ、解の顔から血の気が失せる。<br /><br />「兄貴、死にとうない」<br /><br />　不覚、絶の覚悟が淀んだ。<br />　反射、解の本能が躰を突き動かす。絡糸が牛角刀をペキリとへし折る。<br />　続行、絶は全身を絡み取られ、<br />「そうじゃの」<br />　とだけ言い残し、バラバラに解体されて息絶えた。　<br /><br /><br /><br />　その後の解の行方は誰にも解らぬ。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>やっべ、青コーナ最高じゃん！</strong>　中原昌也と山田風太郎を足して二で割ったような感じに思う。爆笑した。<strong>素晴らしい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：角牛刀の絶と、糸色の解、どっちがどっちか分かりづらいねえ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、そんなのは些細な問題だって。<strong>ふつうは「絶対的な解答」と受けとるところ、「絶と解の対決」にスライドしているのに加え「角牛刀」や「糸色」だなんて、ものすごい脱力じゃない</strong>。もう傑作。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：「絡糸」とか出さずに「糸色」にしなかったのは、どうして？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：それは分からない。どうしてだろうね。うーん「絡み取られ」って描写をやりたかったから、かな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：まあ、そんなことより、赤コーナに注目している。『絶対解』から、こうくるとは。もちろん、良く分からないんだけどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、話はわりあい単純でしょう。どうして「逞しい腕」かは、よく分からないけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：どのへんが絶対解？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：どこらへんがって、そりゃあ過<strong>酷な状況に置かれると白馬の王子様を夢見るのは必然だよね</strong>ってことじゃないの？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：うーん。そうなんかな。引っかかったのは<strong>「愛した男」と過去形になっている点と「救いだして」くれることと「守り抜く」ことは、ちょっと違う行為だと思う点</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、むしろ、<strong>どうして「逞しい腕」が共通しているのかが気になる</strong>。そこに何か必然性はあるの？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ああ、そうだね。だから、<strong>実際に愛した男はいて、今はみんな守るだけの腕力はついた、ってことかな？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、よく分からない。<strong>崇拝してるんじゃないかな、逞しい腕を持った男を</strong>。偶像のように。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：逞しい腕というのが、別に腕そのものじゃなくて、<strong>力の象徴的な比喩として使われている可能性はあるよね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そう言葉にされると説得力あるね。そんな気がしてきた。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：娘たちのいた、にぎやかな町では、「親がありきょうだいがあり恋人があり」ってことで、一応、愛した男は居たんじゃないかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：かもしれないね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：裸電球に飛びこんだ虫が気になるー。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：それは、いわゆる<strong>娘たちが置かれた環境の劣悪さを示すガジェットじゃない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>守り抜くことができるだけの力を持った男たち、でも救い出すような攻勢に出ることはできない、あるいはしたけれど、虫のように落ちて死んだ</strong>、とか思うのだけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ほほう。<strong>虫＝救いに来ようとした男</strong>、ってこと？　面白い解釈だね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：うん。それで『絶対解』なんだけれども、なんだろうね。<strong>娘たちにとっても、男たちにとっても、この状況を打破するための絶対的な解答が見つからない</strong>、てことか、<strong>あるいはこの酷い男が絶対的</strong>だと言いたいだけなのか。どうなのかは良く分からないけど、いろんな解釈が可能なのはこの場合は面白いと思う。それとその解釈のためのヒントを作中に散らしてあるというのも、上手いね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そうだね、うん、同意。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そういうわけで、赤コーナがいいなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：脱力する感じが好きなので圧倒的に青コーナを応援するけど、それがあるから第二試合は赤コーナが制しそう。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第３試合：『虹の歩幅』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 松本楽志</strong><br />　ふらついた犬が村なかを歩く。よくよく見れば、右手左脚を出すとき、また、左手右脚を出すとき、その傍らを素早くよぎるものがある。その歩みを写し取ろうとするかのように寄り添う影がある。しかし、その影はただむやみに細長く、複写とも模写ともほど遠い様子であった。やがて犬は脚をもつれさせて斃れた。息絶えたのは村長有する広大な休耕地のただ中である。犬の死骸が土に還るにつれ、土地は陥没し、ついに巨大な穴が現れた。当面使う予定のない土地故、村長が穴を埋めかねているうちに穴を見るために旅人が数多く訪れるようになった。虹の根もとにあるなにかを求めて来たと言うが、その立ち振る舞いが悉く軽薄でまったく信用がならない者ばかりである。やがて礼を失した旅人が穴をさらに掘り進む始末。村人が集い、旅人を罰しようとするその最中、穴の中から無数の影が湧き出す。影は連なって長く長く伸び、その連続さを恥じるそぶりで消えた。それを見た村人は、その日から歩みがぎこちなくなってしまう。どうもどこかへ向かって調整されている気がしてならない。だが、その調整が終わるまえに、戦争が起きて村は消えてしまった。<br /></blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： はやみかつとし</strong><br />　この円い遠浅の入江に棲む七色のアメフラシは、雨が上がるとその体内に光が点り、天空いっぱいにざらついたミラーボールのような虹を投射する。<br />　だからおまえは、水に足を踏み入れるときは気を付けなくてはならない。それを脅かさないように、ゆるやかに波打つ水面を透かして白い砂地に目を凝らしながら歩く。すると、不意にそれは足元で輝いたのだった。揺らめきながら体の前半分を撫でるように拡がる光におまえは一瞬、空に架かった虹をまるごと跨いだような気がして、誇らしくなる。だがそれきり入江には暫く晴れ間が覗かなくなった。燻るような弱い雨がいつまでも続き、おまえは青空を盗んでしまったのではないかと畏れて無口になってしまう。<br />　そんなことがあったのを、おまえはやがて忘れてしまう。遠い年月の先のある日、子供が浅瀬にしぶきを上げて虹を追うのを眺めながら、ふいに自分はあの虹のたもとまで行けたことがあったような気がするが、かぶりを振って心地よい眠気のなかに戻るともう別のことを考えている。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：分からん、無理。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：青のがいいかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：あ、ほんと？　実は私もなんとなく青コーナ。でも理由が分からない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>赤はなんだか、単に文を続けただけのような気がする</strong>。何を書こうとしているのか見えない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ふむふむ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：でも、青はなんとなく、イメージが湧く。たとえば、<strong>「ミラーボールのような虹」とは、太陽の比喩なのかもしれない</strong>、とか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：おおう！　言われてみれば、なるほどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：アメフラシを「太陽の力を暫く奪って、そうすることで雨を呼び、その間に奪った太陽の力を、雨上がりに放出する存在」と設定したらどうだろう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、ごめん。よく分からない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：雨上がりに放出する、というか、太陽に返す、とか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ゆっくり読めば理解できそうな気がするのだけど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：アメフラシが太陽に力を返すのを邪魔したら、そのあと暫くは雨が続くとか。と思いつつ読んでいたんだけれど、最後の段落が少し浮いていて、ここは要るのかなあと、少し思った。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ゆっくり読んでみた。が、最初に読んだときと同じ。<strong>いい具合に郷愁があるだけ</strong>。意味とかはよく分からない。ってか、最後のは重要でしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：まあ郷愁の源は、最後の段落だと思うけど。うーむ、まさか夢落ちということは、ないよね？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、それはないと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：だよね。<strong>青コーナが勝ち進むと思うなあ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：同じく青コーナと予想。理由は著者がはやみかつとしさんだから。こう言っては何だけど、<strong>松本楽志さんより人気がありそう</strong>。もちろん、本人の人気で選評が左右されるとは限らないと思うけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうなんだー。人気までは私は知らないや。なるほどね。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第４試合：『壊れたメトロノーム』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： よもぎ</strong><br />放課後の誰もいない音楽室が好きだった。<br />ピアノのふたを開けると、ホコリっぽい西日にカーテンが揺れた。ひとつ覚えのサテンドール。楽譜を見ながら弾いていると、ン・パン・ン・パンと手拍子の音がした。手を止めて振り向いた。見慣れない男子が微笑んで立っていた。「お上手ですね。どうぞ続けて」　優し気な瞳にそう言われて悪い気はしなかった。気のないふりをしながら、またピアノに向かう。彼は曲に合わせてオフ・ビートで手を叩いてくれた。弾むリズムにサテンドールが軽やかにスウィングする。ブルーノートが気持ちよくメロディを踊らせた。テーマを繰り返す手を止めることができず、いつまでもいつまでも私はピアノを弾き続け、弾き続け・・・。<br />気がつくと私は鍵盤に顔を伏せて気を失っていた。彼はいなかった。ピアノの端にそれがぽつんと置いてあるきりだった。手にとってゼンマイを巻く。針がゆっくり右から左に揺れて一度だけチンと鳴った。そしてもう二度と動かなかった。<br /></blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： 根多加良</strong><br />　しゃべりたかった。だけどしゃべらなければよかった。いつも言葉は思いには届かなくて。気持ちを言葉に出せなくて。ふたりでいたのに、ひとりでしゃべっていた。しゃべることだけしかできなくて、話されることにはなれていなくて、探して選んで探っていたり。教えたり教わったりするおしゃべりのしかたをどうやればいいのか考えたり。考えているとそれまでのことを忘れたりして。<br />　なにをしゃべろう、あれをしゃべろう、いましゃべっているよ。<br />　日曜日の夜、ぽっこりとした満月の下で交わした楽しいおしゃべりは、口の端からこぼれて、土に落っこちてくぼみのなかで溜まっていく。やがてくぼみから溢れ出す、おしゃべりは流れを空に昇ることも許されずに遮られて、息苦しく喘いでいる。<br />　どれもひとつのおしゃべりにならずに、どれもこれもテンポだけの、断片ばかり。どのおしゃべりにも繋がっていないおしゃべり。まとまらずにぷりんと弾いた。あらら、脂？<br />　弾かれたおしゃべりが地面に吸われていく。だからすべてが帰って、やり直し。<br /><br />　残されたものは月。<br />　消えていくものは太陽。<br />　あとはまっくら闇。<br />　ひそひそ声でそうぞうする。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：おおおお！！　これはこれは、<strong>赤コーナ、いいんじゃない！？</strong>　こういうの大好き！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>接戦だなあ</strong>。どっちもいいね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：青コーナは青コーナでいいよね。<strong>赤コーナは、お題そのまんまなのが欠点かな？　かな？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：わりあい直球だよね、赤コーナ。<strong>手拍子の擬音が巧みで良いね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>ン・パン・ン・パン</strong>でしょう。こんな手拍子されちゃあ、<strong>恋に落ちるよね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>よねー</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：青コーナも素晴らしい！　赤コーナがもっと稚拙だったら、存分に青コーナが誉められるのに。<strong>ねったかりょう！　ねったかりょう！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：青コーナは、メトロノームは出てこないのだけれど、<strong>すごくそれを読みながら意識させられた</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そうそう、自然で上手いよね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：最初はおしゃべりがメトロノームがしているものなのかと思ったから、なんだあと、残念に思ったけれど、そうじゃなかったね。リズムそのものみたいだし。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：うん、これは、<strong>青コーナが勝ちそう。うまくお題を処理してる</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：青コーナだな、やっぱり。<strong>直接書いてないのに、イメージさせられてしまう点が、すごく上手いと思った</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：でも、赤コーナの方が好きだから、別にどっちが勝っても不満なし。当方に満足の用意あり！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：まあね。でも勝ち抜くとすれば青コーナだと思うなあ。<br /><br /><strong><div style="text-align:center;">▼▼ 第５試合：『赤い箱』▼▼</div></strong><br /><blockquote><strong>赤コーナ： 脳内亭</strong><br />　すべて、止まれ。に染まる世界を、カレーのにおい背に駆けていく。長い長いしっぽのような影ふむ道。<br />　見上げれば、平らな空に、一点、くぼんだ雲があるとわかる。急ごう。<br />　声を聞いたんだ。<br />　四つ角で図らず迷う。足も止まれば、耳元で風の甘いささやき。しっぽの先がトガる。なびくのか？　成長を恐れないと言えば嘘になる。だけどおれ、だけどおれは。<br />　正義の味方まっすぐに。<br />　辛くも着いた公園には、ジャングルジムの飛行機。さあ乗りこめ、鍵となって、あの空のイビツに突っこんで、回せ。<br />　声を聞いたんだ。<br />　夕暮れに閉じこめられた、夜が泣いている。<br />　泣かしてんじゃねえ。<br /></blockquote><br /><blockquote><strong>青コーナ： キセン</strong><br />　針金の上での直立に似た不安定な眠りのなか、あなたは何かが喉をせりあがってくるのを感じる。ん、と思うと次の瞬間にそれは猛烈な勢いで口のなかにあふれ出る。あなたは何がなんだかわからないまま必死で唇を閉じているが、途切れなく上ってくるそれに長く耐えられそうにない。それでも耐えていると鼻から噴き出る。吐瀉物は鼻から出ないだろう。あなたはそれが血であることを知る。そして自分が死ぬことをも。残された時間はほとんどない。とうとう閉じた唇の端から血がだらだらと流れ落ちる。あなたは失禁したかのような恥ずかしさを覚える。急に力が入らなくなり、ぼんやりと唇が開く。意外なほど長い時間血液が飛散する。あなたは吐血する自分をぼんやりと眺める。意識が痺れる。布団も枕も真っ赤に染まっていく。ふと、開いた掌の上に何かが落ちるのを感じ、視線を向ける。箱だ。もとは別の色だったのかもしれないが、すでに血の色に染まっている。あなたはそれを見て、そのなかには生が入っているのだという確信を得る。自分が吐き出したあの箱のなかには、わずかに残された生が入っているのだと。あなたはその箱を残された力を使って開ける。<br />　あなたは七秒後に死んだ。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>キセンさんは、こんなに上手い超短編を書くなら『雲上』に書いてくれればいいのに！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>：うーむ。<strong>どっちがいいとか言えない感じもするなあ</strong>、この二作だと。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、圧倒的に青コーナじゃない？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：どうでもいいけど、<strong>赤い箱って赤コーナの作品が入ってるのも、赤い箱だよねー</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ああ、言われてみれば。え、もしかしてそれを意識してる？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：いんや、ぜんぜん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：だよね。赤コーナは一行目に「すべて、止まれ」ってあるじゃない、ここから赤信号を連想して、でも赤信号は「止まれ」じゃないよなあと引っかかってしまった。と言うか、<strong>言葉選びがそれほど上手くないように思う</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：え、赤信号は止まれじゃなかったっけ？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ええっと、上手く説明できないけど、右折するために交差点の中央近くまで出てきた車は、赤信号になってから交差点から出るために右折を完了させるよね？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そうだね。交差点への進入行為に対して「止まれ」なのが赤なんじゃない。既に交差点に入ってる車は、信号を過ぎてるから、進めるんだと思うよ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：なるほどね。でも、まあ、どちらにせよ「すべて、止まれ」じゃないでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そこは書き方が悪いんじゃないかな。「すべて「止まれ。」に染まる世界」だと思うよ。つまり夕方だと言いたいんだと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ほほう、そういうことか。ってか、夕方なのは分かるけどね。<strong>そう格好いい表現でもないでしょう</strong>？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：まあ他でも書いてあるからね、夕方だって。<strong>格好いいかどうかとなると、まあ普通の表現だと思うけど</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>青コーナは格好いいよ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：表現の上手さでいえば、圧倒的に青コーナでしょう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：そうそう、痺れる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：ただねー、<strong>表現だけで押し通してる気もする</strong>んだよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：いや、そうかなあ。箱が何であるか、その中身がなにか、どうして七秒後なのか。謎をばら撒いているから、想像して楽しめる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：疑問には思うけれど、解くための手がかりが無いんだよね。想像の余地が大きすぎるように思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ううん、でも、キセンさんのそれは作風でしょう。彼の感じは、エレベータのときからずっと継承されて、しかも成長してると思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：エレベータ？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/title/king1.html">ここ</a>の真ん中ぐらい、密室劇場。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：密室劇場の方は、主人公の狂気的な欲求とか、エレベータが止まらないとかが、面白いけれど、今回の作品はどうだろう、そういう要素がないと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ふうむ。まあ、確かに再読する前は一続きの、連続性があるように錯覚していたけれど、再読してみるとそうでもないね。今回の作品の方が達者になっていると思うけどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：描写に関しては、私もそうだと思うけれどね。……パンドラの箱？　あれって、なんか開けると世界が滅ぶとか、そういうのだっけ？　記憶があやふやなんだけども。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：え、違うでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：あ、記憶違いか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ええっと、パンドラっていうのは全てを与えられていた女の子で、でもこの箱だけは開けちゃいけないよって言われて、でも好奇心に負けて開けちゃったところ、世界に悪意が解き放たれてしまう。とかじゃなかった？　青コーナのこの話とは関係ないでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%AE%E7%AE%B1">うぃきぺでぃあー</a>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：困ったときのWiki頼みだね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：便利だねインターネットって。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：ああ、そう言えばブギーポップの三巻だったか四巻だったかで題材にされてたね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：「希望だけは失わずにすんだ」だって。二度目に開けたら、希望が無くなるよね。それと死んでしまうことは、関係ない、か。まあ、七秒後の説明にはなってないから、違うかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：うん、関係ないでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：じゃあ気のせいってことで。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：と、<strong>青コーナを絶賛しておいてなんだけど、勝ち抜くのは赤コーナで決まり。これはガチ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：<strong>私も赤コーナだと思う</strong>。ぜひBの赤コーナだっていう理由を聞いてみたいね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：<strong>500文字の心臓では、純粋な上手さや斬新さより、その作品が要する背景や喚起されるイメージのバリエーションが評価される傾向にあるから</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：そういうものか。じゃあ私の基準は500文字の心臓寄りなのかなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>：だから、さっきのはやみかつとしさんの作品もいくつか☆がつくんじゃないかな。<br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>：じゃあ、残りはまた明日。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>：また明日ー。

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<title>緑の傘編（07）</title>
<description>B:じゃあ、私たちの正選と逆選を発表しますか。A:うい。＜A選評結果＞○＜緑の傘１９＞わんでるんぐ○＜緑の傘３３＞オギ△＜緑の傘３＞藤田岩巻△＜緑の傘３９＞sleepdog×＜緑の傘１５＞まつじ＜B選評結果＞○＜緑の傘８＞三里アキラ○＜緑の傘３６＞雪雪△＜緑の傘２１＞砂場△＜緑の傘３３＞オギ×＜緑の傘２５＞雨街愁介B:思っていたより被らないものだね、どれどれ……A:だねぇ。B:＜緑の傘１９＞は私も悩んで落としたんだけど、＜緑の傘３＞を持ってくるのか。へえ。そして＜緑の傘１５＞..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-09T17:55:42+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
<span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、私たちの正選と逆選を発表しますか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うい。<br /><blockquote><strong>＜A選評結果＞</strong><br />○＜緑の傘１９＞わんでるんぐ<br />○＜緑の傘３３＞オギ<br />△＜緑の傘３＞藤田岩巻<br />△＜緑の傘３９＞sleepdog<br />×＜緑の傘１５＞まつじ<br /></blockquote><br /><blockquote><strong>＜B選評結果＞</strong><br />○＜緑の傘８＞三里アキラ<br />○＜緑の傘３６＞雪雪<br />△＜緑の傘２１＞砂場<br />△＜緑の傘３３＞オギ<br />×＜緑の傘２５＞雨街愁介<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>思っていたより被らないものだね</strong>、どれどれ……<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:だねぇ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘１９＞は私も悩んで落としたんだけど、＜緑の傘３＞を持ってくるのか。へえ。そして＜緑の傘１５＞が逆選か。へえ、ほお。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:私は＜緑の傘３６＞を迷って落としたけれど。＜緑の傘２５＞は最初から選択肢になかったなぁ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:逆選は＜緑の傘２５＞と＜緑の傘５＞で迷った。次点枠が三つだったら、＜緑の傘１３＞も入れていた。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:＜緑の傘５＞は最初に迷って落としたなあ。<strong>面白かったのを選んで、その中から正選と次点と逆選を弁別してったんだけどね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:私<strong>はまず面白いのを選んで、よりテーマを意識しているのを正選。面白いけどテーマから乖離してしまっているのを、次点とした</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>テーマに沿っているのは当然、と思ったので、それも含めて面白かったものを私は最初の段階で選んだつもり</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:しかし、＜緑の傘３＞かー。やっぱり、最終行？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。私からすれば＜緑の傘８＞かー。だけどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘３３＞を正選に挙げているけれど、これは泣けるし最高だけど、ややテーマから離れていると思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうかな。緑の傘と良雄さんが重なるし、それによってシロは雨から守られてるんだし、テーマは十分に生かされていると思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ふうむ……。じゃあ、まあ。<strong>お互いが高く評価している、＜緑の傘３３＞をAB賞、＜緑の傘１９＞をA賞、＜緑の傘８＞をB賞とでもしましょうか</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、「緑の傘編」はこれにて幕。次は「歴代の逆選王編」にてお会いしましょう～<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:しましょうー<br /><br /><br />　以下、著者一覧。<br /><blockquote>＜緑の傘１＞作者：軍服<br />＜緑の傘２＞作者：ヤマダ天使<br />＜緑の傘３＞作者：藤田岩巻<br />＜緑の傘４＞作者：山田式<br />＜緑の傘５＞作者：根多加良<br />＜緑の傘６＞作者：naokin<br />＜緑の傘７＞作者：アッキー<br />＜緑の傘８＞作者：三里アキラ<br />＜緑の傘９＞作者：てるり<br />＜緑の傘１０＞作者：フルヤマメグミ<br />＜緑の傘１１＞作者：安部レラ<br />＜緑の傘１２＞作者：きき<br />＜緑の傘１３＞作者：楠美曼寺<br />＜緑の傘１４＞作者：伝助<br />＜緑の傘１５＞作者：まつじ<br />＜緑の傘１６＞作者：瀬川潮<br />＜緑の傘１７＞作者：脳内亭<br />＜緑の傘１８＞作者：階段室<br />＜緑の傘１９＞作者：わんでるんぐ<br />＜緑の傘２０＞作者：小烏ことり<br />＜緑の傘２１＞作者：砂場<br />＜緑の傘２２＞作者：マンジュ<br />＜緑の傘２３＞作者：ササハラ<br />＜緑の傘２４＞作者：井上斑猫<br />＜緑の傘２５＞作者：雨街愁介<br />＜緑の傘２６＞作者：不狼児<br />＜緑の傘２７＞作者：春名トモコ<br />＜緑の傘２８＞作者：美土里<br />＜緑の傘２９＞作者：天原<br />＜緑の傘３０＞作者：五十嵐彪太<br />＜緑の傘３１＞作者：よもぎ<br />＜緑の傘３２＞作者：空虹桜<br />＜緑の傘３３＞作者：オギ<br />＜緑の傘３４＞作者：由香<br />＜緑の傘３５＞作者：ツチ<br />＜緑の傘３６＞作者：雪雪<br />＜緑の傘３７＞作者：T-Ben<br />＜緑の傘３８＞作者：たなかなつみ<br />＜緑の傘３９＞作者：sleepdog<br />＜緑の傘４０＞作者：黒衣<br />＜緑の傘４１＞作者：影山影司<br />＜緑の傘４２＞作者：今井モモタロー<br />＜緑の傘４３＞作者：はやみかつとし</blockquote><a name="more"></a>

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<title>緑の傘編（06）</title>
<description>＜緑の傘３４＞洋子の傘は緑色。それが、恋が上手くいく彼女だけのジンクス。きっかけは単純。ありがちだけど、小学生の頃、少し好きだった男の子と一緒に学校から帰っていると、雨が降ってきた。で、道端に在った大きな葉っぱで相合傘で、歌いながらスキップで帰ったという話。洋子の今の傘は大きなカエルの顔の傘。これまで恋は上手くいったことも、いかなかったこともあった。でも洋子はこのジンクスを大切にしている。緑色の傘を差すと、あの日の雨と共にキラキラした気持ちを思い出す。今の恋は、上手くいってい..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-08T17:54:11+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
<blockquote><strong>＜緑の傘３４＞</strong><br />洋子の傘は緑色。<br />それが、恋が上手くいく彼女だけのジンクス。<br />きっかけは単純。ありがちだけど、小学生の頃、少し好きだった男の子と一緒に学校から帰っていると、雨が降ってきた。で、道端に在った大きな葉っぱで相合傘で、歌いながらスキップで帰ったという話。<br /><br />洋子の今の傘は大きなカエルの顔の傘。<br />これまで恋は上手くいったことも、いかなかったこともあった。<br />でも洋子はこのジンクスを大切にしている。<br />緑色の傘を差すと、あの日の雨と共にキラキラした気持ちを思い出す。<br />今の恋は、上手くいっている。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>だーかーらー、なーにー？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:洋子のジンクスの説明でしょ。そんなことされても<strong>面白くもなんとも無い</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もう少し落ちにキレがあればよかったね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ジンクスがなにかこの先を予想させるような要素になってるとかね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３５＞</strong><br />　靴下のことも忘れて、夜更かしをしたからなんだろうね。<br />　冷たい雨が降ってくる。<br />　まぶしい駅前から逃げるようにして、改札を抜け出た僕は走りだした。<br />　小さな街灯のかげに、君はいた。雨があんまり冷たいので、魔法はもうほとんど残っていなかった。<br />　セロハンテープで貼り付けられた、折り紙、しわくちゃのアルミホイル。とけて流れて消えていく。<br />　残ったものはただ、君と僕と緑の傘だけ。<br />「だから早くって言ったのに」<br />　君は下唇をかんでしまう。<br />　そうだねごめんね、僕はいつも少し遅いね。<br />　でも雪が降らなくたって、君の手をとるよ。そんなにびっくりしないで。<br />「だってプレゼントなんでしょう」<br />　ツリーの下にはプレゼント。そんな絵本を昔、読んだよ。<br />　目じりにキッス、大丈夫、すべて隠してくれるから。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん、どういうこと？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:また分かりにくいというか難しいね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん、駄目。分からない、パス。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:クリスマスが過ぎてるみたいだね。魔法で飾り付けされていた、というか、そんな感じ？　飾りの無くなったツリーが緑の傘、だと思うけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:過ぎてる、のかな？　ツリーはもみの木でいいんだよね？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:もみの木だと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ふむふむ。となれば、案外、ストレートな話なのかな？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:過ぎてないのか。靴下飾るのってイヴだっけ？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:イヴの夜に飾ると、クリスマスの朝にプレゼントが入っているはず。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、そっか。じゃあ当日だ。その夜、かな。「雪が降らなくたって、君の手をとる」というのと「「だってプレゼントなんでしょう」」という台詞がちょっと分からないけれど。あと「すべて隠してくれるから」も。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>ちょっとガジェット飛ばしすぎ</strong>な気がする。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>飛ばしすぎ、とは？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、<strong>用意しすぎているがゆえに、本質が見えづらい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３６＞</strong><br />金属反応の正体は固定軌道式交通機関の跡―線路だった。横断すると蘇鉄の群落の向こうに海岸が見えた。ウミネコが群れるふたつの陸繋島に区切られた小規模な白砂の浜。<br />イレギュラーな色彩を検出。汀線限界から３イルギィの位置に傘が落ちている。人間は雨に濡れることを忌避し、これを上肢に把持して降雨を遮った。<br />接近する。<br />拾い上げながら操作法を検索し（状態は良好。通常因果を逸脱してここに置かれたものかもしれない）後退しながら開いた。付着した砂が散る。紫外線を浴びて褪色し、緑の濃淡による縞模様になっている。表面に黄色い塗料で文字が書かれている。未解読の文字だが、因果履歴を追尾してみると、遠隔的な願い―祈りがエンチャントされている。貴重な情調遺物。感染効果で好奇心が励起される。好奇心に対する好奇心が喚起される。<br />腹腔を開いて格納するべきだったが陽光を遮るように掲げくるくると回した。光学認知系を人間設定まで低下させると、文字が黄色い輪になって視えた。情調検索して「わくわく」を拾い出した。反芻してみる。わくわく。わくわく。<br />「緑の傘を拾う」を「わくわく」を表わす慣用語法として申請する。<br />この語法は２２万７千年にわたって断続的に存続した。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>いいねいいねいいね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>うん、いいね</strong>。ちょっと地理学っぽい用語が最初に頻出して読みにくいけどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:陸繋島や汀線は、本当にある言葉なのかな？　意味がよく分からないけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:あると思うけれど。調べてみるよ。とりあえず陸繁島に関しては<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B8%E7%B9%8B%E5%B3%B6" target="_blank">ここ</a>。汀線は、<a href="http://www.db.fks.ed.jp/txt/10031.102.takine/html/00004.html" target="_blank">ここ</a>とか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:へええ、またひとつためになったよ。「因果履歴を追尾」の下りは最高にいいね。<strong>溶けそうになる</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「因果履歴」とか、いいよね。<strong>文字を未解読のままにしておくのも、想像力を刺激されて嬉しい</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３７＞</strong><br />『地球には緑が足りない』と声高に叫ぶ環境団体が、ここのところ躍起になって人口雨を振らせ続けている。<br />　クロレラをたっぷり含んだ緑がかった雨。<br />　その雨粒はねっとりと粘ついていて、ワタシの透明なビニール傘はすぐにその緑で重たくなる。<br />　家についたら、へばりついたスライムのような塊を水道水で洗い流す。<br />　錆び色の水に流されていく緑色の微生物たちは、地球に寄生している人間たちを嘲笑いながら排水溝へと滑り落ちていった。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>だから（略</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>同感</strong>。いやでも、「嘲笑いながら」のあたりは、少し考えてみた方が良いかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ふむ、確かに、きれいなだけではない。世界はきれいなものだけで構成されているわけではない、という主張を感じるね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「人口雨」は誤字かな。「人工雨」だよね、きっと。ついでに言えば「振らせ」も「降らせ」だろうけれど。単純なミスだけど、<strong>字に気を使っていないような印象</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん、<strong>こういう瑕疵を残してしまうのは残念</strong>だね。まあ、「だから何？」系である時点で、もう駄目だけど。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３８＞</strong><br />　ぼくの父はアマガエル。雨が降るとけろけろ鳴く。ぼくの母はウシガエル。雨が降るともうもう鳴く。ぼくが都会へと旅だった日、ふたりは緑色の傘を餞別にくれた。それはとても古くて重たい傘で、ぼくはとにかく気に入らなかったけど、荷物の底に詰め込んだ。<br />　都会の暮らしは楽しかった。そこには土も茂みもない。ぼくはアスファルトのうえで踊るようにして暮らした。田舎のことも緑の傘のことも、ちっとも思い出さなかった。<br />　ある日、田舎から訃報が届いた。父は車にひかれて、母はハンターに捕らえられて、死んだという。でも辛いはずのぼくは泣き方を思い出すことができなかった。みじめな気持ちで緑の傘を部屋の奥から掘り出した。ぎちぎちとかたまっていた傘をゆっくり開き、その緑色のかげのなかに身を横たえる。そして思い出す。この深い緑をぼくは知っている。草むらを水田を走り回った雨の匂い。広げた傘からしとりしとりと雨が落ちてくる。父の鳴き声が、母の鳴き声が聞こえる。ぼくの喉がゆっくりと震えだした。それは小さな小さな、やっと取り戻したぼくの鳴き声だった。ぼくは鳴いた。父を思い母を思い、鳴いた。<br />　緑色の傘をさし、ぼくは明日田舎へ帰る。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>これは説明不足</strong>。主人公がどうして都会に行くのか、どうして都会での暮らしの方が田舎よりいいのか。両親が亡くなった後、田舎に帰ってどうするのか。<strong>両親の死を知ったときの主人公の感情が、感傷にしか見えない</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。<strong>緑の傘がいまいち活きていない</strong>ような気もする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:それもある。「だから何？」一歩手前と称して差し支えない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まったく。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３９＞</strong><br />　この街もまたなす術もなく暑くなり、一週間も続けてスコールが降るようになった。ずっと冷房をつけっぱなしなので電気は自然と不足し、最近のビルは今更エコマーク入りのソーラーパネルを大きく広げ、陽射しも雨もさえぎっている。でも、それで地面に恵みが届かないわけでなく、パネルのあい間から滝のように結局流れ落ちてくるのだ。光が水に乱反射し、街の景色も瞬くごとに移り変わる。<br />「うひゃあ、たまんないね！」<br />　参ってるのか悦んでるのか、おこぼれを浴びたヤシの木は声をあげて騒いだ。大柄な肩をふるわせ、頭のなかを洗うように伸びをする。リサが上目づかいに押し黙っていると、ヤシの木は「もうそんなこわい顔すんなよ」と腕をとり、湿ったからだに引き寄せた。<br />　やっぱり会うんじゃなかった。リサは前髪で瞳を隠し、甘える心を一言ずつ噛みつぶす。でも、枝葉のあい間から棒のように流れ落ちてくるのだ。<br />　髪もシャツもビリジアンのスカートも濡れてしまう。今日のために買ったのに。鼻をすするリサの足元に小さなヨシガモがひと休みに寄ってきた。スリットのあい間からも糸のようにみんな流れ落ちていく。そして羽のあい間からも、道に芽ぶく双葉へ向かって。 <br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:たまんないね！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いいね！　<strong>熱気と瑞々しさと、リサの感情とヤシの言葉遣いとか</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、正直、参った。読みづらい。よく分からない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ええー。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>何がいいの？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>炎天下の水浴びのような感じ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「この街もまたなす術もなく暑くなり」の「またなす」って何？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「この街もまた」、「なす術もなく」じゃない？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ああ、なるほど。じゃあ、「それで地面に恵みが届かないわけでなく」とかは。悪文じゃない？　爽快感を前面に押し出したいのなら、一行目をカットして、「うひゃあ、たまんないね！」を最初に持ってくればいんじゃないかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いや、確かに炎天下の水浴びのような爽快感はあるけれど、それと同時に爽快感というか、してやったり感みたいなのが、いくら覆っても雨が地面に届く、という点じゃないかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん、よく分からない……。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>生命力を感じるよ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、<strong>元気は溢れていると思うけれど</strong>。<strong>趣味の違いかなあ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ちょっと残念だなあ。Aが味わえて、私が味わえないというのは。残念だ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ふっふっふ。独り占めだー<br /><blockquote><strong>＜緑の傘４０＞</strong><br />　点け放しのラジオから、オオアメコウズイケイホウという声が聞こえる。また雨だねと驟子は言う。寮の窓では長方形に切り取られた欅の葉並が少しずつ、それぞれ雨滴に打たれて微かな震えを見せている。そう、我々がこの部屋で迎える朝は雨。<br />　高校の同級生、今は月一の呑み友達、それから夏至の夜以来の交情。これで我々の関係の全て。<br />　ドア際まで送って、使えばと差し出す。いつも持って行きっぱなしで持ってこないから、これで最後だよ。サークル仲間の忘れ物の折りたたみ。<br />　（「恋愛」という言葉の隣に「友愛」という言葉があることを憶えている？）<br />　いいよ。要らないという意味。その色、嫌だから。<br />　ドアが開く。水と風と欅の匂い。それだけを残して、じゃあね。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:欅。ああ、やはり欅は、けやきと読むのか。驟子は、しゅうこ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:難読だね。けやきを思い出すのに時間がかかった。驟子は、たぶん、しゅうこ、かな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:驟雨の驟だね、多分。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:と言うわけで、<strong>漢字の難しさの方に意識が傾いてしまった</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>読むのに懸命になってしまって、物語が入ってこないね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:朝まで飲んで、朝を迎えて、雨が降っていたから傘をあげて送り出すところ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:だね。何色か知らないけれど傘は色が嫌いだからと断られてるね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:中盤の括弧は主人公と驟子、どちらの科白だろう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:驟子だと思って読んだけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:主人公は男なのかなあ。異性の飲み友達と宅飲みするかなあ。「我々がこの部屋で迎える朝」というフレーズからは、ふたりがエッチしたように見えるけれど、驟子はなんとなく冷たそうなイメージ。驟子は主人公に対して友愛の感情を抱いているけれど、主人公は恋愛したいってことなのかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか。異性とは限らないか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よく考えたら、異性にせよ同性にせよ、恋愛感情は抱けるから、主人公が男かどうかは問題じゃないね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:だよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、よく分からないけれど、<strong>多様な読みができるという点において、そう悪くない作品だと思う</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:私は、恋愛のあとに友愛という言葉が来ていることと、最後の「じゃあね」から、<strong>別れの話かと思ったんだよね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そう指摘されると「これで最後だよ」あたりも意味深だね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>夏至の夜から一緒に朝を迎える仲になったけれど、もうまた呑み友達に戻りましょう、みたいな</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>おお、なるほどね</strong>。<strong>いいね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>うん、まあまあだね</strong>。緑の傘がないけども。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘４１＞</strong><br />　新世紀というフレーズが腐るほど古臭くなる頃、軒先に緑の傘が逆さに並ぶ。緑の傘はバイオテクノの粋を集めたパラポラである。日没と同時に眠り、日出と共に目覚めてCo2を貪る。暫くもしゃもしゃ咀嚼を繰り返し、気が済んでは管からぺぺっとO2を吐き、またCo2を戴く。<br />　嗚呼。今時、街路樹は全て緑の傘。見てみよ、緑地帯に溢れ咲く人造生物の群れを。「便利で良い世の中になったね」と若者は誰も彼も同じ顔で笑いあうのだ。<br /><br />　見てみよ。<br />　新世紀だ。<br />　キヅケヨ。<br />　新世紀だ。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:今ひとつ。最後の四行は余分じゃない？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。最後の四行はいらない気がするけれど<strong>「キヅケヨ。新世紀だ」はどっかにあってもいいかもね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>「キヅケヨ」はちょっといいよね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:奇怪な世界に合ってると思う「キヅケヨ」は。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「嗚呼」あたりもそうだけど、<strong>ちょっと歌詞っぽい</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘４２＞</strong><br />　きみの緑いろした傘が、雨のなか、鮮明にうかびあがっていた。<br />　目を、閉じる。<br />　雨の下校時刻、教室からみている。<br />　淡く、うすい緑いろ。控えめで、あまりクラスでも目立たないひとだったけど、あの緑の傘が、ふしぎときみの存在を示していたように思う。<br />　雨のなかで輝く。<br />　どこにもない緑いろだった。他のどの緑いろとも違って見えた。しずかな雨のなか、ぼくのこころにやさしく燈った灯りだった。<br />　雨の季節が終わって、汗をたらしながら忙しい夏期講習にあけくれ、二学期からぼくは進学コースにゆき、きみとはなれた。それから、ぼくに、あの灯りのみえることはなかった。<br />　都会の大学にきたぼくの目に映ったのは、けばけばしいネオンライトで。つめたいだけの雨を避けて閉じこもったぼくのこころで、あらゆるものは色あせてしまい。すべて消えてまっくらになりそうな、そのとき、ひとつの灯りがぼくを導いたのだった。ここはぼくのいる場所じゃないんだ。<br />　故郷に戻って、少しずついろをとりもどす景色の果てに、緑の傘が遠ざかっていく。<br />　追いかけて。声をかけてみても、ふりかえったのは知らない少女で、声をかけたのも、知らない少年だった。<br />　目を開ける。<br />　雨がやんで、もう、緑の傘は、みえなかった。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:なんとも言いがたいなあ。これも一歩間違うと「だから何？」に堕してしまうけれど、最後まで読むと<strong>不思議な哀愁がある</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:これは、いいと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、そんなに？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そんなにってことでもないけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そこそこ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そこそこ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>文体でちょっと損してるよね</strong>。スマートでない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>多少、読みにくいかな</strong>。漢字にしといて欲しかったところがいくつか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:夏期講習より塾や予備校の方が良かったかな。漢字を減らすことで味が出ているだけに。「輝く」もひらがなでよかったでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「目を、閉じる」から「目を開ける」までが回想というか幻想なんだろうけれど、<strong>その中でも「知らない少女」で「知らない少年」だってのが、いいよね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>知らない少年は、かなりいい</strong>。素晴らしい。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘４３＞</strong><br />　眩しくて見てられなかったので、泥水に浸けてがしがしと踏んづけたのだ。土色に溶け込んだのを確かめてようやく息がつけた。これでもうただの骨格化石。時間軸の交わることもない遠い歴史だ。<br />　なのに、がらんどうの部屋でその夜夢を見た。あの傘と同じ目映い色の蕗が大きく背を伸ばしている。雨露を葉の上ではじいている。その葉陰を覗くと、茎を楽しそうに回しながら持っているのは君だ。手を少し高く掲げると茎の先をチュッと吸って笑った。甘露、なのだろう、思わず僕も微笑む。しかしその瞬間君はくるくると回り出し、スピードを上げたかと思うと二人になる。二人は少し立つ角度を違え、少しだけ違うスピードで回り続ける。そして二人は四人に、四人は八人になり、ときどき茎の露に口づけては笑みをこぼし、ますます楽しそうに回り続ける。笑うことも忘れて僕は猛烈な勢いで増えてゆく君と蕗を茫然と眺めている。そして蕗の葉が見渡す限りの地面を覆い尽くしたかと思うと、いきなりすべてが消えた。蕗も君も掻き消え、僕の手には握り締めて萎れた小さな茎が一本だけ残される。<br />　目が覚めた。…きっと僕は同じことを繰り返すのだろう。カーテンを引くと、雨露の残る新緑が目に飛び込んできた。 <br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よく分からないけど、<strong>雰囲気はいいね</strong>。「君」がかわいらしい。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな。だから何、と思わなくもないけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、これは雰囲気を楽しむものでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>あ、彼女、殺しちゃったのか？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>――え</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか、骨格化石ってなんだろうなー、と思って。<strong>少しずつ回るスピードが違うのは、別の彼女だから、だったりするんじゃない？</strong>　あと、蕗まで増えてるとは最初思わなかったので「増えてゆく君と蕗」を読んだときちょっとびっくりした。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そう念頭に置いて読むと、っぽいね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>恐くなってきた</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:彼女が可愛いだけに、さらにね。<br /><br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、集計結果でも。＜緑の傘３４＞と＜緑の傘３５＞はいいか。＜緑の傘３６＞はいいね。<strong>なんか、ようやく評価基準で同意を得られた気分</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。<strong>適切な評価だと思う</strong>。<strong>適切というか、納得の</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>そうだね、ほっとした</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:だね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘３７＞＜緑の傘３８＞も飛ばして、＜緑の傘３９＞はどう？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うーん。これはなぁ、ちょっとスルーされすぎてる気もする。そんなにやたらと良いってことでもないから、あまり強くは出ないけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:私はこんなもんだろうと思うけどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かなあ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘４０＞飛ばして、＜緑の傘４１＞はちょっと見てみたい。悪くないと思うけど◎××かなあ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:次点くらいな気がするけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうそう。○△みたいなね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。逆選ていう感じはしないけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>＜緑の傘４２＞がスルーされているのは残念</strong>。まあ、仕方ないという気もするけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>仕方ないのか。残念だな</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>だって、瑕疵が多いでしょう</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、まあ、そうだね。確かに。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘４３＞はー、まあ、こんなものか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあ、そうかな。<a name="more"></a>

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<title>緑の傘編（05）</title>
<description>＜緑の傘２２＞　追いかけっこに疲れたのであっくんと一緒に木蔭で休む。ぬしさまと呼んでいるその木は、あっくんと二人、向こうとこちらで手を繋ぎ合ってわっかをつくろうにも抱えきれないほど太くて大きい。葉っぱは緑色が濃くて奇麗だ。幹は特別ひいやりとしている。　ぬしさまの下は静かで涼しい。　追いかけっこの途中で、あっくんとキスをした。瞼を閉じたら陽射しに射られた。上瞼と下瞼が合わさった瞬間、じゅッと熱がはじけた。重ねた唇にも電流が走ったみたいになって、吃驚した私たちは慌てて体を離した。..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-07T17:52:10+09:00</dc:date>
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<blockquote><strong>＜緑の傘２２＞</strong><br />　追いかけっこに疲れたのであっくんと一緒に木蔭で休む。ぬしさまと呼んでいるその木は、あっくんと二人、向こうとこちらで手を繋ぎ合ってわっかをつくろうにも抱えきれないほど太くて大きい。葉っぱは緑色が濃くて奇麗だ。幹は特別ひいやりとしている。<br />　ぬしさまの下は静かで涼しい。<br />　追いかけっこの途中で、あっくんとキスをした。瞼を閉じたら陽射しに射られた。上瞼と下瞼が合わさった瞬間、じゅッと熱がはじけた。重ねた唇にも電流が走ったみたいになって、吃驚した私たちは慌てて体を離した。極まり悪さをごまかすように力いっぱい追いかけ合った。<br />　並べた膝が触れ合ったから、ぬしさまの下でもう一度、キスをした。最初はおずおずと、それからひしひしと。<br />　ぬしさまの下は静かで涼しい、閉じた瞼に熱ははじけない。唇の温度は嘘みたいに心地よかった。うっすりと目を開けると、触れ合った膝にぬしさまの影。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>完成度が高い</strong>と思ったけれど、二点だけ気になった「瞼を閉じたら陽射しに射られた」と「極まり悪さ」。前者はかなり大きい木のようだけど、陽射しが葉の隙間から突き抜けてきたってことかな？　後者は「極まり悪い」っていうの？　……辞書を引いてみた。言うみたいだね、極まり悪い。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:言うだろうけど、この字面からだと「極悪」を想起してしまうから、なんだか不似合いな気がした。というか、そんなに完成度高い？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、感じないかな。なんだか読んでいて<strong>心がほんわりあたたかくなったよ</strong>。いい話じゃない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いい話だし、綻びって点ではできているけれど、<strong>表現とかは特に普通じゃない？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「ひいやり」や「おずおずと、それからひしひし」あたりは、なかなか書けないでしょう。良作だと思うよ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「ひしひし」は、まあ、そうかな。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２３＞</strong><br />雨の日の朝、玄関を開けると河童が立っていた。<br />大きな葉っぱを傘代わりに差している。<br />何用かと聞けば、旅の途中で腹が空いたので胡瓜を分けて欲しいという。<br />私は快く家に上げると、胡瓜を三本と酒を用意した。<br />一升空く頃には河童も饒舌になり、これまでの旅の話をとめどなく語りだした。私はその興味深い話に耳を傾けて、時には笑みを浮かべた。<br />私と河童はまるで十年来の友人のように、すっかり気の置けない間柄になっていた。<br />夜が明けると、河童は礼を言って旅立っていった。<br />河童を見送った後、いつも誰彼かまわず吠える飼い犬が静かなことに気づいて、犬小屋を見に行った。<br />犬が、犬小屋の傍で横たわっている。<br />私は、しまったと呟いた。<br />犬は、尻子玉を抜かれていた。<br />私は呆然として空を見上げた。いつの間にか、雨はあがっていた。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>失礼な河童だなあ……</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:なんでまた尻子玉を抜いていったのやら不明だね。河童だからというだけなのかな？　あ、「誰彼かまわず吠える」からか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よく相撲で勝負して、負けると尻子玉を獲られるとか言うよね。色々な説があるとして、キュウリと酒をただで貰っておきながら、そういうことをするのは、いかがなものかと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:それ以前に、吠えられてうるさかったんだろうね、きっと。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:飼い犬の尻子玉をゲットしてから、物乞いに来るってどーよ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:失礼だね。でもまあ種族間の違い、か？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:気に食わんなあ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>河童を使ったのが特徴</strong>というくらいの話かな。他には<strong>別に良くも悪くも感じないけれど</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２４＞</strong><br />　ああそう言えばあの色に銅色の骨が不自然だと思ったかもしれません。ぱらぱら水玉が透けて見えていました。傘の内側を眺めたのでしょうか、私は。<br />　変な話です。傘から流れた水滴がざあと、背の後で立てた音、そればかりが残っております。今その音ばかり聞こえます。ざあと。<br />　変な話です。日陰者などと自分を貶めた言葉を使うくせに目立つ色が好きでした。<br />　あの日、あの時、判っていただこうとは思いませんが、異界であったのです。<br />　Jの向こうに蛙の口が見えました。そこではじめて、私はあれが絡め取るものだと知ったのです。<br />　口が横ににいと開いた時に逃げ出せばよかった。遠い西の空の光輪にただ一時、目を奪われた隙に身体は絡め取られておりました。私は怖かったのです。<br />　腐った匂いのする菊でした。菊は緑の中で足を踏み鳴らしました。足元で水が緑を映しながらはねました。Ｊでしたか、菊でした。腐った色の汁を飛ばしました。あの色はなぜ、地面に落ちると赤く見えたのでしょう。ああ、傘ですか。では赤だったのですか、腐った汁が、赤い。変な話です。<br />　それで、私はいつ帰れるのでしょう。Ｊ？　はい、存じています。何かあったのですか？<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いいんじゃないかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:どうでもいいんじゃないかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、そうかな。まあ、それほど入れ込んでいる訳じゃないけど、少しは肩を持とう。最後の一行はよく分からないけれど、それまでの<strong>会話文で世界観を見せるという技法は面白い</strong>よ。Jと人物名が頭文字になっているところから、なんとなく<strong>作品がインタビューの記事風で、なんか変な雑誌に載ってそう</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>個々のガジェットを妙な書き方で魅せるという点では、良くできていると思う</strong>けれど、総合してみても、<strong>別に世界観は見えない</strong>と思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うん、そうだね。もう少し光るところがあれば、戦ったかもしれない。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２５＞</strong><br />撃墜。そして仕事終了、空から落ちてくるのは緑のパラシュート部隊。次々に落ちてゆく。<br />落下点は公園だ。公園には多くの人々が居る。皆それぞれの理由があって来ているのだが、空からパラシュートが落ちてくると、あ、放射能がやってくる、気をつけろ、と言いながら一旦離れ、やいやいとか何か言いながら屋台で買った卵をパラシュート部隊へ投げつける。中には大層グロテスクな代物もあるのだが、パラシュート部隊はもう慣れてしまっているので気にしない。<br />それよりも彼らはサボタージュする気で満々だ。<br />そのまま彼らはバラバラに解散し、ある部隊員はマックへ、ある部隊員はモスバーガー、ある部隊員はサイゼリヤへ行こうとする。<br />一番目的地まで遠いマックへ行く部隊員はパラシュートを引きずりつつ、タクシーを呼ぶ。防護服を着たタクシー運転手に駅前のマック、と言うと運転手はへい、と言ったがなかなか車を発進させない。ドアが開きっぱなしなのだ。<br />お客さん、ドアを閉めてください、と運転手は言うが部隊員はなかなかドアを閉めない。<br />部隊員は空に広がる茸雲を見ていた。どうやら次の部隊は失敗したらしい。<br />公園の、観光客と思しき防護服を着た二人連れが代わる代わる茸雲をバックに写真を撮る。<br />お客さんそろそろ怒りますよ、と運転手が言ったので部隊員は相済みませんと言い車はマックへ。<br />もうじき雨は降るだろうがこの街は美しい。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いいじゃんいいじゃん。茸雲以降はちょっと現実味が出てきてしまってそうでもないけれど、それまでは<strong>どこか浮世離れしている感じがいい味出してるんじゃない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。「サイゼリヤ」は「ロッテリア」とかのが統一感があると思うけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:確かに、この三つの中ではサイゼが浮いているね。ロッテにするんだったら、マック→ロッテ→モスの順がいいね。ファーストキッチンでもいいかな。……なんとなく<a href="http://www.youtube.com/watch?v=-anabfAg06U" target="_blank">妄想代理人のオープニング</a>を連想するね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうかな。茸雲つながり？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うん、後は雨とか、にこやかに笑っているところとか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:この部隊員からは、どっちかというと表情が無いような印象を受けるけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、そうかな。部隊員も見ている人も運転手も、<strong>この得体の知れないいびつな世界観に沿うようにへらへら笑っているような気がする</strong>けれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>見ている人は、へらへらしてそうだけど、運転手はせいぜい営業スマイルくらいだと思うな</strong>。まあ感じ方の個人差だろうけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、そうかもね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:逆に言えば、<strong>そこまで読者に踏み込む力は、この話にはないよね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>ないけど、その代わりに軽さが生まれていて、その軽さがいい</strong>と思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:だね。<strong>諦観めいた感じは良いと思う</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２６＞</strong><br />　もう何日も雨など降っていないのに、玄関に濡れた傘が置いてある。傘の色をあいまいに映した小さな水たまりもできている。「誰か傘を使ったの？」なんて、家族には訊けない。訊いたら、誰かが姿を消している気がする。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:とくになし。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ないね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:少しを見せることで、多くを読者が想像してくれるのを期待している作品なのではないかと思うけれど、<strong>想像を許すだけの力に欠けている</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:雨が降ってないのに濡れている傘、と、訊いたら誰かが消えている気がする、というのが、少し見せていることなんだろうけれど、ここから想像するのは、せいぜい、何か水をよけるのに傘を使ったのか、ということと、気のせいじゃない、<strong>ということくらいで、これらを繋げて考えるような方向には想像が進まない</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２７＞</strong><br />　雨の日がいちばん好きな娘は、赤い傘を差して蓮の花咲く池のふちでカエルの合唱を聴いているときに、池の主である大フナ様に見初められて水の世界にやってきました。<br />　池の底で、娘と大フナ様はしあわせに、おだやかにすごしておりました。娘は大フナ様を愛していました。しかし、緑色の水面を見上げては、ときどき溜め息をつくのです。蓮の葉のすきまに、いくつもの小さな円が生まれては消えていきます。娘の好きな雨は水面で波紋を広げるばかりで、一粒も底までは届かないのでした。<br />　やわらかな泥の中で、娘は雨のにおいを、傘の上を転がる軽やかなリズムを、カエルたちの歓びの歌を思います。池の主の妻になった娘には、地上で雨を感じることはもうできません。雨の降る日は娘の溜め息が泡になって、いくつも水面にあがりました。<br />　ある日、娘が水面を見上げていると、丸い影がゆっくりと降りてきました。一枚の大きな蓮の葉の茎をつかんだカエルたちが泳いでくるのです。<br />「これは、大フナ様からの贈り物です。ゲコ」<br />　娘は驚いた顔で蓮の葉を受け取りました。大きな蓮の葉は、彼女の頭の上で広がります。まるで、大好きな傘のように。娘の顔に笑顔がひろがりました。<br />「あなた、ありがとう」<br />　照れた大フナ様は、尾ひれを揺らして答えました。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:変わった世界観だけど<strong>「だから何？」系だよね、これは</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「ある日」以降で一気にパワーダウンしたね。<strong>前半は、なかなか魅力的</strong>だと思う。わざわざ蓮の葉の傘を出さなくても、テーマは十分に書けているし、どうせなら、この世界らしい結末をもってきてほしいと思った。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうかなあ。一行目は一文が長すぎだし、二行目で、いきなり「娘は大フナ様を愛していました」だなんて。わっけ、わかんねー<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:お伽噺的な構成ではあるから、特にそこは気にはならなかったけれど。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２８＞</strong><br />むきになってあんなに日差しの強いジャングルを歩き通したりするからだ。<br />行く手を遮る下草や蔦をものともせずに猛然と進む彼女が、それでもなお頑なに差し続けていた白い日傘は、生命力に溢れた木々の色を捉えて離さなくなってしまった。<br /><br />今も薄暗いアパートの玄関に、あのときの木漏れ日を乱反射し続けている。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>これはちょっと面白い</strong>。<strong>ちょっと好き</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。<strong>悪くないと思う</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もう少し長くてもいいね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな。猛然と進む様子とかのあたり？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ショートショートっぽくしても、最後の一行があれば問題ないでしょう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:この最後の一行はいい感じだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>ツンデレお嬢様と執事</strong>みたいな感じの話なんてどうよ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:なに、とつぜん？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>いや、この話をもっと膨らませるとしたら</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>いやぁ、そのへんのディテールはいらないよ。彼女、ってだけで十分だと思うけど</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２９＞</strong><br />　傘の日続きでうんざりだ。けど雨を降らせず出歩くわけにはいかない。地球漂白化の影きょうあっ。路地から飛び出た少女に僕は吹っ飛ばされ雨を降らすのがおろそかになってしまったそのとき傘が閉じたままぶすり、腹を刺した。<br />「ごめんなさい。大丈夫？」と少女は言った。<br />「うーん」<br />　僕から傘を抜き、おんぶして、少女は来た道を引き返す。素敵なワンピースだなあ。汚れないかなあ。雨を降らせていないのに傘は僕たちのはるか上空でひらく。古い一軒家へ入ると少女は自分だけ靴を脱ぎ僕を玄関に寝かせた。<br />「目をつむってて」<br />　衣擦れの音。脱いだワンピースを僕の胴に巻きつけているようだ。遠ざかる足音。漂白化のせいなのか僕の目が霞んでいるだけなのか、下着と区別がつかないほど白い肌。<br />　目覚めたとき、少女は何も身につけていなかった。<br />「目をつむっててって言ったでしょ」<br />　僕からワンピースを取りあげる。傷はすっかり癒えていた。ワンピースにも少女にも染みひとつない。<br />「もしかしてそれは緑の傘で？」僕は尋ねた。<br />「これが最後の一枚」<br />　時間を確かめるまでもなく、少女も僕も、約束にはもう間に合わないだろう。まあいいさ。どうせ外は白い傘なのだ。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>よく分からないけど、えろいから良し</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあ、<strong>他に取り柄が見つけられない</strong>し、そういうことでいいんじゃない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:書かれてある内容は、とにかく分からない。雨を降らせるとか、漂白化とか意味不明。でも、例えば一行目の「地球漂白化の影きょうあっ」は、語り手が独白している最中に少女と激突して「あっ」ってことでしょう？　なかなか、上手いんじゃないかな。全体的にリーダビリティ高いし、好き。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:最初は「地球漂白化の影」と読んで、なんのことか分からなかったよ。そんなにリーダビリティが高いとは思わないよ。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３０＞</strong><br />　老人はあざやかな緑の傘を差して歩く。雨の日も、晴れの日も。<br />「どうして傘を差してるのさ？こんなにいい天気なのに」<br />と若者に問われて、老人は皺をさらに深くして笑った。<br />　次の春、老人はすでにこの世にはいない。だが、老人の歩いた道には色とりどりの花が咲いている。老人の歩みそのままに、小さな花がぽつりぽつり。<br />　花が途切れたところに、老人が差していた緑の傘はあった。柄には札が付いている。<br />「あなたの最期の花道、作ります」 <br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もし、この作品が深読みを要するものではなく、そのままだとしたら、嫌い。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:今のところ、深読みする要素が見当たらないし、私も好みで言えば嫌い。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>キッチュに過ぎるでしょう</strong>。身震いする。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。やっぱり深読みする余地が見当たらない。それどころか、<strong>傘が緑である必然性すら、見えてこない</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３１＞</strong><br />傘がいっぱい並んでる。<br />赤い傘が欲しいのに<br />緑の傘しか置いてない。<br />かさはどいつも裏返し<br />雨水たまれば重たいし<br />ほねは骨なしこらえなし<br />雨水ちゃぽんと全部落ち。<br />丸々肥えた子供らは<br />首をはねてはお供えだ。<br />八月十五夜お月さん。<br />緑の傘は捨てられた。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:縦読み？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:え、縦読み？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや。<strong>どこを縦読みすれば、意味ある文章になるの？</strong>　とボケてみました。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、びっくりした。私の知らない日本語がこんなにたくさんあるのかと思った、とボケ返してみよう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もー！　人にギャグを説明させるなよう。思わず敬語になっちゃったジャマイカ！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:とまあ、<strong>どうでもいいことを言うしかないくらい、どうとも思わない作品</strong>なんだと思うけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ね。毒にも薬にもならん。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３２＞</strong><br />　今日はわたしのためにお集まりいただき、ありがとうございます。<br />　17年間全力で戦ってきましたが、本日をもちまして、現役を引退することを決意いたしました。<br />　プロ生活２年目で初めて立った神宮球場のバッタボックス。痺れました。スタンド全体がわたしのために東京音頭を唄い、わたしのために傘を振り・・・もう一度ここに立ちたい。何度でもここに立ちたい。この景色を独り占めしたい。その一念が、今日まで現役を続けさせたと思います。<br />　できることなら、死ぬまでずっと神宮球場のバッタボックスに立ちたいのですが、それは叶いません。想いだけではプロであり続けることはできませんでした。<br />　ファンの皆さんには心から感謝をしています。この想い出があるから、これからの人生も生きていけます。願わくば、今度はわたしも一緒にスタンドで傘を振らせてください。<br />　今日は本当にありがとうございました。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:意味がよく分からない。どういうこと？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:引退の挨拶かな。緑かどうかは、野球チームを知らないと分からないような気がする。私には不明。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:なんか深い意味がありそうな気配はあるんだよね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:どうだろうね。挨拶文としては、わりあいありがちな気がするし。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:促音ー、じゃなくて。拗音ー、でもなくて。「ー」って、なんだっけ？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:音引き？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、コンピュータとかプリンタとか、「ー」をよく省略するじゃない。この作品ではバッターボックスの「ー」が省略されて、バッタボックスになっているように読めるけれど、実は虫のバッタなのかも。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ぬぅ、そうくるか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:調べた。長音というらしいね。「ー」は長音符号。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA" target="_blank">ここ</a>によると「<strong>東京音頭で振る傘は、緑（または青）のビニール傘もしくは球団が発売している傘が一般的であるが、特に決まっているわけではない</strong>。」だそうな。東京ヤクルトスワローズというチームの本拠地が明治神宮野球場らしい。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:呆れた。今、一生懸命、語り手が虫なら神宮球場・東京音頭・傘は何かの比喩かもしれんと頭を捻っていたのに。<strong>まさか、緑の傘というテーマから、東京音頭を連想して書いただけの作品ってこと？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うーん。比喩だとしたら、明治神宮とか、東京音頭の歌詞とかにヒントがあるかな？　そこまでフォローするのは面倒だな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:今、すっごいテンション下がった。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３３＞</strong><br />　まっとうのにいっちょんこん。<br />　傘みたいな形やろと良雄さんがいっとった。やけん雨ん降ったらここに来ようち。<br />　ばってんひどか雨やと、葉っぱの間から、ぼたぼた水滴が落ちてくる。あんまり役にたたんばい良雄さん。しっとった？<br />　雨はざわざわふっとうのに、良雄さんはいっちょんこん。<br />　暗いけん眠くなってきた。<br />　<br />　シロ、シロ、起きんね。<br /><br />　お母さんの声と匂いと手のひら。<br />　いつのまにか明るくなっとる。<br />　お母さんの頭の上に、葉っぱの傘が、ざわざわまあるく広がっとる。<br />　飛び上がってお母さんの顔を舐める。濡れとるけんやか、なんかしょっぱい。<br />　お母さんの手が背中を撫でる。<br />　あの子はこんとよ。<br />　ばってんおかさん、すぐくるけんていよったよ。かさばもってくるけんて。<br />　お母さんに抱かれて空を仰ぐ。<br />　雲の切れ間から光がこぼれた。雨やんどる。<br />　どこからかつん、と煙の匂い。<br />　お母さんは振り返るらんで、ずんずん歩く。<br />　すぐくるっちいよったとよ。<br />　お母さんの肩越しに、緑の傘を見る。<br />　遠ざかったその木の下で、良雄さんらしき影が手ばふりよる。<br />　ほら。やっぱきたばいおかあさん。<br />　ワンと一声。<br />　お母さんは立ち止まって泣きださした。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よく分からないんだけど、いい話？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いい話、かな。方言の使い方が巧みだよね。一行目で、<strong>いきなり読めなくて困ったけれど、その謎解きも作中で自然にされているし。この言葉遣いだからこその温度感みたいなのもあって、さらに良いと思う</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:正直なところ、こういう方言は慣れていないので読みづらい。そのせいで誤読していないか、心配。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:逆に、一行目が無かったら、そのあと慣れるまでずっと辛かったと思う。これがあるから、あ、方言なんだとすぐに分かったと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「いっちょんこん」は「行ってしまった」？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:一向に来ない、だと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ああっ、「待ってるのに来ない」！？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうそう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:おおおお。<strong>理解できると快感だなあ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>音読したりすると、わりあい分かりやすい</strong>かもよ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、ええええ！　もしかして、これって悲しい話！？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:悲しくもあるね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いかん。<strong>泣きそうになってきた</strong>。涙腺、弱いのだから、もう、マジ勘弁してほしい。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:おそらく犬かと思われる「シロ」の一途さというか健気さを思うと、いい話、かな。まあどっちにしても悲しいけれど。でも<strong>方言を使ったことも含めて、良くできていると思う。B、泣き止んだ？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>泣き止んだ。これ、傑作だね。素晴らしい</strong>。<br /><br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、集計結果でも見るかな。<strong>これで＜緑の傘３３＞の評価低かったら、違う意味で泣くな</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:確かに（笑）<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘２２＞は意外。もう少し、点数、入ってそうなのに。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあもうひとつ次点に、とかくらいかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘２３＞＜緑の傘２４＞は飛ばして、＜緑の傘２５＞はやや逆選的だと思うけどなあ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:というか、これでもたくさん票が入っているような気がする。まあ＜緑の傘２６＞ほどじゃないけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:それ、今、驚愕中。<strong>＜緑の傘２６＞の何がそんなにすごいの？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ね、どこを見たら、これに票を入れる気になるんだろう。不思議。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いやいや、<strong>不思議とか言っている場合ではない</strong>よ、A。真剣に考えよう。<strong>彼らはこの作品に何を見出したのだろう</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そっか。頑張ってみるか。知らない人の思考を追うのは難しいけども。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:…………ううん、<strong>分からん</strong>。解釈は何通りか可能だと思うけれど、どれも正選を与えるほどじゃない。もし、多様な読み方ができるが故に評価されているのだとしたら、他にもいっぱいあったし。謎だ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:何度読んでも、音読しても、<strong>文が空回りしてるだけで、なんとも面白味すら感じなくなってきた</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:同じく。もういいや、次、見よう、次。＜緑の傘２７＞は、まあ、スルーされるよね。＜緑の傘２８＞も妥当なところかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うーん＜緑の傘２７＞は次点にいくつか入っても良かったと思うけどな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、次点ならね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:＜緑の傘２９＞と＜緑の傘３０＞もこんなもんかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘３１＞もいいでしょ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:問題は<strong>＜緑の傘３２＞なにこれ？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うわあ、また、信じられない結果だなぁ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ってゆーか、さー。悪いけど言うね。これ、フルヤマメグミさんが◎出してるじゃない。<strong>この作品って作品として評価されてるんじゃなくて、野球をネタにしているから評価されているんじゃない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:野球に思い入れがある人なら引退の挨拶は感動ものなのかな、そういうだけのこと？　<strong>作品としての評価じゃないよね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:多分、逆選として投票している人も同じなのだと思う。野球ネタを上手く使ったなあという理由で。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:なんか<strong>アンフェアというか、そんな感じがするなあ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、逆選はいいけどさ、正選として推すにはどうよと声を大にして言いたい。<span style="font-size:large;"><strong>舐めてるんじゃないの？</strong></span><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:あんまりだね。他の良作に申し訳ないと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もうね、<strong>この結果にどうしてこんなにも怒りを感じているかと言うと、すぐ、真下に見えている＜緑の傘３３＞の評価の方が低いからだよ！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうそう。<strong>この分をもっと＜緑の傘３３＞にまわせばいいのに</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:正選２点て、いくらなんでも、あんまりでしょう！　<strong>まっとうのにいっちょんこん</strong>だぜ、<strong>まっとうのにいっちょんこん！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ねえ。本当に、どういうわけなんだか。真面目に読む気はないのか投票者諸氏は。<br /><span style="color:#FFFFFF">（中略）</span><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、まあ、また明日。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:また明日。<a name="more"></a>

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<title>緑の傘編（04）</title>
<description>＜緑の傘１７＞　まったく世界は気の抜けた様。ぼくが退屈していると、色泥棒があらわれた。信号も機能しない、渋滞のひどいスクランブルで、カップルは皆手を離し、めいめいアサッテの方を向いている。犯人を退屈しのぎに追ってみる。実は一瞬、その後姿を認めたので。逃すまい、と眼鏡をくいっと上げ。　コーヒー香る、オープンカフェを過ぎる。　デパートを上から下まで。なめらかなリズムが店内に響いてる。　たどり着いたのは遊園地。歴史も古く、小さな小さな。客足はまばら。平日だからよけいに閑散として、あ..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-06T17:50:22+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
<blockquote><strong>＜緑の傘１７＞</strong><br />　まったく世界は気の抜けた様。ぼくが退屈していると、色泥棒があらわれた。信号も機能しない、渋滞のひどいスクランブルで、カップルは皆手を離し、めいめいアサッテの方を向いている。犯人を退屈しのぎに追ってみる。実は一瞬、その後姿を認めたので。逃すまい、と眼鏡をくいっと上げ。<br />　コーヒー香る、オープンカフェを過ぎる。<br />　デパートを上から下まで。なめらかなリズムが店内に響いてる。<br />　たどり着いたのは遊園地。歴史も古く、小さな小さな。客足はまばら。平日だからよけいに閑散として、ああ、祝日はもうないんだった。けれども、それでも何か。<br />　ああそうか。花泥棒。<br />　園内のそこかしこにあるうちの一輪を、摘みとり、そっと吹く。綿毛がふわふわ。<br />　いけない、雨か。のっぺらな空から、見えないが、気に入りのミリタリーシャツに染みて。冷たい。傘泥棒はとっくの事だから、屋根の下に逃れた。止むまでこうしてるしかない。<br />「良かったら、入る？」<br />　立っていたのは華やかな少女。傘をからりと振るその下で、いつの間に、ぼくの眼鏡を掛けてくすりと微笑む。<br />「おんなじ色ね」<br />　盗まれたのは言うまでもない。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>惜しいかな</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:てっきり色を奪われたから、花が個性をなくし、だから花泥棒かと思ったのだけど。傘泥棒に同じ解釈を当てはめることはできないし。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>最後の文が書きたい</strong>ことだろうけれど、<strong>それまでが完全に別物</strong>になっているような気がする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>筆致は好きだけどね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>筆致はいいよね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:色泥棒から花泥棒までの前半が、とてもいいと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そう。むしろそっちが良い。テーマとは関係ないけれど。無理して傘につなげようとしているみたいだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうだね。テーマが色に関係していたら、良かったね。……違うか。グリーンの傘ではなく、緑さんの傘、ということなのかな？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:色泥棒＝花泥棒＝傘泥棒＝華やかな少女、だよね？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:分からない。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１８＞</strong><br />　割の悪い仕事だ。<br />　予感に捕われた彼は、目の前の建物を見上げる。<br />『Ｍ耳鼻科医院』、と書かれた看板がまだあったが、廃業して三年はたっているはずだ。<br />　依頼人はここにいるはずなのに、人の気配はない。<br />　悪い予感は最初からあった。依頼人は彼の昔馴染みで、余計なことを知りすぎているのだ。<br />　空は曇っていたが、そこからは何もわからない。晴れた日がいいと言う人もいれば、雨を望む人もいるのだということを、彼はそのキャリアのなかで学んでいた。けれど、二人が同級生だった昔、彼は依頼人自身からその答を聞いたはずだった。<br />　鍵がかかっていたら帰ろうと決めたのに、ガラス戸はすんなりと奥へ開いてしまう。<br />　玄関は薬の匂いがした。<br />　壁の張り紙の指示に従いスリッパに履き替えた彼は奥へ進み、薄暗い部屋で探していたものを見つける。そして彼は、二倍になった仕事を見事な手際で片付ける。<br /><br />　再び玄関に戻り、屈んで靴を履いたとき彼は、忌まわしい心持ちに捕われ、ふと顔を上げた。緑の傘。そこに克服すべき恐怖があるかのように、おもむろにそれを手に取った彼は、ガラス戸を抜けて表に立つと、ボタンを押し込み、スプリングを開放した。<br />　傘はあっけなく開き、そうしてからむしろはじめて、雨が降りだしていたことに気付く。<br />　やっと思い出す。あいつは雨を望んでいた。<br />　傘の力は色褪せ、まだしばらくは、彼のキャリアは安泰だろう。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:話は置いておいて、<strong>文章が下手</strong>。「目の前の建物を見上げる」や「看板がまだあったが、廃業して三年はたっているはずだ」など。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:脚本的？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:例えば、「予感に捕われた彼は、目の前の建物を見上げる」を見てみよう。一行目の心情は論理的な思考から出された答えだろうから予感とは異なる。また、『Ｍ耳鼻科医院』という看板を見上げる彼が、予感に捕らわれている必然性がない。「目の前の建物を」と「見上げる」も連動していない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:なるほど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「看板がまだあったが」とあるけれど、ここは「看板はまだあったが」とした方がスムーズだし、そもそも「廃業して三年はたっているはずだ」と過去形なら「まだ」は不要。とにかく全編に渡りこんな感じで、文章が鼻について読みづらい。錬度が足りない。<strong>たかだか五百文字なんだから、もっと書き込め</strong>と思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。そういうところは、他にもあって、廃業して三年もたっているのに薬の匂いがするのかとか、そういう場所にわざわざスリッパに履き替えて入るのか、とか、<strong>作者に状況が想定できていなくて、さらに読者にそれを伝え切れていない</strong>と思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:空への言及も唐突で物語に絡んでこないように見えるし、結末も突然。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:あと、唐突にボタンとかスプリングとかあるけれど、傘が必ずしもそういう仕組みのものだけではないことを考えると、唐突だと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>話の筋に関してはどう？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあ以上のような文だから、<strong>良く分からない</strong>。ハードボイルドっぽいことやりたいんだろうけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よく分からないよね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:作者にとっては書きたいシーンというか、想像できているのかもしれないけれど、書けてなければ、何の意味も持たないよね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１９＞</strong><br />　お散歩には生憎の、俄な雨でありました。<br />「ごらん、ちょうど良い物がある」<br />　お父様は筋の浮いた太い腕を伸ばし、波紋の広がる水面から、ぶっつり私共を手折られました。<br />「ぞうのみみぃ」<br />　柔らかな縁をひらひら揺らし、嬢ちゃんの小さな足が泥をはねてゆきます。坊ちゃんは茎から滴る雨を舌に受け「苦いや」と顔をしかめます。お二人の艶やかな髪に光る雨粒を手拭いで払いながら「象鼻酒なら頂くが」と、お父様はお笑いになりました。<br />　なにせ急拵えの雨除けです、私共は幾度もおつむりから逸れてしまいました。お玄関へ着く頃には、お三人はすっかり濡れ鼠の有様で、お母様は目を丸くされました。<br />「あら大変、葉っぱのお化けが雨に祟られた」<br />「これでも、蓮に随分助けられたのだよ」<br />　白い割烹着のお母様は、三和土に投げ捨てられた私共を、前栽の蹲にそっと挿してくださいました。小さな熱い手にきつく握られ傷んだ茎に、澄んだ水が染渡ります。ほっと身を寄せ合った私共の陰へ鮮やかな若緑の小蛙が、心細げに這い寄りました。空はなお暗く、雨足も激しくなってまいります。<br />「あと、もう一働き」<br />　私共は互いを励まし、小さな雨の落とし子へ萎れた葉を深く差し掛けたのでありました。<br /></blockquote><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>情緒があって、良いね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:緑の傘と聞いて最初にイメージしたのが、トトロが持っていた葉っぱの傘。きっとそのイメージに通じる作品があるだろうと思っていたけれど、テーマ直結で平凡なところに落ち着いてしまうだろうなと思っていた。が、これはいいね。<strong>テーマ直球でありながら、投げられているボールが野球とかじゃなく、蹴鞠</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:蹴鞠ね。まあ言いたいことはなんとなく分かるよ。そうだね。<strong>多少、文体が読みにくいかな</strong>。演出としては効いているんだけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:完成度が高いから、かえって言うことないね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。良くできているね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:読みづらさは愛嬌でしょでしょ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:それも魅力のひとつか、すごいね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２０＞</strong><br />僕は緑いろに染められた傘が好きだ。雨の日はもちろん、晴れの日や曇りでさえも差していたいと思う。<br />夜空の星をながいこと見上げていると空間の感覚があやふやになり、まるで自分が逆さまにぶら下がったまま星を見おろしているような気持ちになることがあるが、頭上に掲げた緑いろの傘を見あげる僕も、それと異なるところはなかった。<br />天体の社交性まで見抜く慧眼と、ならんだ靴を乱すことのない良識を備え持つ早熟な物理法則は、僕が緑の海へ呑みこまれるのを止めたりはしない。<br />人々は落涙を恐れる。しかし重力は涙をこらえる者ほどよろこんで裏切るのだ。時計の正確さが、自然の偶然が光速を乗りこえて作った平行時間軸に否定されるように。<br />僕はりんごの虚ろ言の皮を剥いだ。反された手のひらから離れ、奇跡的な飛行能力など手にすることもなく（なにせ僕はスカートをはいていないから）、しっとりと湿った草原の土に、頭頂部から落下する。<br />僕の首が折れるひときわ大きい雨の音が寝ぼけ眼のふきのとうを目覚めさせるだろう。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、<strong>これは駄目でしょ</strong>。つい認めたくなってしまうけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>非常に読みにくい</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:漢字が多いわりに句読点が少ないよね。そのわりに変なところはひらがなになっていて、リズムが掴めない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:行ごとに別のイメージを要求されるようで、なんだかまとまりが感じられない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうそう。「人々は落涙を恐れる」の下りなどは光っているのだけれど、<strong>すぐに別の話になってしまうから広がりがない</strong>。勿体ない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:それでもって、結局は「だから何？」で終わっているように思う。いや、そうでもないか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:これは「だから何？」じゃないでしょう。そもそもにして世界観という舞台がないから、そこから物語が始まりようがない。したがって、言うなればむしろ「何で？」系。まあ、でも、この作品の場合「何で？」に対する答えは、明確だと思う。<strong>意味なんてないでしょう</strong>。<strong>雰囲気や語感を楽しむだけ</strong>だと思う。そのわりに読みづらいけど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うーん。はじめは、傘と僕との上下関係の反転の話で、それが、傘をはさんで反対側に僕の役割が反転している、ということかな。僕→雨、ということで。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうかもしれないね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２１＞</strong><br />　足もとに犬がいるのが見えていて、だんだん近付くと、緑の傘が時々くるっ、くるっと回っているのがわかった。追い越し際に犬をちらっと確認する。よし。犬はいい。いつか飼いたい。いつか、と時々思いながらそのまま終わるのではないかと思うようにもなった私は傘を持っていず、小雨のぱらつく土手を急ぐ。左右に雑草が強く生い茂っている。本当によく茂っている。花まで咲いて、暗めの空をうつしている。既にペダルをこぐ足がだるくなっていたが、土手を下りる前になだらかな上り坂があった。坂を上ったらそのまま土手を進みたいような気になり、気になっただけで私は土手を下りている。下りながら今度の日曜はどこかへ、例えば隣県まで出かけようかと考える。ぱらぱらと雨は止みそうで止まない。週末も雨だろう。週間予報では雨だった。「イラッシャイマセ、コンニチハア」と迎えられたのか追い出されたのかわからない、多分どちらでもないコンビニに入ると、透明なビニール傘が売られていて、私は緑の傘が欲しいんだという気がして、それは嘘だと思った。日曜は出かけようと決めて、それをひっくり返すべきかと悩みながら、百三十八円の甘そうなミルクティを手にとった。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よし、<strong>オッケー</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:不明確な感じを演出しているのだけは、分かったけれど、オッケーか？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:よし、説明しよう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:聞こう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まずは、この作品をいくつかの要素に分けるところから始めよう。ひとつは見えるようで見えない場景。ペダルという言葉が出てくるまで主人公が自転車に乗っていることを読者は知らされていないし、コンビニに入るときに自転車を降りるという記述はない。この点から、かなり文字が削られていることが分かる。ひとつは改行がないこと。ひとつは句読点の位置も変なところにあるということ。ひとつは描写がころころ変わること。以上から類推されるのは、<strong>すべてが一続きの物語で、そしてここで描かれているのは主人公の思考だということ</strong>。下手な言い方をすると思考垂れ流しなのだけれど、この作品がどうしていいかと言うと、リアリティがあるから。確かに我々はときに、犬を見て「飼いたい」と思うし、直後に「でも結局は飼わないよなあ」と思ったり。自転車に乗っている最中は、あまりそのことを意識せず、コンビニに入るため自転車を降りるという動作も無意識のうちに行っている。とても忠実だと思う。人間の思考に。そこが<strong>素晴らしい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:一続きの主観だというのは分かったけれど、<strong>曖昧さがリアリティかどうかには少し悩むなあ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「イラッシャイマセ、コンニチハア」なんかは、むしろ意識しないでしょうし、意識するなら温度とか空気とか、そういうものが欠けているんじゃない？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いやいや、きっと店員の声が刺々しかったんだって。だから一瞬だけ意識して、すぐに思考が次に移ってしまっている。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうなのかな。「それをひっくり返すべきか」というのは、何だろう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、でも温度はあるかもしれない。店員の声より「涼しい声が私を包む」とかの方がいいね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな。まあそうか、オッケーか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「それ（＝日曜は出かけようと決めて）をひっくり返すべきかと悩みながら」じゃないのかな。出かけようかどうしようか迷ってるんだって。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「べき」は変じゃない？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いやいや、だってそれまでずっと直前の思考を否定するのを繰り返していたじゃない。だから、主人公のスタンスに則るなら「べき」ということだと思うよ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:むしろここで、ここまでの曖昧さをわざとやっていたような印象が出るように思うんだけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、曖昧かなあ……<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:曖昧というか、<strong>すぐに否定するから、そういう印象になる</strong>、というか。<strong>無意識じゃなくって、わざとそうしていたような気がする</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ああ「結局、お前はどうしたいんだよ」ってこと？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いやいや、曖昧なのは、それでもいいんだけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん、Aの言っていることは、よく分からないけれど、優柔不断な人はこれぐらい曖昧でやることに矛盾があると思うよ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:決められない、ってことでは、そうだよね。でも「ひっくり返すべき」で突然、能動的になっているように思うんだけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:傘を持ってないから急ごうとしているのに寄り道しちゃうし、コンビニに入って傘を見てるのに飲み物を買ってしまうし。「それをひっくり返すべきかと悩みながら」だから、結局は悩んでない？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そう。だから、<strong>優柔不断にするようにわざとしていて、それを自覚しながら悩んでいるような</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そんなもんだって。<strong>優柔不断気取りの自意識過剰</strong>なんだって。いーちゃん的じゃない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:悩むためにわざと直前の否定をしている感じ。まあ、いーちゃんが何か知らないけど、優柔不断気取りの自意識過剰か。そうだね。<br /><br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:それじゃあ、集計結果でも……＜緑の傘１７＞は正直、意外。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そう？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:500文字の心臓では、こういう作品にこそ正選をあげちゃいそうなところがある。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうなんだ。謎の団体だね、500文字の心臓。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘１８＞は、まあ、いいとして、<strong>＜緑の傘１９＞は、ちょっと少ないんだけど！　どういうこと、これ！！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>ほんとだ。酷すぎる</strong>。あまりにも見る目がないというか、なんというか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>酷い！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ね、酷いよねぇ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:酷い酷い。いい作品を評価せずに、何を評価するというのだ。ぷんすか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:＜緑の傘２０＞と＜緑の傘２１＞はまあ、順当、かな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘２０＞はいいとしても、<strong>＜緑の傘２１＞は少ないよ！</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>いや、こんなもんでしょう</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:くぅっ、正選に二点入っただけで妥協しないと駄目なのか……。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:むしろ正選減らして、次点を増やせばいいくらいじゃない？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いやいやいやいやいや、そんなことはない。正選、四点ぐらいあっていいよ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうかな。リアリティのある主観、てだけで、そこまで評価されるものかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>これは、だって文学だよ？</strong>　町田康に迫るものがあるよ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いろいろ知らなくて悪いけど、町田康も読んだことないや。でもまあ、Bがそこまで言うなら、そうかもね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、今日はこんなところで。四日目にして、ようやく半分か。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:じゃあ、また明日。<a name="more"></a>

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<title>緑の傘編（03）</title>
<description>＜緑の傘１１＞　青い世界に住む人は、なにからなにまで青ずくめ。なにより青が大好きで、なにより黄色が大嫌い。だから黄色い国との国境に、青い大きな壁を作った。そんな彼らがあるとき見たのは、ひとりの少女。青い服に青い日傘で、ゆらゆらと壁の上を歩いている。彼らはその「青」に拍手喝采した。　くるり。　ところが少女が向きを変えると、少女の服は黄色くなった。彼女の服は半分が青で半分が黄色だったのだ。怒った青い人々は青い石を少女にむかって投げつけた。黄色い人々も同じようにしているのだろう、青..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-05T17:49:01+09:00</dc:date>
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<blockquote><strong>＜緑の傘１１＞</strong><br />　青い世界に住む人は、なにからなにまで青ずくめ。なにより青が大好きで、なにより黄色が大嫌い。だから黄色い国との国境に、青い大きな壁を作った。そんな彼らがあるとき見たのは、ひとりの少女。青い服に青い日傘で、ゆらゆらと壁の上を歩いている。彼らはその「青」に拍手喝采した。<br /><br />　くるり。<br /><br />　ところが少女が向きを変えると、少女の服は黄色くなった。彼女の服は半分が青で半分が黄色だったのだ。怒った青い人々は青い石を少女にむかって投げつけた。黄色い人々も同じようにしているのだろう、青い壁を越えて黄色い石も飛んできた。<br /><br />　くるくるくるくる。<br /><br />　少女は傘を回す。青と黄色に塗られた傘は、青い石も黄色い石もはじき飛ばし、回りながら緑色に輝いた。彼女は走った。青い人も黄色い人も、わあわあ叫びながらどこまでも緑のあとを追いかけた。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:これは<strong>何処までリアルなんだろう？</strong>　青と黄色を素早く回転させると、緑に見えるの？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:さあ？　知らないけど、<strong>別に何も面白くない話</strong>だと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うん。<strong>「だから何？」系</strong>だね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:こういう世界を用意するなら、読者に想像の余地を残してほしいと思うね。余地というと多少違うかもしれない。<strong>想像を喚起するような仕掛け</strong>、かな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:どちらかと言うと、<strong>物語が欲しい</strong>。現状では舞台を提示しているだけで、<strong>そこから始まる物語がない</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうそう。舞台の描写に終始しちゃってる。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>語ることがない</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>ないね</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１２＞</strong><br />たくさんの旅人が、そこで足をとめました。坂道の途中に一本の木があり、豊かに葉をつけた枝が四方に伸びています。幹の横には、古びた椅子が二つ並んでいました。<br />木の向こう側は、なだらかな斜面です。西に傾いていく太陽を、ずっと眺めていることもできます。<br />ある時は痩せた青年が、ある時は白い髭の老人と美しい娘が、こんもりとしたした木に包まれるようにして休みました。野良犬がまるくなって眠ることもありました。<br />木は、その場所がとても好きです。そして、人や動物が大好きです。次にやってくるのは誰なのかを、とても楽しみに待っています。<br />こうして木は、今日も腕をひろげ、何かをまもろうとするかのように、静かに立っているのです。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:これは<strong>輪をかけて物語が欠如してる</strong>ね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあでも、こっちの方がまだ面白い。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうかなあ。どこが面白かった？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:前のは、非現実の中で、結局は青と黄色を混ぜると緑になる、と現実的なことを言っていただけだったけれど、こっちは現実的な描写を続けて、最後に木を擬人化して<strong>非現実感を演出してる</strong>から。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:擬人化と言っても、「腕をひろげ」ているぐらいじゃない？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「何かをまもろうとする」というのは、作中人物の視点での擬人化だけど、それもコミで。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうだけど。<strong>「だから何？」と言えない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:言えるだろうね。ただ、<strong>時間が経過する感じがする</strong>んだよね、木とかだと。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ああ、確かに。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１３＞</strong><br />試験管の底に小さなマリモ。<br />リモコンを覆う紫のラバーケース。<br />シヴァ神が飛ぶ姿の細いタペストリー。<br />全部、啓太が置いていったものだ。<br />啓太は今月に入って、突然いなくなった。<br /><br />梅茶漬けをかき込んで、響子は茶碗を置いた。<br />少し蒸し熱く感じたので、窓を開けた。<br />空は薄曇で、肌に涼しい空気の感触がした。<br />響子は冷凍庫から、マカデミアナッツチョコレートの箱を出し、<br />漆塗りのテーブルの上に置いた。<br />中から、一粒つまんで、口に入れ、<br />チョコを舐め溶かしながら、マカデミアナッツを舌で転がした。<br />テレビ画面には、潰れた部屋が、湿気をもって滑っていた。<br />（私なんも悪い事してないのになあ）<br />響子は溜め息をついて、座椅子に背をもたれて、体を伸ばした。<br />天井からは、カエルの顔がデザインされた緑の傘がぶらさがっている。<br />この傘を差して一緒に散歩したのは、先月末の事だった。<br />わざわざ雨の中を散歩して、新宿の高架橋の下ふたりで、<br />セブンイレブンで買った豚串を齧った。<br />思い出していると、泣きそうになってしまうので、<br />響子は溜まっていた洗濯物を片付ける事にした。<br />洗濯機を回して、座椅子に座り直し、ぼーっと、<br />窓に垂れたサカサクラゲの風鈴を見た。<br />「カリッ」<br />裸になったマカデミアナッツを、奥歯で噛み潰した。<br /><br />「ピーッ、ピーッ」<br />洗濯機の終了アラームが鳴った。<br />響子は立ち上がり、マカデミアナッツチョコレートを一つ、<br />クワイの描かれた小皿に乗せ、啓太の遺影の前に置いた。<br />その横には、ヨガ体操をする市松人形が滑稽な格好をしていて、<br />それを見ると響子はいつも、ニヤニヤしてしまう。<br />啓太は本当に変なものばかり集める。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:なにこれ。<strong>ラスト四行がなければ駄作</strong>なんだけど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:遺影という単語が出てきた瞬間に、それまでの<strong>無粋で冗長でくだらない日常描写が色を持つ</strong>よね。<strong>中々、素晴らしい</strong>と思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうなんだよね、遺影ときて、そのあとにニヤニヤだから、最後のあたりのインパクトはある。テーマ的なところを言えば、<strong>緑の傘がその他のガジェットに埋もれちゃってる</strong>けどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうだね、その点はちょっとマイナスポイントだね。クワイって何？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:クワイ？　さあ？　サカサクラゲもなんとなくしか分からないし、シヴァも名前しかしらないよ。飛ぶ姿のイメージは持ってない。<strong>まあでも何か変そうなものだとは分かる</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:シヴァ神はむしろ片足上げて踊っているというイメージ。まあ、<strong>分かりそうで分からないラインを狙っているのかも</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:これもどっちかというと「だから何？」系かな？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうかな。<strong>作品の中で物語と言うか、作者が見せたいことが完結している</strong>ように思うけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか。<strong>日常的で、地味な印象</strong>だからかな、なんか特に印象深くは感じなかった。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１４＞</strong><br />「雨、止まないね。先生と一緒に帰る？」<br />　お昼ごろから降りだした雨につま先をぬらしながら、小学校の校舎の庇の下で膝をかかえ、お母さんが迎えに来るのを待っていた。<br />「ねえ、傘を持ってないんでしょう？」<br />　みどり先生はふわりとしたスカートを片手でおさえた。<br />「先生ね、昔、男の子とこんな風に並んで座りながら、お天気の話だけで何時間も過ごしたことがあるのよ。とても、懐かしい」<br />　雨の中を一生懸命に急いで来るお母さんの姿が見えた。声をかけようとしたけど、お母さんのびしょ濡れの服は、お仕事用の真っ赤なミニスカートだった。立ち上がって、みどり先生の腰に手をそえた。<br />「なぁんだ、やっぱり、先生と帰りたいのね」<br />　差し出された先生の足の甲にキスを、目を背けながらすると、その細い足首をつかみ雨の中へとび出した。先生の身体を振り上げ、さっと、雨空にスカートを広げた。<br /><br />　傘を差して走り去る息子の背中を、母は慌てて追いかけた。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん。やりたいことは分かるし、挑戦は認めなくもないけれど、いかんせん下手。<strong>見せ方が上手くない</strong>なー。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:もうちょっとだね。おお、そうか、とは思ったけれど。お母さんがさして生かされていないようだし。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>最速、四行目</strong>で落ちが分かってしまうのが欠点ではないかと思う。<strong>驚きがすべての作品であるがゆえに致命的</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、テーマからすれば「みどり先生」は確かに。そういえば別に先生でなくてもいいような。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:仮に見抜けなかったとしても、最後の見せ方はあまり上手くない。<strong>もっとミスリードを効かせてほしい</strong>。別の何かが緑の傘であるかのように読者の目を背かせておいて、実はそうではなかった！　みたいな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな。もしくは、あっさり「みどり先生」が緑の傘だと言ってしまって、<strong>先生と主人公の関係をもっと書くとか</strong>ね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１５＞</strong><br />　これは道に迷ったというところうまい具合に現れた交番を覗くといきなり<br />「あ、いかんキミ、そんなの持って」<br />　と言われた。<br />　たたんだ傘をばさばさ振ると雨粒が散る。<br />「ミドリちゃんが出る」　<br />　おまわりさんがワッハハ笑った。<br />「え、何がミドリちゃん」<br />　と背後から人が現れ<br />「ホラその緑の」「あー」「清水くんちは酒屋で」「酒持ってきた」「さすが」「今はコンビニだけど」<br />「刺身持ってきた」魚屋から乾物漬物おでん文具八百屋主婦教師サラリーマンおねえちゃんが次々と登場し飲んで酔っての大宴会。<br />　諦めて交番を出ると<br />「ミドリちゃんの」「緑の」「お気に入り」「かくされ」「死んで」「いじめられ」「傘持つと」「出る」「やられる」「ぼくたち」「わたしたちは」<br />　てんでばらばら口にしだすや声を揃えて<br />「ミドリちゃんが嫌いです」<br />　ワッハッハ。<br />「キミごと始末するコトとなりました」<br />　目のどんよりした人間が首をにょろと伸ばしたか伸ばさなかったかとにかくわらわら追って来るので荷を放り林に逃げ雨の下うずくまっていたら捨てたはずの傘を差し隣りに座った女の子が<br />「えへへー、あいあいがさ」<br />　あ、かわいい、と思うが傘から流れ落ちる薄赤い雫をどうしたものか、一緒にエヘヘと笑う。<br /></blockquote><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:相々傘っていいよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:相愛傘はいいけど、これは無理。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ブラックだねぇ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:なにがいいの？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いや、この話とは関係なく、普通に。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、相愛傘が、ではなく。この作品が。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:おっと失礼。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>何がいいか分からない。</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ホラーだと思うけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ラスト一行がなんとなく恐い気はするけれど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:はじめ、ただの怪談みたいだった「ミドリちゃんが出る」というのが、「ミドリちゃんが嫌いです」と「ワッハッハ」で<strong>一転、人間の感情の怖さ</strong>が出てくる。ここで<strong>宴会との対比で怖さが際立つ</strong>のも良い点だと思う。そのあと<strong>さらに一転、ミドリちゃんが復讐を遂げる？</strong>　という感じじゃない？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:あ、なんとなく……。<strong>分かりづらくない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>文の読みにくさ</strong>も相まって、ちょっと分かりづらいね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１６＞</strong><br />　引き結んだ口は弱々しい。ルージュの色が泣いている。目もとを隠したひさしがさらに深くなったのは顎を引いたからではなく、肩を落としたから。<br />　彼女は力なく背を向けた。紡ぐ言葉もない。<br />　雨。ぽつり。<br />　僕は一人で傘をさす。彼女には、もはや笠のようにしなだれたそれがある。かつてより随分苔むした。<br />　ふと立ち止る彼女。小さく肩を揺らした。振り返らない。僕も肩を揺らす。<br />　残っていた胞子が少し肺に入ったから。<br />　彼女も、そうなのだろうか。<br />　強くなった雨脚が、僕と彼女をそれぞれ閉じた。<br />　僕は吸い込んだ胞子を感じながら、彼女との思い出に浸る。浸れば浸るほど、僕は苔むした。やがてぐずぐずと崩れ苔だけになるだろう。<br />　そこに残った傘を、彼女は拾ってくれるだろうか。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:これも読解力を要するタイプかな？　さっきのよりは好き。ただ、これ。<strong>言葉の選び方が少し下手</strong>だね。最初の二文と同じペースで読むと<strong>三文目からいきなり狂わされる</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>読解力を要するのか、説明不足なのか</strong>、話が良く分からない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:一文一文は考えられているけれど、<strong>通して読むと不連続</strong>。なので、読みづらさが助長されてしまっている。その点がざんねんだと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。各文には面白い表現がたくさんある。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>「雨。ぽつり。」いいね</strong>。ラスト一文も哀愁漂う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いいよね。「僕と彼女をそれぞれ閉じた」とかね。しかし、<strong>胞子とか笠とか、そのへんは何を言っているのか、良く分からない</strong>な。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ううん、<strong>分かりそうで分からない</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そのあたりが、<strong>読者に届かない</strong>から、ちょっと惜しいと思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:確かに。<br /><br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:では集計結果でも見ますか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:＜緑の傘１１＞にこんなに票が集まっているのは<strong>謎</strong>だなぁ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:確かに。<strong>物語の欠如が気にならない人</strong>なんじゃないだろうか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>情景としてもさして面白くない</strong>と思うんだけどな。色混ぜただけじゃん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>表現に光るところも感じられない</strong>ような。テーマも処理できてないしね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ねぇ。逆に＜緑の傘１２＞あたりはもう少し票があっても良さそうな気がする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、こんなもんじゃないかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘１３＞は集計結果を見れば、<strong>いかにも逆選向き</strong>な作品だね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあ未だに私には逆選がどんななのか良く分かってないけれどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘１４＞はいくら次点でも入りすぎじゃない？　この程度でいいのかと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:どういうこと？　この程度でって。確かにこんなに票が集まるのは不思議だけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、だって＜緑の傘１４＞に次点をあげるぐらいだったら、<strong>もっと他に次点をあげるべき作品があった</strong>じゃない。今までに。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:あった。いろいろと思い出せる。何の程度のことを指して、この程度、と？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うーん、作品のレベル？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、了解。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘１５＞は<strong>不可解</strong>。読解力が足りていないだけかなあ。それとも<strong>分からない作品に正選を放出しちゃっている</strong>だけなのかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:これは確かにね。こういうのは逆選じゃないんだね。ますます逆選が分からない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>これこそ逆選</strong>な気がしないでもないけどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ねぇ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘１６＞は、まあ、分からなくもない。今までの傾向からして、正選がひとつやふたつあってもおかしくないような気がしないでもないけど。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:むしろ正選と逆選に分かれるかと思ったけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうかなあ。これは逆選じゃないでしょう。けれんみがない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:けれんみ。はぁ、なるほど、分かるような分からんような（苦笑）　まあ、こんなところかな。今日の中には、特に群を抜いて面白いと思ったのはなさそうな気がする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>＜緑の傘１３＞がよかった</strong>よ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>今日の中では一番</strong>だね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うん。テーマをスルーしてるけどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあね。明らかな欠点がある話が多かったね、今日は。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>「だから何？」系はもうお腹いっぱい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうだね。言うこともないから、やる気が削られてくし。だったらやるな、って話かもしらんけど（笑）<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いやいや、これは書く方にもっと考えてもらわないと。<strong>『何故、あなたは超短編を書いているのですか？』と「だから何」系の作者ひとりひとりに問い詰めたい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そのへんは確かに、作者さんたちに考えてほしいね。とまあ、今日はこんなところ？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、また、明日。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うい。また明日。<a name="more"></a>

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<title>緑の傘編（02）</title>
<description>＜緑の傘７＞　貴之が謝りつづけても、前を歩く愛美はふり向いてくれなかった。　パステル調のグリーンで、柄では愛嬌あるカエルがウインクしている。そんなお子様な傘を見て、つい吹き出したのが原因だった。　貴之はため息をつき、傘の柄でこめかみをかいた。予報によると、午後は晴れだ。平凡なビニール傘は、朝しか出番がなかった。　また謝ろうとして、言葉を飲み込んだ。愛美の頭上で、看板が塗られているのに気がついたから──だけではない。大型缶が倒れ、塗料が流れ落ちてきたためだ。　すばやい動きで、愛..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-04T17:47:17+09:00</dc:date>
<content:encoded><![CDATA[
<blockquote><strong>＜緑の傘７＞</strong><br />　貴之が謝りつづけても、前を歩く愛美はふり向いてくれなかった。<br />　パステル調のグリーンで、柄では愛嬌あるカエルがウインクしている。そんなお子様な傘を見て、つい吹き出したのが原因だった。<br />　貴之はため息をつき、傘の柄でこめかみをかいた。予報によると、午後は晴れだ。平凡なビニール傘は、朝しか出番がなかった。<br />　また謝ろうとして、言葉を飲み込んだ。愛美の頭上で、看板が塗られているのに気がついたから──だけではない。大型缶が倒れ、塗料が流れ落ちてきたためだ。<br />　すばやい動きで、愛美に傘を差した。間一髪。ビニール生地のうえで、塗料が跳ねる。<br />　直後、頭にガンときた。転がる缶を視界に収めながら、貴之の意識は遠くなっていった。<br />　目が覚めたのは、病院のベッドでだった。横にいた愛美が、胸をなで下ろしていた。<br />「よかった……」<br />　貴之は愛美と病院をでた。予報ははずれて、雨が降っていた。ふたり同時に傘を開く。ありがたいことに、塗料に染まったビニール製も、いっしょに救急車にのせられていたのだ。<br />　おそろいの色をした傘を差し、貴之は愛美と肩を並べて、帰途へとつくのだった。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>いいね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>なんか、ほっとするね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>地味でサプライズも大したことのないものだけど、こじんまりと上手く作られてるね</strong>。ただ、序盤に少し難ありかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:上手く構成されているよね。序盤は、そうかな？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:凡庸じゃない？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:それは、この作品の場合は悪いことじゃないような気がする。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあね。<strong>良くも悪くも、ウェルメイド。あまり語るところがないね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘８＞</strong><br />　アタシの誕生花ニオイカントウからは過保護な母親を連想します。大きな葉は日光を遮り、周りの草を枯らしてしまうそうです。<br />　仕事もしない家事もしない彼を横目に晩ご飯を作る午前三時半。客から貰ったアクセサリー類は煩わしいので外します。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>あ、分かった</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:私にはまだ分からない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:つまり、<strong>主人公は水商売の女性で、深夜を過ぎてから家に帰ることができるわけ。そうして、帰ってきてみるとニートの彼は、ひとりで晩御飯が作れないから、午前三時半なんて時間に晩御飯を作ることになる。</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>それはいいけど、二行目だけでしょ？　一行目とは、どうかかわる？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:一行目は主人公の比喩でしょう。<strong>彼女が彼の世話を焼きに焼いたから、彼は仕事も家事もできなくなっちゃったんじゃないの？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そういうことか。たぶん、<strong>私にとっては、過保護と世話を焼きに焼くというのが、少し結びつかなくて</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>過保護の母親って子どもに何もやらせないでしょう。至れり尽くせりで育った子どもは、家事ができないんだって</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>ああ、そうか</strong>。横目に見てたりするところが、過保護さと結びつかないのかな。ちょっと迷走してるな私の発言、ごめんごめん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いやいや、これは難易度が高いと思う。パッと見では、なんの話をしているのかまるで分からないし。読者に要求している読解力が高いのだと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うーん。<strong>それだけ高い読解力で読むと、面白いのかな？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>面白い。傑作</strong>。僅か二行の作品だけれど、背後に大きな物語を予感させてくれる。<strong>今のところベストはこれだね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:私はちょっと、なんとか読むと、どうも主人公の気持ちがハッキリしてないようで、過保護なのか、彼に呆れているのか、それも不安定で、あまり伝わってこないけどね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:確かに、明瞭には描いてないかな。でも、午前三時半にわざわざ彼のために晩御飯を作ってあげるところを見ると、放っておけないっという愛情が見える。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>「客から貰ったアクセサリー」は、何だと思う？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>ガジェットのひとつでしかないと思うけど</strong>。仕事に対するしがらみという意味も含まれているのかも。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:彼との関係を書いているところに、仕事のしがらみは、どうかかわってくるのだろう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:最後の一文がなければ、主人公が午前三時半に帰宅するような職業であるとは見抜けないでしょう。だから、それを思わせるガジェットが必要なのだと考えていた。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>具体的にピアスとか書かなかった理由とかは、考える必要ないかな？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>指輪だと思ってた</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:指輪？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:料理に邪魔だろうから。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか、そうだね。確かに。なるほどね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘９＞</strong><br />「勘違い」<br /><br />さぁ、集まりましょう<br />砂漠へ、これを持って<br />そうです、草の色の傘<br />さぁ、差しましょう<br />宇宙から見たときに見た誰かが<br />きれいな星だと勘違いするように<br /><br />嘘かどうかはどうでもいいのです<br />見た目の問題です<br /><br />ほら、こんなに美しい星です<br />だれか、星を交換しませんか？<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>ああ、いいね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>おお、いいね</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:一行目はなんだろう？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:これにはたぶん、少なくとも二種類の意味があると思う。<strong>ひとつは、星の交換相手に、美しい星と勘違いさせるってことで、もうひとつは、こういう行為で見た目だけを美しくしようとする行為が勘違いだと言っているんじゃないか</strong>と思う。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:解釈としては題、でいいのかな？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうかな。位置づけ的には、そうだね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:タイトル競作には、題をつけないから。メタな思考だけど、これはわりと新しい人の作品なんじゃないかなあと邪推。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そういうルールは知らないけど、しかし、タイトルも含めて作品、という考え方もできなくはないでしょ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:意味に関しては、前者しか思いつかなかった。<strong>後者も考慮すると、案外に、深いね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘１０＞</strong><br />　青空なんて、大昔の映像やCGでしか見たことがない。空を覆うのは、紫色と茶色の混じった、毒々しい雲だけ。<br />　かつて人類が環境破壊の限りを尽くしたため、今では地球をこの色の雲が包み、人々は比較的毒性の低い場所以外では暮らせなくなった。<br />　気象庁が降雨を認識すると、街は巨大な緑色の傘に覆われる。薄く膜状に張り巡らされたビームが、放射性物質や一酸化炭素、亜酸化窒素などから街を護るのだ。見上げると、空は雲の色とビームの緑色が混じり合い、なんとも言えない気色悪い色になる。<br />　あいつは常々、『青空が見たい』と言っていた。門番が街の外壁を厳しく見張っているのに。僕らは内心、あいつを莫迦にしていた。<br />　ある日、あいつは消えた。主を失った部屋の壁には、いつもの口癖が書かれていた。<br />　誰もが忘れかけたころ、あいつからメッセージが届いた。真っ白な分厚い氷に覆われた大地。僕らの知らない、雲ひとつない空。<br />　残念なのは、そのメッセージがデジタルで送付されていたことだった。画像はＪＰＧ形式で保存されていた。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>よく分からない。画像がJPG形式だと、開けないってことなのかな？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>作り物だった、ってことを言いたいのかもよ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:おお、なるほど！！<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「大昔の映像やCGでしか」とあって、たぶん、CG技術のあたりは過去のものなのかもしれない、とか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:なるほどね。つまり、<strong>友人の見た青空はリアルだったのかもしれないけれど、JPGで保存されてしまった瞬間に、それは大昔のCGと大差なくなってしまった</strong>、と。なるほどねえ。上手いね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>そう読むのか</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>え、違うの？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いや違うことはないだろうけど、前にBが言ったように、読み方は自由だろうから。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:意味深だなあ。はっきり言えよー<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:意味深というか、まとまらなくて。ええとね。<strong>青空を見たがっていた友人は見たいあまりに、どうにかなってしまった、ということで、大昔の映像で見たことある青空の画像が送られてきた</strong>、ってだけなのでは、とか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>残酷な読み方だね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:送られてきた青空の画像に、友人自身も写っていると最初は想像していたから、作ったのかな、と思ったけれど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、確かに主人公視点では、送られた画像が本物かどうかの判別はつかないけれど、それはないんじゃないかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあ、残酷かも。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうだとしたら、友人が狂うという伏線が敷かれるはず。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:部屋の壁に口癖が書かれていた、というのは、それに当たらないかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうかなあ。とりあえず、結末の解釈は置いておいて、世界観について話したい。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:この<strong>終末観は実にステレオタイプ。世界が滅亡して、人々がドームに閉じこもっているというのも、その中の人たちが青空を見たいと嘆くのもありきたり。また、全編が説明口調で、少し辟易。もう少し行動で主人公の内面が描けるんじゃないかな</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:その通りだと思う。「気色悪い色になる。」までと「あいつは常々」からが、最初は完全にバラバラにしか見えなかった。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうそう。『青空が見たい』から、輝きだすよね。俄然、面白くなる。<strong>前半は、文脈無視してオールカットでいいんじゃないだろうかってぐらい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>そう。後半だけで良い</strong>とか、思わなくもない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、そうなると、緑の傘がどこにもないけどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:でも青空が見たいというテーマで書いているなら、緑の傘はどっかで出てくるでしょうね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:どうでもいいけど、CGが半角で、JPGが全角なのは、ケアレスミスか？？<br /><br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:では、集計結果を見てみますか。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうしよう。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ああ＜緑の傘１０＞はフルヤマメグミさんじゃない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:おお本当だ。今度聞いてみようか、どういうことなのかと。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうしよう。と言うか、<strong>＜緑の傘８＞が低すぎる件について</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>これで低すぎるか？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>低すぎるよ。皆、分からなかったんじゃない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かもね。分からないと、なんか茫洋としてる印象だからね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>＜緑の傘９＞ は何故か、逆選に評が集まったね。</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:逆選かな？　ふつうに、<strong>次点とかが多くなるのかと思ったけれど。</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>そうそう、むしろ次点かなっていう作品だよね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ねぇ、どういうことなんだか、逆選の意味が良く分からない。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、でも、Aの指摘した、勘違いの二つ目の解釈を採れば、逆選に推したくなる気持ちも分からないではない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そういうもんなのか、逆選って。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:さあ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>＜緑の傘７＞は？　地味すぎた？</strong><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>地味だってー</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>地味だけど良い話だと思ったんだけどなぁ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>右の耳から入って、左の耳に抜けてしまうような軽さが命取り</strong>。次点はいくらか貰えるかもと思ったけどね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか、そうなるか。次点がひとつくらいは、とは思ったね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うんうん。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そんなとこかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:では、また、明日。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:また明日。<a name="more"></a>

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<title>緑の傘編（01）</title>
<description>＜緑の傘１＞前夜、父に呼び出された。「いいか。父親になるっていうのは、『緑の傘』になることなんだ。自分の傘を思い出してみろ。夏冬問わず雨から、ただただ黙って守ってくれただろ。でもな、守ると言っても、傘が守ってくれるのは、雨の日だけだ。」　父はタバコに火を点ける。「父親って言うのは、子供が辛いときだけ傘となって身を守ってあげればいいんだ。俺は、そう思う。」「緑じゃなくてもいいじゃん。」B:中々、掴みがいいと思う。「ああ、語り手に子どもができたんだな」ってことが、なんとなく分かる..</description>
<dc:subject>対談</dc:subject>
<dc:creator>A&amp;B</dc:creator>
<dc:date>2006-07-03T17:44:53+09:00</dc:date>
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<blockquote><strong>＜緑の傘１＞</strong><br />前夜、父に呼び出された。<br />「いいか。父親になるっていうのは、『緑の傘』になることなんだ。自分の傘を思い出してみろ。夏冬問わず雨から、ただただ黙って守ってくれただろ。でもな、守ると言っても、傘が守ってくれるのは、雨の日だけだ。」<br />　父はタバコに火を点ける。<br />「父親って言うのは、子供が辛いときだけ傘となって身を守ってあげればいいんだ。俺は、そう思う。」<br />「緑じゃなくてもいいじゃん。」<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:中々、掴みがいいと思う。「ああ、語り手に子どもができたんだな」ってことが、なんとなく分かる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:確かに。そして父親を傘に喩えて、さあだからどうなるんだ、と思ったところでお終い。<strong>ちょっと、どうしたらいいのか読んでいて困った</strong>。投げ出されてもなぁ、と。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうそう、主人公の科白は笑えていいと思うんだけど<strong>「だから何？」だよね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:これって、比喩に使おうとしたけど使いこなせなかったごめんね、みたいなことなんだろうか。そんなこと言われてもね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もしかしたら、緑の部分がなにかの比喩になっていたら、良かったのかも。葉っぱ、とか？　いやいやいや、そうじゃないね。緑の傘＝葉っぱだったら、ありがちだね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:というか、緑の傘自体は、何の比喩としても使われていないから、ただの強牽付会としか思えない。<strong>むしろこの話がここにあること自体が疑問</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ここにあることって？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:このテーマの参加作品として存在していること。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、応募するのは自由だから。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そりゃあね。場にそぐわないだけで、居ることは自由だろうけど。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そこまで悪いとは思わないけどなあ。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘２＞</strong><br />「やめてくれよ。ぬれちまうよ」<br />雨が降っている。たいした雨じゃあない。<br />「酸性ウだったらどうするんだよ。俺、溶けちゃうよ」<br />カサが僕を見ている。同情を売る気だ。<br />「きっと、すごくツメタイんだ。風邪ひいちゃう・・・・・・」<br />僕だって濡れるのはいやだ。<br />持ち上げようとするけど、動かない。排水用の溝に爪を立てている。<br />「アマがえるのくせに」<br />ビクともしない。だめだこいつ。<br />雨はまだ上がらない。家に帰ったらシャンプーをリンスしよう。あぁん。<br />「ぶんぶん振るなよ。怖いんだから」<br />青い空の下に出てひっぱると、今度はおとなしくカサになった。<br />「こういうのもいいね」聞こえないようにつぶやいて、青いカサをぶんぶん振った。<br />「抜ける抜ける」と、毛根が騒ぎ出した。あぁん。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:何が悪いんだろう？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:いささかレトリックが過剰、かな？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:とりあえず、ねえ。「すごくツメタイんだ」ここは「すごくツメタいんだ」の方がいいと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「爪を立てている」との兼ね合い？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうそう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「今度はおとなしくカサになった」で引っかかってしまった。カサじゃなかったのか、って。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:カサなのか、アマがえるなのか、毛根なのか、よく分からないよね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:もしくは「今度はおとなしく傘になった」なら、傘の機能を果たすようになった、とか読めなくもないかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:四行目まではいいなと思う。というのも三行目で「酸性ウ」と言っているのに、五行目では「きっと、すごくツメタイんだ」とあって、もしかしてその場その場で思いついた文章を書いているのかなあと思ったから。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>カサ＝髪の毛、だったりするのだろうか</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ほほう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:雨が上がって、帰宅して、頭を洗う。そういう話？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>納得</strong>。<strong>しかし、分かりづらい</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:非常に分かりづらい。やっぱりレトリックの過剰ではなかろうか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:うん。どこらへんが、緑（青）の傘なのかも分からない。酸化したら、青になるのかな？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>緑色に染めた髪の毛？　だとしたら珍しい</strong>。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘３＞</strong><br />　傘をなくしちゃったので握るところの先ににっこりカエルくんの頭が付いた緑の傘を買ってもらった。<br />　雨が降ったのでカエルくんの傘をさしてお出かけした。<br />　風が吹いたのでカエルくんの傘が飛ばされた。<br />　地面に当たってカエルくんが傘から取れちゃった。<br />　傘から取れたカエルくん雨に降られてにっこりした。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:面白くないね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>最後の一行がなかったら、私もそう思った</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:あれ、ってことは最後の一行があるがゆえに高評価？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:最初の一行でなくなった傘、最後の一行で解放されるカエルくん、この対応が傘の行方不明の理由を想像させる。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もしかして、ループしてるってこと？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ループしてるかどうかではなくて、傘は別のものでもいいけれど。人は傘をさそうと、雨を嫌うけれど、傘は雨が好きなのかもしれない。だから、人を待ちきれずに、先に雨の中へといなくなってしまうのかもしれない。とかいう想像が働く。こうなると、他の三行の味も素っ気もない語りが、想像の邪魔にならなくて良い。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>それは深読みなんじゃないかなあ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:深読みかなぁ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、読み方は人それぞれ、千差万別だから、Aの言いたいことも分からなくはないけどね。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘４＞</strong><br />何の前触れも無く落ちてきた青葉は、サトウさんが落した物だった。<br />サトウさんというのは、義兄の姉のお隣さんの古い知人であり、私とも遠縁に当たるという人である。なんだかよく分からない道楽のような仕事をしていて、私とは、年に一度しか会えない。<br />毎年、この時期になるとサトウさんは此処を訪れ、トラックの荷台いっぱいの桜の花びらを、今では青葉の茂る、桜だった木の根元に散布していく。<br />染井吉野、兼六園菊、八重紅枝垂、普賢象。あと、私の知らない沢山。<br /><br />来年もまた、柔らかな光に映える薄紅達が降り注ぐように、と祈りを籠めながらサトウさんは桜の花びらを運ぶのだそうだ。<br />荷台が空になる頃にはもう、私の身体はすっかり、桜の花びらと同化してしまっている。<br />「じゃあ、また来年に」<br />「また、来年、ね」<br />額の前で、ポーズを決めてサトウさんは帰っていく。私は、花弁に埋もれた掌で、姿が見えなくなるまでお見送りをする。<br /><br />エンジンの音が聞こえなくなると、私にはもう眠ることしか出来ない。<br />サトウさんがばら撒いて行った花弁は、斑に透ける白い光の下で、まるで百年のように長い時間をかけて緩やかに腐敗し、土へと還っていく。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ちょっと読みづらいね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:漢字をもう少し開いたほうがいいのと、句読点の位置にもっと気を配る必要があるんじゃないかな。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「薄紅達」は「薄紅たち」のが良いだろうな、とかね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:この展開を書くのなら、私をサトウさんの遠縁にするのではなく、桜にしてしまった方が絶対にいいと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:え、うーん、桜じゃないの？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:桜なのか、根なのか、土なのかよく分からない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>いや、桜だよ。緑の傘だよ、だって</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>え、そうかなあ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:葉桜でしょ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:あ、もしかして私＝葉桜で、<strong>サトウさん＝言わば花咲か爺さんってこと？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:<strong>まあ花咲か爺さんでなくても、風とかでもいいけど、そうじゃないかな</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ほむほむ。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:読みにくい以外は、大樹の存在感があって良かったと思う。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘５＞</strong><br />　雨が降り続く憂鬱の時期には真面目をカタカナにしてしまう恐ろしいまじないがあるみたいだぜ。シンリョクのキセツにアラワレル、ソラ、ブンガクがカタラレルヨ。サミダレ、ツユ、アラシ、タイフウ、アキサメ、ミゾレ、コトバはまるでボーヨミのヨーニ、クルクルマワセ　ツカッタ　ニオイ　ニ　マミレタ　パラソル　を<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:これはリズム感があっていいね。特に「コトバはまるで」以降が秀逸。逆に言えば序盤がちょっと冗長かな。終盤がスピーディなだけに。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、そこは確かに「ボーヨミのヨーニ」は面白いね。でも、なんか、それ以外に良さが分からないな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そう。リズム感だけでなく、意味があればよかったね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:特に気になったのは「サミダレ、ツユ、アラシ、タイフウ、アキサメ、ミゾレ」という語の選び方。直前に「シンリョクのキセツ」とありながら、<strong>ここで季節感がめちゃくちゃ</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>う、そこはちょっと疑問</strong>。アジサイとか、カタツムリを入れて<strong>イメージを梅雨に固定させてほしかった</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ああ、そうか「ツカッタ　ニオイ　ニ　マミレタ　パラソル　を」か。ここにテーマあり、か。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうだよ、そうそう。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:理解した。後半は秀逸。季節感はむちゃくちゃ。カタカナを使っている点については？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:素晴らしいと思うよ。動きがあって風を感じる。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:「まじない」を平仮名にしていたりして、<strong>だんだんと壊れているような演出にも見えるけれど</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:そうだね、<strong>少しずつ加速していっているような感じだね</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:けれど、それが何を表しているのか、ちょっと。リズムに誘導しているのかな。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:まあ、リズム命の作品ということで、いいと思う。<br /><blockquote><strong>＜緑の傘６＞</strong><br />　傘が回っている。くるりくるり、ゆっくりと。<br />　やや大きめの傘だ。淀んだ深海のような濃い緑色をしている。<br />　傘の上では白、黄、紫、だいだい、黒、青、灰の色の鼠が走っている。傘の回転に速度を合わせて、同じ方向に向かってせわしなく四本の小さな足を動かしている。<br />　その上には尻尾を荒縄でしばられた八匹の虎猫ぶら下がっている。虎猫は鼠に向かって前足を伸ばし、銀色の鋭い爪を出している。しかし、後少し届かない。その爪が空を切る度、ぶらんぶらんと八匹の虎猫は揺れる。<br />　傘の下には母と妹がいる。ふたりは下着姿でディープキスをしている。喉が焼け切れるほど何度も何度もお互いの舌を交換している。妹の右目はまち針で留められたように大きく開かれている。<br />　ぼくはマンションのベランダから双眼鏡を使ってその姿を覗いている。<br /><br />　傘が回っている。くるくるくる。<br />　若干その速度は増したようだ。<br /></blockquote><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:来たね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:うん？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:<strong>今日、初めての難敵じゃない？</strong><br /><span style="color:#FF0000">A</span>:かな？　<strong>なんか、あんまり、たいしたことないように見えるけれど</strong>。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:いや、すごいと思う。まずはその発想が、そして作品から喚起されるイメージが狂気的。ただ、もうほんの少し手が届いていないという気もする。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:緑の傘から、ここに持ってくるのは、確かによくやるなぁ、とは思うけれど。イメージといっても、ごちゃっとまとめただけのような、あまり繋がりが見えてこない。<br /><!--<span style="color:#FF0000">A</span>:個人的には一度にこうして出されてもイメージが追いつかなくて、字面を追うことになってしまうのだけれど。
--><span style="color:#0000FF">B</span>:細かいところでは、例えば、鼠の色。「傘の上では白、黄、紫、だいだい、黒、青、灰の色の鼠が走っている」ここで「だいだい」だけひらがなで書けるのがすごいと思う。<strong>ふつうだったら、ここは躊躇して「橙」と漢字表記に甘えてしまうのではないかな</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:そうか「灰」を入れて考えれば、確かに不思議なくらいだ。もしかして、猫と鼠は、どっちかが母でどっちかが妹だったりするのだろうか。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ううん、どうだろう。それは考えなかったし、違うような。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:違うよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:もうひとつ面白いなと思ったのは、傘の回転が加速している点。一行目では比較的ゆっくりなのが、最後では速度が増しているとある。これは鼠が猫に脅え、母と妹がキスに熱狂し、見ているぼくが興奮しているからじゃないかなと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:それはそうだと思うけれど、普通に比喩では？<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:え、何の比喩？<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:感情の激しさを速さであらわすとかは。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:ああ、うん。だから、感情を速度で表してしまうところ、しかも変な感情によって加速するところが、狂気的。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:変な情景を冷静に描いている、とは思うけれど、狂気の存在は感じないなぁ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:「尻尾を荒縄でしばられた」猫といい、「下着姿」の「母と妹」といい、「まち針で留められたように大きく開かれている」といい、それらを観測しているぼく＝母の息子で妹の兄、という構図は実に気持ち悪い。狂気的というより、気持ち悪いと表現した方が正しいかもしれない。それも何だかよく分からないけれど、<strong>何となく倫理に反しているような気がする、という意味での気持ち悪さ</strong>。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:まあ気持ち悪さはあるかもね。<strong>「まち針」はちょっとドキッとはした</strong>。<br /><br /><br /><span style="color:#0000FF">B</span>:じゃあ、今日やった分の集計結果を見てみますか。お、＜緑の傘５＞が、根多加良さんじゃない。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ねぇ。けっこう酷いこと言ってしまったような（苦笑）<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:＜緑の傘６＞は案の定、正選が三点入ってるね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:それが私にはなぞ。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:Aの評価してた＜緑の傘３＞は完全にスルーされてるね。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ねぇ。どうなってんやら。＜緑の傘４＞とかも、逆選ひとりだし。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:逆選ってのは少し首を捻るかな。正選まではいかないけれど、次点は取ってていいと思う。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:だよね。<br /><span style="color:#0000FF">B</span>:では、今日はこんなところで。<br /><span style="color:#FF0000">A</span>:ほい。<a name="more"></a>

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<title>著作権に関して</title>
<description>　当ブログでは500文字の心臓に掲載されている著作物を批評目的で引用しています。すべての著作物の出所は以下のホームページとなります。http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/　また、批評段階においては著作物が無名の作品から引用していますが、各編の最終回において著作者名を列記しています。　著作権法（引用）第十三条　次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。 　 一　憲法その他の法令..</description>
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　当ブログでは<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/" target="_blank">500文字の心臓</a>に掲載されている著作物を批評目的で引用しています。すべての著作物の出所は以下のホームページとなります。<br /><a href="http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/" target="_blank">http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/</a><br />　また、批評段階においては著作物が無名の作品から引用していますが、各編の最終回において著作者名を列記しています。<br /><br />　<strong><div style="text-align:center;">著作権法（引用）</div></strong><br /><blockquote><strong>第十三条</strong>　次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。 <br />　 一　憲法その他の法令 <br />　 二　国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人（独立行政法人通則法＜平成十一年法律第百三号＞第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。）又は地方独立行政法人（地方独立行政法人法（平成十五年法律第百十八号）第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。）が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの <br /> 三　裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの <br />　 四　前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの</blockquote><br /><blockquote><strong>第三十二条</strong>　公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。 <br />2　国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。 </blockquote><br /><blockquote><strong>第四十八条</strong>　次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。 <br /> 一　第三十二条、第三十三条第一項（同条第四項において準用する場合を含む。）、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項若しくは第三項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合 <br />　 二　第三十四条第一項、第三十七条の二、第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を利用する場合 <br />　 三　第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。 <br /><br />2　前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。 <br />3　第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して利用する場合には、前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなければならない。</blockquote><br /><a href="http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html" target="_blank">http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html</a><a name="more"></a>

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